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気の長い復讐

作者: HasumiChouji

「大丈夫ですよ。こっちまで火の粉は飛んで来ませんよ」

 大統領が暗殺されたと云うのに、部下の1人は呑気にそう言っていた。

「念の為だ。犯人は、規制ワードに引っ掛かる情報をネットで入手したのに、我々が気付かなかった、などと云う事が後で判ったら、ウチの課全員粛清だぞ」

 我が国では、あるネット規制システムが運用されていた。もし、国内で何者かが「規制ワード」が含まれるWEBサイトを閲覧したら……我々に通報が行くようになっているのだ。

 大統領暗殺犯が、万が一にもネットからネットで入手した情報で爆弾を作成したのなら……その事を()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「でも、大統領が、あんな死に方した以上、大統領派と民主化派のどっちに付くかはよくよく考えた方が……」

「めったな事を言うな。3年前に居酒屋で酔っ払って大統領を批判したのがバレで吊るされたあの馬鹿の後を追いたいのか?」

「はぁ……でも、暗殺に使った爆弾の火薬の作り方は……国立図書館の本で調べた、って警察が発表してましたよね? 図書館の職員が何の本か良く判らないままコピーした、って」

「いいから、犯人がアクセスしてたWEBサイトを片っ端から調べるんだ」

「やってもいいですけど、いつ終るか判りませんよ……そんな無駄なこ……えっ?」

「どうした?」

 部下のPCの画面に表示されていたモノは……火薬の作り方などでは無かった。

 しかし……爆弾に関しては素人の私でも、それが火薬と同じかそれ以上に爆弾を作るのに必須なモノなのは判った。

「あの……調べたい事が有るんですが……課長の権限じゃないと出来ないんで……」

「何だ……?」

「規制ワードの変更履歴です」

 嫌な予感しかしない……。

 そう思って自分のPCで部下に頼まれた情報を調べ……。

 あ……あの野郎……最後の最後にやってやがったか……。

 3年前に居酒屋で酔っ払って大統領を批判したのがバレた阿呆な部下が……逮捕される直前に、ある規制ワードを削除してやがった。

 なんて気の長い……なんて不確実性のデカい……国家と大統領への復讐も有ったモノだ。

 しかし、数日前……その復讐は、奴にとって見ず知らずの犯人によって果たされていた。

 今後、大統領派が勝てば逆恨みと、民主化派が勝てば最後の抵抗と評されるであろう、奴の遺志は、確実に受け継がれ、大統領の命を奪った。

 あの野郎は、確かに火薬の作り方や入手方法に関する用語は規制ワードから外していなかった。

 だが……奴が規制ワードから外した用語の一例は……「信管」「雷管」「発火装置」……。

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