三年目の春
「リク、この2年間よく耐えてくれた・・・ありがとう」
「いやいや、これも職員の仕事ですよ」
「うぅ、こういうことを言ってくれるのはお前だけだ」
レール事務長が泣きながらしがみついてくる。
正直、うざい。
「・・・」
「リク君、ウザイっていいなよ。仕事の邪魔をしないでくださいてね」
「全くそうですよ~。最近、魔物の発生が多くて冒険者だけじゃなくてギルド職員もクエストに行ってるんですから~。あと、マスターから事務長が暇ならこのクエストでも行ってろ。らしいです」
「・・・○んでしまえ」
「あ、Sランク2枚目あります」
「あの、○○○野郎ー!」
「追伸で、文句があるなら俺が行くクエストに付いてくるかって。それならそのクエストは行かなくていいと」
「あの阿呆はどこのクエストだ?」
「SSランクのクリスタルドラゴンで、しかも、危険区域Sです」
「・・・こっちの方がましか」
ハアーとレール事務長が大きなため息をつき、俺の方をみる。
「リク君もくる?」
「辞めときます」
まだ、○にたくない。
連続でSランクはきつい。
「リク君が可哀想です。せめてAAAランクじゃないと」
リーネさん、それは助け船ですか?
「あー、やっぱり?」
「連れて行くなら、受付のエルさんが適正ですよ~。最近、新しい魔法ができたとかで試したいと言っていましたし」
「よし、いいことを聞いた。おーい、エル~」
レール事務長は、ウキウキで受付カウンターに向かった。
「受付カウンター、誰がやるんですか?Sランク以上の受付」
「「リク君」」
「ですよね~」
はっきり言って受付なんて半年以上もしていない。
したとしても軽い案内。
その中で、今回はSランク以上専用の受付カウンターだ。
王立ギルドのSランク以上となれば他国の有名な人たちもやってくる。
3年目の俺に務まるのだろうか?
「何とかなるよ~。わたしなんか1年目にやらされたもん。強いイコールガラが悪い人じゃないよ」
「リク君の仕事はお姉さんたちが片付けとくから」
といって、俺を仕事場から追い出した。
俺は渋々と3階の事務室から1階の受付カウンターに向かう。
このアーベル王国の王立ギルドの建物の構成は、
1階が中央の奥が受付カウンター、左側がレストラン(酒場)、右側が専門店(アイテム、武器、治療院、買取など)。
そして、2階が主に簡易宿舎(20人くらい)。
3階が俺たちの仕事場の事務室、会議室、ギルドマスターの部屋。
特に3階は、理由がない限りギルド職員しか入れないようになっている。
「あれ?リク君じゃん。珍しいなこんな場所にいるなんて」
「ソーマさん・・・実は」
「あのエルさんが新しい魔法を試したいから事務長とクエストに行ったと・・・」
「「・・・」」
「焼け野原にならないといいな」
「そんなことよりも受付ですよ!」
「エルさんの魔法がそんなことよりも、か」
「一大事ですよ!ソーマさん代わって下さい!」
「無理、俺はこのクエストに行くことになっている」
『危険区域S(蠢く森)、キラービースト20体』
「・・・生きて帰ってきてください」
「おう!」
俺とソーマさんは、そこで別れた。
ソーマさんと別れた俺は中央にある受付カウンターに向かったが、冒険者は殆ど居なかった。
「俺いる?」
「あ、リク君、ナイスタイミング!」
受付カウンターの右側(BからAAAランクまでの受付)から俺を呼ぶ声が聞こえた。
「キュウマさんどうかしましたか?」
「いいタイミングで来てくれた!」
「いいタイミングとは?」
「はい、これ」
キュウマさんから渡されたのは20枚程度のクエストの紙。
「これは?」
「Sランク以上のクエスト用紙」
「・・・燃やしていいですか?」
「燃やしたいのはわかるけど、規約違反なので駄目」
「ですよね~・・・でもエルさんが戻ってくるから!」
「事務長のクエスト、3日くらいかかると思うよ。エルさんがいても」
「オワタ\(^o^)/」
俺の長い長い3日間が始まった。




