目覚めた流れでは屈しません
これから数日間の間少し忙しくなるので更新は年明けになるかもしれません。
もし大丈夫なら2日後に投稿させていただきます。
気を失っていた僕はふと気付くと何か柔らかなものに包まれていた。
とてもふわふわとしていて暖かく、とても心が安らぐ。
まるで母親に抱かれているかのようなこの感覚にずっと身を委ねていたいけれど、自然と僕の目は覚めていく。
「んっ・・・」
僕の体が動いたからか先輩の声が聴こえてきた。
あれ?なんで先輩の声がするんだろう?
「あら、目が覚めた?るかくん、おはよう。」
僕はどうやら夏織先輩に抱きしめ、抱きしめ!?
「あっ、あわわわわわ」
「焦らないで大丈夫、今はこのままでもいいのよ?」
あれ?どうしてこんな事になってるの?
僕何かしたっけ?
でも、恥ずかしい、流石に抱きしめられながら頭を撫でられるのはとても恥ずかしい。
「あっあの、もう大丈夫ですっ!」
「あら、そう。」
ちょっとしょぼんとした表情を浮かべる夏織先輩。
ずっとあのままでいたかった気もするけどそれは男として負けた気分になります。
「るかくんも目が覚めたようだし、私たちからこの国の現状を説明させてもらうね。」
僕が夏織先輩から離れた時にクレア先輩が話を始めた。
「あ、ありがとうございます!」
気を失っていたので助かります。
「まずこの国の状況、現在力の魔王率いる魔族の国と戦争の寸前らしいね。」
「戦争ですか?」
いきなり物騒な話です。
「そう戦争、力の魔王の配下の将の一人、剛力のブラストっていうのが率いる軍がこの国の国境付近に滞在しているって話みたい。」
「それで僕たちは何をすればいいんですかね?」
「とりあえずは勇者としての力を自覚して欲しいって言っていたね。」
「勇者としての力?」
「何でも王様達が言うには勇者として召喚される人は、力に関する能力、魔法に関する能力、治療に関する能力、守護に関する能力の4つをそれぞれ一つずつ持って召喚されるらしいよ。」
絵美先輩がすっと話に入ってきました。
「それを自覚する必要があるって事なんですね?」
「そういうことだね、私はなんとなく自分の能力が何か分かってるよ。」
「もうですか!?」
「いや、なんていうかね見えるんだよね。」
「見える、ですか?」
「多分、これが魔力ってやつなんだと思う。」
絵美先輩は魔力のようなものを感じ取る事が出来るようです。
「私はまだ分からないわね。」
「私もまだかな?」
「でも勇者としての能力に自覚したら戦わないといけないんですかね?」
正直この体でまともに戦えるように思えないんですけど・・・。
「王様達としては一度だけ能力を使って相手に勇者の力をアピールしてくれたらいいと言っていたけれど、最悪何度も戦う可能性もあるわね。」
「ちょっと不安です・・・」
「大丈夫、何があってもるかくんは護ってみせるから、安心して。」
夏織先輩がそう言ってくれました。
でも違うんです
「それは僕の台詞ですよ!!!」
「あら?今のるかくんは可愛い女の子なんだし、先輩に甘えていいのよ?」
確かに否定出来ません、ですが
「でも、僕は先輩が傷付くところなんて見たくないんです・・・」
僕は顔を伏せながら恥ずかしそうにそう言いました。
「「「あっ」」」
「えっ?」
今度は先輩達が急に倒れました。
急に体調が悪くなったんでしょうか?
大変です、誰か呼んでこないと!
-夏織視点-
るかくんが起きた瞬間るかくんの体がびくっと震えた。
その振動に思わず声が出てしまい、るかくんが私に抱かれていることに気付いたようだった。
私は慌てないで、って声をかけたけれど、るかくんは慌てて私から離れてしまった。
もっと抱かせてくれても良かったのだけど、流石にそれは言えないわね。
その後に今の状況を説明して自分の力の自覚をする事がまず最初の目標だと説明し、戦いの可能性について話をしたわ。
それで私がるかくんを守ってあげるなんて言ったのはいいのだけど、その後のるかくんの表情がヤバかったわ。
頰をほんのり紅く染めて、伏し目がちにこちらを見ていたの。
その表情が余りにも可愛くて私は意識を失ったわ。
-クレア視点-
はぁ、るかくん本当に可愛い。
夏織に抱かれて幸せそうに眠る顔でライス5杯はいけそうだわ。
そんな様子を暫く眺めているとるかくんがびくっと動いた。
そうしたら自分が夏織に抱かれているのに気付いたみたいでとても慌てているようだった。
やばい慌て顔めっちゃ可愛い。
あー、夏織場所代わってくれないかな。
その後はるかくんが寝てる間に簡単に受けた説明をるかくんにしたんだけど、なんかるかくんが最高に可愛い表情をしたのを見てしまった私は意識を失った。
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