表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/37

第?話 求める者

暗がりの洞窟の中で少女は夢を見た。

「??ちゃん!起きないとまた遅刻しちゃうよ!もう??ちゃんたら!」

誰かの声が聞こえる。誰の名前を呼んでいるかすら分からないが

薄っすらと光が見え、あの子だと理解する。

「まだ……遅刻しないと思う……多分」

布団を深々とかぶり、声を遮る。

「いや……うん、そうなんだけど」

あの子が珍しく歯切れの悪い感じで毛布を揺すった。

何だろう……いつもと様子が違う気がする。

ただならぬ様子に布団をどけて、目を開けた。

すると懐かしい声はすぐに消えてしまった。

最近、眠るとこの夢を見せられ続けている。

そして、起きると唇から血が出るほどに噛んでいた。

微かに期待したのだろう、あの日に戻れたらと。

しかし、目を開ければ見れる光景は何も変わらなかった、何度見ても変わりはしない。

周りには朽ち果てた建物しかなく、動物や人間は居ない、ほぼ常に黒雲が立ち込めている最悪の場所。

「ふふ、やっぱり私に希望は似合わないのか?」

そんな最悪の場所で私は、誰かに問い続ける。それが誰かはもう少ししか覚えていないが。


「私は……お前を探してやるぞ、そして今度こそ……スノーお前を」

たった一度会っただけの少女、相手は覚えていなくても、私はもう一度あの顔が見てみたい、だからすべてを壊してでも。



私のいる場所は人が住む場所とは少し違う。この世界は魔女界と言われていて、人の入ってくる事が出来ない世界なのだ。ごく稀に入ってくる奴もいるが、大体は瘴気にやられてしまう。


「魔女様、スノー様を探すために発見できませんでした。一応それらしき人を見たと言うものが居たのですが、逃げられてしまい……」

洞窟から出て、家に着くと、黒いローブを着た女が居た。

昨日あの子を探せと命令したのが間違いだったのかも知れない、頭を抱えそう思った。

「し、しかしティーニアが追い詰めたと話してましたし、後少しで、見つかるかと」

「……もしかして、殺そうとしたりしてない?私の友達を・・・もし何かあったら……」

最後までは言わなかったが女はその先の言葉を理解し、頭を地面に打ち付け、許しを乞う。

「そ、そのような事は無いようにと思ってやっているのですが、なにぶん我々も集団ですので」

「統率が出来ていないのを自分のせいでは無く、仲間のせいだと?」

「ッ!そ、そのような事は」

額から血を垂らしながら、ひたすら、許しを乞う姿はとても腹立たしかった。

「もういい、下がれ、次は頼みます」

二度目のチャンスを貰え、女は喜び、くだらない忠義誓う。


「……違う、私が欲しいのは忠義ではない、ただ……一緒に居てほしいだけなのかも知れない」

瓦礫に座り、目を瞑り天を仰ぐ。

「スノー、お前にもう一度会いたいな」

この日少女は何百年ぶりに願いをこめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ