表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

第1章冒険者の街:テンラム ー3人の冒険者

「あ〜、何か面白いもんないかな〜。」


ノゾミは二人と勢いよく別れたは良いものの特に目的もなかったため、ふらふらと森を進んでいた。


「俺もアキトと一緒に王都行ってりゃ良かったかな。けど、みんなバラバラになる雰囲気だったしな〜。」


そんなことを呟きながら既に3時間は森を進んでいた。


「あ、そうだ。親父の本見てみるか。何か書いてあるかも知れないし。」


カバンからゴソゴソと中身を取り出して、ライネルから貰った魔法書を開いた。


「何だこれ、何にも書いてないじゃんか。10年の間に色落ちしちゃったのかな。」


よく目を凝らしてみて見るものの何も書いていない。


パラパラと最後までめくって見たが、どのページも完全に白紙だった。


「師匠、まさか渡す本間違えたとかじゃないよな…。」


「すまんのぉ、間違えてしもうたわ。オッホホ。」


とでも言いそうな師匠をイメージしたノゾミはどっと疲れてしまった。


「これで完全に手掛り無しか…。よし、じゃああの木の棒が倒れた方に今日は真っ直ぐ進もう。」


道端に落ちていた50cm程の木の棒を手に取り、垂直に立てる。


「さあ〜、どっちだ!」


木の棒は左側に倒れた。


しかしそちらの方角は…


「おいおい、今歩いてきた方じゃん…勘弁してくれよ。」


完全に意気消沈してしまったノゾミは


「こうなったら真逆に進んでやる。右方向に全力ダッシュだ!」


完全にヤケになり、右方向に全力で走り出す。

その先に道が無いことに気づかないまま…。


「ってあれ…落ちるぅ〜〜〜。」


勢いそのままに崖から転落していった。

これは天からの罰かと思い、これからはちゃんと占いは信じようと決めたノゾミだった。


「いてて…。どのくらい落ちたんだよ。もう方向も分かんないし。こりゃ今日は野宿かな。」


周囲を見渡したところで落ちた先は人が作った道であることがわかった。

一面草原で、森とは違い見晴らしは良いものの逆に何も近くに目印になるようなものも無い。


「ってことはここはよく人が通るのか?森から草原に変わっただけで建物も何も見えないのは変わんないけど。」

崖から落ちた時にカバンから散乱してしまった荷物を拾い集めていると、遠くから何か音が聞こえてきた。


「何だ、凄い砂煙がこっちに近づいてくるぞ。」


轟音を鳴らしながら、砂煙を起こしながら近づいてくる塊が希には見えた。


「馬車でも無いし、ってアレなんだ!めっちゃかっけーぞ。」


タイヤを4つ前後に着けた鉄の塊が猛スピードで希に迫っていた。

そしてノゾミに気づいたのか近くまで来ると鉄の塊が止まった。


「おい、坊主。こんなとこで何やってるんだ?」


窓を開け中に乗っていた中年の大男が声を掛けてくる。


「え、俺は坊主って名前じゃなくてノゾミだぞ?おじさんこそ誰なんだ?」


「あ?そういう意味じゃねえが、まあ良い。俺はゴードンだ。こんな草っ原で何やってんだ?」


「俺はあっちの崖から落ちちゃったんだよ。どっか街に行きたいんだけど、ゴードンは知らないか?」


「街だ〜?こんな所にあるわけねぇだろ。ここから一番近い街でもテンラム。歩いて行ったら1週間はかかるぞ。」


「え、マジかよ。進む方向間違えたのか…。」


「俺たちは王都からテンラムに向かってんだ。そっちに行くってなら乗せてってやっても良いぞ。もちろん料金は払ってもらうがな。」


「本当か?ていうかゴードンの乗ってるこれって何だ?馬車でも無いし。あんなに速くどうやって動いてるんだよ。」


「お前、魔道車も知らねえのか。どんな田舎から来たんだよ。これは魔力で動かしてんだ。馬車の5倍は速く走れるぜ。」


「すっげぇ!これ魔法で動かしてるのか。やっぱ都会は進んでんな〜!」


魔道車の周りをペタペタ触りながら感激で目を輝かせる。


「おい、いつまで触ってんだ。速く乗れ。俺たちもちょいと急いでるんだ。」


流石に痺れを切らしたゴードンがノゾミを急かす。


「あ、ごめん。お邪魔しまーす。」


ノゾミが乗り込むと中にはゴードンの他に男女一人ずつ乗っていた。


「話は聞いてたが、面白えやつだな。俺はコンだ。よろしくなノゾミ。」


金髪で少しやんちゃな印象のある男、コンが声を掛けてきた。


「他にも乗ってたのか〜。思ったより中広いんだな。よろしくなコン!」


中をぐるっと見回してノゾミがまた感激している。


「んで、そっちの人もよろしくな。」


ノゾミには声をかけて来なかった女性に向かってノゾミは声をかけるが


「…。」


その女性は二人に比べると若くノゾミとそこまで年の差は無いみたいだった。


「あれ?」


「あー、そいつはあんまり愛想がなくてな。いつもそんなんだから気にするな。そいつの名前はティムだ。」


「そっか、恥ずかしがり屋なんだな。俺の村の子でも似たようなタイプいるから大丈夫。でも一応挨拶しとくな。俺はノゾミ、よろしくなティム!」


「…よろしく…。」


小さな声でティムが呟くように返事をした。


「おう!」


それに気づいたノゾミは満面の笑顔だった。


「あのティムが珍しいな。」


コンは珍しいものを見たような表情で驚いている。


それは運転席に座っていたゴードンも同じだった。


「そういや、聞いてなかったけど、3人はそのテンラムに何しに行くんだ?」


「俺たちは元々テンラムの出身だ。ちょっと仕事で王都に行ってただけでな。」


「仕事?」


「ああ、俺たちは冒険者なんだ。」


ゴードンは迷いなくそう答えた。


これがノゾミとゴードンたちの初めての出会い。

どのような冒険がノゾミを待つのか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ