7話.ああ、神様
私たちは休息を終えて、再び森の中を進んでいた。
私はまた長時間の乗馬になるだろうことを考えて、少々・・・いや、かなりげんなりしていた。
「止まれ」
不意にアレックスがそう呟いた。
突然の静止の声に怪訝そうな顔をする私に、彼は近寄ってきながら「動くなよ」と声をかけてきた。
「隠れてないで、出て来いよ」
目の前の草むらに向かって彼は言う。
すると、わらわらと5・6人の盗賊の身なりをした者が一斉にそこら辺から出てきて、私たちを囲んできたのだ。
「おいおい、兄ちゃんよぉ。なかなか良い勘してんじゃねぇか。だけどな、運が悪かったぜ。なんたって俺たちの餌食にされちまうんだからな。」
げへへへ、と男たちは下品な笑い声をあげている。
続けてリーダー格の男が口を開く。
「兄ちゃんよ、金目の物を置いてとっとと失せな。今なら特別に逃がしてやるぜ。命が惜しいもんなぁ?俺って寛大だろう?おーっと、そこのお嬢ちゃんは置いてけよ。俺たちが可愛がってしっかり躾けた後にご主人様の元へ売ってやるからな。その頃にはきっと従順に腰を振って啼くイイ女になってるだろうよ。」
・・・中身もしっかり下品だった。
なによ、この人たち!
とっても嫌なかんじ!
だけどこっちは普通の青年とか弱い少女の二人に対して向こうは大勢、尚且ついろいろと武器を持ってるし、場数もそれなりに踏んでいるみたい。
アレックスは武器を持っているようには見えないし、そもそももちろん私は戦力外なわけだから、アレックス一人でこの人数を相手をするなんて無理だわ。
どうしよう・・・。
このままだと本当に男たちの餌食になってしまうわ。
そう思うと背筋がぞっとしてガタガタと体の震えが止まらない。
怖い・・・
やめて・・・っ
結婚から逃げたのがいけなかったの?
ああ、神様。
わたしはただシンデレラのような甘い恋がしたかっただけなのよ・・・