表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/37

第4話 読めない文字

「あの、ミーアさん、何処に向かってるんですか?」

食事の後、ミーアに用事があるから一緒に来てと言われた。

何の用だろう。

「お客様、後少しです」

期待もしていたが、無事に自分の部屋に帰れるかが不安になってくる。


「ここです、着きました」

数分間歩き続け、どうやら目的地に着いたらしい。

「ここなの?ここには何があるの?」

案内された先には巨大な扉があり、その上に文字が書いてある。でも読めない。

多分イーグリットの文字だ。

貴族間や王族など扱う人が限定的なイーグリット文字初めて見た。確か一般市民が使うと捕まってしまう。と言うか使おうにも分からないから使えないので別に関係ないけど。

「えっと、ミーアさんは上の文字読めるの?」

質問すると、すぐに首を横に振る。

「この文字をこの屋敷で扱って良いのは、レーテ様だけです」

文字を見ながら、冷静に答えた。

「そうなんだ」

「はい、たとえ、この家のメイドであろうと、貴族様に雇ってもらっただけの存在、出過ぎた真似はできません」

淡々と自分の立場を語る。

「入りましょう!疲れましたから」

昨日の森の件で全身がまだ痛い、簡易的な治癒魔術は掛けてもらったのは分かるけど、長い間活動するのは、無理。

「はい、実は私も、少し疲れてしまいました」

メイドとして、立っていることが多いミーア、いつもなら疲れもしないはずの距離なのに、今日は何故かだいぶ疲れてしまった。

二人で目配せし、息ぴったりに両方の扉を同時に開けた。


「す、すごい···」

スノーは目の前に広がる、本やきらびやかな装飾が施された場所に足を踏み入れる。昔から本は好きな方なので目を輝かせている。

ここまで本がある、図書館は王都に行かないと出会えないくらい珍しいと思う。

「わあ〜、すごいよ!見渡す限り本ばかり、どうしてここに連れてきたの?」

私は家に来て、好きな事とかは、誰にも言っていない、何処で知ったのだろうと考える。

「え〜と、図書館好きそうだったから、それとお客様はこの家に来てからすごいを連発して言いますね」

ミーアは内心ドキドキだった。もし好きじゃなかったらどうしようと考えていた。失敗がとても怖く、スノーに嫌われたらと歩いている間ずっと考え、足が震えていた。



・・・・・・・・・・・・・

まだ昼の明るい時間にレーテとメイドはカーテンを締め、ドアに鍵を掛け話をしている。

「レーテ様、あのスノーと言う少女をどうするおつもりですか?」

メイドに言わせてもらえれば、あのような子供を家に入れたいとは思わない、どうするかと聞いたが選択肢は一つしかない、きっとレーテ様もそう思って下さっていると思っていた。しかし

「あの子は養子にするつもりだよ」

予想と反して、あってはならない事を口にした。

「何故ですか?あの娘は村娘なのですよ、それを貴族の養子など」

「何故か、う〜ん、とても信じられないかもだけど、あのスノーって子何かあるよ」

「何かとは?一体何なのですか?」

レーテ様ですら分からない事、そんな事が存在するはずがない、だからその何かを聞いてみた。

「さー、分からない」

レーテは首を振っている。

「分からないですか、ならそんな危険な存在を置くわけには」

「確かに危険かもしれない、でもねあの子なら私が届かなかった何かに初代の様に行けるんじゃないかなと踏んでいるんだよ」

あの後、私は奴らについて調べた。

そして分かったのは、奴らは魔女を信仰としている教祖たちだった。それが何故スノーを追っていたのか分からない。奴らは物を奪う盗賊とは違う、魔女の言うままに動くだけなのだ。魔女が命令しなければ奴らが村を襲うはずがない、それもスノーと言う少女だけを探してなんてあり得ない。


「・・・分かりました、レーテ様の意向であれば私達も」

メイドは頭を下げ、持ち場に戻っていった。

「魔女か、懐かしい気がする、数十年ぶりかな」

カーテンを開け、太陽を見上げそう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ