第33話 始まり
私はファルシア、名家に生まれ何不自由ない暮らしをしてきた。剣の腕も魔術に関しても誰にも負けない自信があった。実際姉であるファルシオンにも一回だけ勝ったことがある。王様にも叙勲してもらった事もあり、栄誉の騎士とまで言われた。
「お姉ちゃんお姉ちゃん、これすごいでしょ?」
「へ〜、勲章を貰ったのね、すごいじゃない」
お姉ちゃんは頭を撫でてくれる。私は頭を撫でてもらうのが好きだった。お姉ちゃんの香りは大好きだし、とっても安心するからだ。
「お姉ちゃんは?」
「私?もちろん貰ってるわ、ほら」
そう言って沢山の勲章を見せてくれる。それを見て目を輝かせている。それが私だった周りの世界を見ずに姉だけを見ていた。
「お姉ちゃん、また貰ったの?」
「えぇ、王都反逆軍から守ったからね」
どんどんと離れていく、追いつけないでも悔しいとは思わなかった。だってお姉ちゃんは天才だから自分みたいな凡人には勝てない相手、一度勝った、それだってきっと加減されていた。
「私も、お姉ちゃんみたいになれるかな?」
一度だけ聞いてみたことがあった。その時は
「なれるわ、きっとね」
お姉ちゃんは天才だ、だから私の気持ちが分からない、ずるい、何で?おかしい。だんだんお姉ちゃんへの思いは怒りに変わっていこうとした。
ある人が私を止めてくれた。その人は私と同じ凡人のはずなのに輝いていた。
「どうして?」
霞んだような声で聞いてみる。
「えっ?何の話?もしかして〜、何か悩み事でもあるの〜?」
「いや、どうしてそんなに輝いていられるのかなって」
「あはは、そんなの決まってるでしょ、何となくだよ、みんなそう何となく輝いている」
ファルシアは分からないから首を傾げている。
「そうだな〜、みんなには夢がある、人はね夢があるから輝いていられるんだよ」
微笑み、芝生に腰を下ろす。
「夢、ならあなたの夢は何?」
手をグーにして胸に添えて自慢げに言う。
「私の夢は覇王になること!つまり最強になることだよ、凡人には叶えられない誰もがそう言って諦めてきた、けどそれも私が覇王になって終わるんだよ、だって凡人の私でもここまで来れるんだぞーって言ってるようなものだもん!」
馬鹿らしい話だ、でも夢に向かって走るあの子はとてもかっこよかった。一緒にいれば自分まで自信が湧いてくる気までした。
「あなたは面白い人だね、夢か、じゃあ決めた!」
芝生に倒れ込み、手を掲げて言った。
「私の夢はあなたのサポートをする事!」
この言葉を言ったのが始まりだった。
「私は、ファルシア、家名はないよ」
「私は、リテシア、同じく家名なんて物はないよ」
お互いに手を握り、誓いを交わした。




