10話.私と夕日と星と
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そんなことを話しているうちに、私たちは森を抜け、小さな村にたどり着いた。
アレックスは手馴れたように宿を手配し、今日はもうここで休むぞ、と言った。
あたりはすでに夕暮れ。
家々は夕焼けでオレンジに染まっていた。
それを今、私は宿の窓から眺めている。
パルティア城のバルコニーから眺める夕日もきれいだったわ。
民衆の家が立ち並ぶ場所より少し高い所に位置する白亜の城。
下を見下ろせば賑やかな市場が広がっており、そこは毎日笑顔で溢れていた。
民は皆父様のことを信頼し、慕っていて、そして、いつもはちょっぴり天然ボケな父様も民衆の前では威厳のある国王の顔をしていて、すごくかっこよかった。
そんな父様を尊敬し、憧れていた。
父様の隣にはいつもにこにこと優しい顔で微笑んでいる母様がいて、兄様もいて。
とても、とても幸せだった。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
じわり、と涙があふれてくる。
父様、母様、兄様、みんな・・・・・・。
ひどく感傷に浸っていて、カチャリとドアを開けてアレックスが部屋に入ってきていたのに気がつかなかった。
気づいたときには、既にアレックスは隣にいた。
やばっ!涙を拭かなくちゃっ!
慌てて目をゴシゴシと擦ったら、腫れるぞ、とアレックスに手を取り上げられてしまった。
「家のことを・・・・・・考えていたの。」
「寂しくなったのか?」
「・・・ううん。」
寂しい。
「帰りたくなったのか?」
「・・・・・・ううん。」
帰りたい。
でも、帰りたくない。
「そうか。」
アレックスは他には何も言わずに、ただ、ぽんぽんと私の頭をやさしく撫でて、そして部屋を出て行った。
その手には、確かなぬくもりを感じた。
残ったのは私だけ。
その私の頬が薄く染まったのに気づいたのは、沈みゆく夕日と空に光る星だけだった。
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