第34話 変化
あの日からリテシアはファルシアと今まで以上に仲良くなった。二人で学園に入学したり、あらゆる魔物を倒したり、いつしか私達は有名になっていった。
「ようやく、有名になれたね、ファル」
「そうだね、リーテ・・・・これからどうしよっか?」
夜空に浮かぶ、沢山の星を見ながらポツリと呟く。
「ん〜、どうしよう、まだ何も考えてないや」
「へ〜、あのリーテ様でも無計画に突っ走ることってあるだ」
からかうように言う。
「ちょっと〜、ファル、からかわないでよ〜」
リテシアは頬を赤らめ、ファルシアをぺしぺしと叩く。
「ふふっ、ごめんごめん」
「べ、別に謝ってほしい・・・・ことじゃ」
恥ずかしくなると、もじもじするところは相変わらず変わらないらしく、可愛いと思った。
月日は経ち、リテシアは覇王になった。誰もが憧れる覇王にリテシアはなった。もちろん私も嬉しかった。友達が憧れているものになれたのだから、でもそれが間違いだったのかもしれない。リテシアは覇王になって数日でどんどん壊れていった。一ヶ月経った頃にはあの時のリテシアではなくなっていた。
「ねえ、リーテ?大丈夫?」
「ふふふあははは、大丈夫さ、当たり前だろ?なんたって私は最強なのだから」
歪んだ笑顔に笑い返すことができずに、絶望する。
「ファル、もう疲れたよ」
久しぶりの優しい声に不思議と声が漏れる。
「えっ?」
「だからさ、ファルシアごめんね」
最後に見た姿は黒いワンピースに身を包み、私に涙を流すリテシアの姿だった。その姿はまるで
「・・・・魔女」
のようだった。
「リテシア、私はどうすればいいの?」
リテシアは覇王になり人を救い続けた、人がリテシアをあんなふうにした?
「・・・・ゆる、ない」
ファルシアは霞むのような声で憎悪を撒き散らした。黒い霧のようなものはそれに呼応するように辺りの木々を腐らせる。
「絶対に、許してなるものか!我が友をリテシアをよくも、よくも、絶対に殺す!殺してやる!」
地面に爪を立て、血がにじみ激痛が走るが気にする素振りもなく続ける。
「我が名はリーテ!破壊の魔女リーテだ!そのすべてを破壊してやる、人間どもめ」
自分が知りうる、かっこいい言葉を付け、すべての人間を恨み、殺戮の限りを尽くす。
赤く染まった私の服を見て人々は血の魔女と呼んでいた。
ある時私は油断して敵の矢を受けてしまった。
「クッ、私が油断するなんてね」
木に寄りかかり、矢を抜く。激しい痛みに気が飛びそうになるが、奮起し立て直す。
「あのあの、だいじょうぶですか?」
まだ小さい少女が駆け寄ってくる。おそらくは4歳程度だろう。
「近寄るな!お前ら人間に触れられたくない!」
風魔術で突風を起こし、人間を吹き飛ばす。
「きゃ、いたた、う〜、けがしちゃった、でもでもこれであなたの痛みもわかるね」
この少女の言っていることが分からず首を傾げる。
「頭でいかれてるのか?お前」
「むぅ〜、私、お前ってなまえじゃないもん、私はすのーだもん!家名は・・・・あれ?なんだっけ?」
まだ拙い、言葉で必死に伝えてくる。それが面白く笑ってしまう。
「おま・・・・スノー、何故私に話しかけてくる?知っているはずだぞ、私が悪いやつだって」
「えぇ!?あなたって悪い人だったの!」
いつもと同じだ、結局は人間怯えて逃げる。それか命乞いだろう。呆れる、この少女場合は逃げて親にでも泣きつくのだろう。
「どうした?逃げないのか?死ぬぞ」
いつまで経っても、私を見て悩んでいる。
「・・・・ちがうきがする、だって悪い人って忠告してこないもん!すぐころすもん!こわいもん」
真っ直ぐなキラキラした目で、訴えかけてくる。
「私が怖くないと?」
「うん」
コクリとうなずき、再び近づいてくる。
「いかれてるな」
「えへへ、よく言われる」
「お前、いじめられるの?」
側によって来たスノーを見て驚く、全身痣だらけだったのだ。同時に不思議に思った、何故この子は笑っていられる?何故輝いていられる?
(何となくだよ!みんな何となく輝いているんだよ!)ふと昔のことを思い出した、リテシアと話している時の事を。
「う、うん、いじめられてるのかな?私には分からないけど、たぶんそう」
「・・・・そう、なんだ」
「うん」
気まずそうに、目を背ける。
「よし!ならこれをあげるわ」
首を傾げるスノーの手に私の魔術で作った水を一滴垂らす。
「なにしたの?」
「ないしょ、でも助けてほしかったら、願いなさい、きっと良いことが起きる」
スノー、あなたは私にどんな未来を見せてくれるの?頭を撫で、私は夜の闇に消えていった。




