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14話.地平線との奮闘


次の日の朝は、日が昇るとともに宿を出た。

威勢のいい宿のおばさんは、「こんな細っこい体で生きていけるのかい?」とパンやらチーズやら果物やらなんだかたくさん持たせてくれた。

最後までとってもよくしてくれた人だったわ。



宿を出発してからというもの、私とアレックスはひたすら続く平坦な道を進んでいた。

この辺り一帯は牧場になっているみたいで、所々に牛が放されていてのんびりとした平野が広がっていた。

シルヴァンはここのゆったりとした雰囲気が気に入ったのか、トコトコと軽快に足を踏み鳴らしながら駆けている。



私はというと野宿なんていうからジャングルなんて言わないけれど、もっとスリリングな林とかを期待していたのに、実際に進んでみれば果てしなく続く大地と終わりの見えない道程にいささかうんざりしてきた。

斜め前を進むアレックスは、何を考えているのかよくわからないのだけれど、常に前を見据えて、淡々とセリーンの誘導を行っている。



はーぁ・・・・・・。

なんだかつまらないわ。


今頃城にいたら何をしている時間かしら。

・・・そうね、世界史の先生の授業に飽きてしまって、どうやって早く切り上げさせようかあれこれと模索している頃かしら。



・・・・・・私ったら、なんてお転婆だったの。

ふと、以前の生活を振り返ってみて思ったことだった。



そうよね、『深窓の姫』なんていうものでは結婚が嫌で家出する、なんてこときっとしないわ。

もっとお淑やかな女の子に生まれるべきだったかしら。

そうしたら、国だって強国とコネが結べてこれから百年くらいの安泰は確定していたはずなのに。





でも。

それでも、私は自分の自由を選ぶわ!

だって「お国のために」なんてガラじゃないもの。

私はわたしのためにあるのよ!

それでも、一国の姫として、王女として、国が危機に直面する時は胸を張って「わたくしの国を(みだ)りに荒らすことは許しません。」って言えるくらいの自覚と誇りは持っているつもり。

民のことは大好きだし、何にも変えられないくらい愛しているわ。



だけど、私は本当に大切なもの、王女としてではなく、私自身のために必要なものを見つけたいの。



だから、それを手に入れるためには故郷を失うことだって厭わないのよ。





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