真実になんか屈しません
今日はプロローグと一話の投稿です。
召喚される日の朝の9時のその少し前、僕は大量の調味料、保存食を用意してその時を待っていた。
もし持っていけなくても腐らないものなので気付いた誰かがなんとかしてくれるだろう、そう考え、家の鍵も開けっ放しにしておいた。
「もう、9時かぁ、本当に異世界なんてあるのかな?」
僕がそう呟いた時僕の視界が大きく揺らいだ。
「これが、召喚?」
そう呟いた瞬間僕の意識は途切れた。
・・・・界・適・・・へ・・成・・・・・
何か聞こえたような気がしたけれどよくわからなかった、ただ今はふわふわとした感覚に包まれていてとても心地がいい。
今は、この感覚に、身を、任せ
-王城-
「よくぞ参ってくれた、勇者達よ!」
「私達のメッセージに応えて頂き本当にありがとうございます!」
そう声が聞こえた瞬間僕の意識は元に戻った。
「ん?なぜ全員女性なのだ?」
「ぼ、僕は男です!」
あれ?妙に声が可愛いような気がします。
「い、いやどう見ても可愛らしい幼女にしか儂には見えぬが・・・」
幼女?失礼ですね、ぼくの身長がいくら小さいと言っても幼女は無いでしょう?
「えぇ、とりあえず私からご説明させて頂きます。」
この国のお姫様と思われるエメラルドグリーンの髪の女性が話しかけてきました。
「えぇそうね、よろしくお願い出来るかしら?」
黒髪ポニテの少女
そしてぼくが告白した大好きな先輩でもある彼女の名前は長谷川夏織、どちらかと言えばクールビューティと言った印象でしょうか?
何故ここにいるのか良くわかりませんが、先輩がそう返事をしていました。
「この国の名前はミリアネス、そして私はこの国の王女であるエリア=ミリアネスと申します、そしてこちらにいる方がこの国の王である」
「グラン=ミリアネス17世だ、よろしく頼む。」
「もう、お父様ったら、私が紹介しようと思っていましたのに。」
頰をぷくーっと膨らませて突っ込んでいます。
お姫様のイメージが強いのでギャップでとても可愛らしく思えます。
「ははは、すまんな。」
王様と言われた人は筋肉もしっかりついていてガッチリとした体格をしています。
正直羨ましいです。
「この国の現状についてのお話の前に貴女方のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「私の名前は長谷川夏織よ、よろしくお願いするわ。」
夏織先輩が名前を告げるその姿もやっぱり綺麗です、でも今はちょっと気まずいですね。
「私は加藤絵美、よろしくね?」
茶髪のショートヘアの先輩の加藤先輩もいるようです。
「私はクレア=ホワイト、クレアと呼んでもらって大丈夫ですよ。」
この人も同じ学校の先輩で銀髪のショートツインテールが印象的な人です。
留学生ですが日本語がとても上手な人です。
「それでは、貴女は?」
とうとう僕に順番が回ってきました。
「えっと、僕は有栖川流華、流華とよんでください!」
「「「えっ?」」」
先輩達が僕を見ながら唖然としていました。
「ど、どうかしましたか?先輩?」
「「「ほ、本当にるかくんなの?」」」
「そ、そうですよ!いくら僕が女の子みたいだからって酷いですよぉ!」
「「「いやむしろ女の子なんだけど」」」
何を言っているのでしょうか?
僕が女の子なわけないじゃないですか!
「よくわかりませんが、説明の前に流華様のお姿を確認したほうが良さそうですね、こちらの姿身をお使いください。」
そう言ってメイドのような人が大きな鏡を持って部屋に入ってきました。
そして僕は僕の姿を確認しました。
おかしいですね、なんで見たこともない女の子がいるんでしょうか?
「えっ?誰ですか?この可愛い女の子は?」
「「「るかくん」」」
「えっ?」
「ええええええええええええ!!!???」
「嘘ですよね!!僕は男ですよ!」
「「「さ、さっきまでは多分、うん、多分男だったと思うよ?」」」
多分だなんてひどいです、先輩達はぼくの事を何だと思っているのでしょうか?
「うぅ、いったいどんな魔法を・・・」
「あ、あのー流華様?」
「なんですか・・・?まだなにかあるんですか?」
エリア姫がぼくに話かけてきました。
もう何を言われても絶望しか感じなさそうです。
「いえ、その姿見ですが、ただの鏡ですので、その姿が貴女の今のお姿ですよ?」
「・・・」
嘘だ、嘘だ、ぼくは男らしくなるためにこの世界に来たのであって女の子になるためじゃないんだ、どうしてこんな事に・・・
そんな事を考えていると涙が目から溢れ出してきました。
「うっ・・・うぇぇぇぇ・・・」
「「「る、るかくん!?」」」
「僕は男らしくなれると思ってここに来たのにこんなのあんまりだよぉぉぉぉ!」
「るかくん!」
ぎゅっ
「せ、せんぱぁい・・・」
大好きな夏織先輩がぼくを抱きしめて頭を撫でてくれています。
恥ずかしいはずなのにどこか安心して、そして嬉しくもある自分がいます。
そこで緊張の糸が切れたのかぼくの意識は途絶えました。
-先輩達視点-
私の名前は長谷川夏織
好きなものは可愛いもの全般
家にはぬいぐるみなんかも沢山置いてあるわ。
学校ではクール系だなんて言う人も多いけれど私の中身はどちらかと言えば乙女、だと自分では思っているわ。
そんな私がここ最近ずっと愛おしくてたまらないもの、それがるかくんよ。
初めて見た時は衝撃を受けたわ。
あれほど可愛い男の子が存在したのか、って。
それからずっと私はるかくんを後輩として可愛がってきたわ。
そうしたらある日るかくんに告白されたのよ、あの時は心臓が爆発するかと思ったわ。
勇気を振り絞って告白してくれたるかくんの姿を見たらもう抱きしめたいのなんのって。
でも私には他に二人るかくんの事を好きな子がいるのを知っていた、その子達の事を裏切る事は出来なくてつい、嘘を言ってしまった。
実は少し後悔しているの、告白受けていたらるかくんは今こうなっていなかったんじゃないかって。
でも
「(ああああああああああああああああああ何この尊い生き物!!!!!!!!!!!泣いてるところまで可愛いすぎる!!!!!!女の子同士でも構わないわ!!!!!結婚したい!!!!!!無理!!!!助けて!!!)」
私はるかくんの頭を撫でながら抱きしめている、そのるかくんの姿はとても儚げで今にも消えてしまいそうなほど。
間違いなくるかくんをそのまま女の子にしたような姿のるかくんがここに、確かに存在していた。
なんて事をそれっぽく言っていても私の心は興奮しまくりで大変な事になっているわ。
「気を失ってしまったようね、よっぽどショックが大きかったのかしら。」
「夏織、どうだった?」
「夏織、ずるい。」
「もう、尊すぎてやばい、死んじゃう。」
取り繕う事も出来ないくらい、最高だわ。
「あ、あのー」
完全に放置されていたエリア姫の事を忘れていたわ。
「あら、ごめんなさい。」
「い、いえ、大丈夫です、状況を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「そうね、まずこの子はるかくん、それは本人からも聞いたわね?」
「えぇ、聞きましたね。」
「この子は前の世界では男の子だったの、但し、小さくて可愛らしい、そんな男の子。」
「という事は、流華様はそのショックで?」
「この世界に来たのもおそらく勇者なんていうのが男っぽいからって思ってたからなんじゃないかしら、この子両親ももういないって言っていたから残す家族もいないから。」
「そう、でしたか。」
エリア姫は少し落ち込んだ様子だった。
「あの、エリア姫に聴きたい事があるんですけど、いいですか?」
クレアがエリア姫に質問をするようね。
「あ、はい!大丈夫ですよ!それと私の事はエリアとお呼びください。」
「えぇ、分かりました、単刀直入にお聞きしますね。」
「はい、私に分かる事であれば。」
「女同士で結婚って出来るの?重婚は出来るの?」
「「クレア!!!!!!?????」」
何て事を聴いているのこの子は!?
「えぇ、出来ますよ?女性同士でも子供を作ることが出来ますし。」
「「「えっ?」」」
ここが私達の楽園だったと言うの?
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