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第29話 喧嘩

「我は魔女の代弁者、魔術の精霊共に命じる我らをかの地に誘え、てれぽーと」

せっかく全部言えたのに、最後のところ変になってしまったので落ち込む。

「お願いではなく、命令」

ミーアはポツリと呟いたと思うと、辺りが真っ白になり、一瞬ふわっとした感覚に陥るが次の瞬間目の前には、鉱山地帯がある。ここは鉱山地帯と言われているがすでに廃棄されていて魔物の巣になっている。


「せ、成功?」

「はい、成功です、しかしスノーに魔術の才能があったなんて、レーテ様が知ったらきっと喜びます!」

すのちゃん呼びは恥ずかしかったのかスノーと呼ばれていた。スノー的にすのちゃん呼びのほうが好きだった。それ故にちょっとがっかりしたのだった。

「さー!スノちゃんとミーア鉱山に突入しようにゃ」

手を上に突き上げ高らかに言った。

「はい、お姉ちゃん行きましょう」

三人は歩いて数分経ち立ち止まる。目の前には、見たこともないような巨大な穴が空いていて、中は暗く何が居るか視認できない。

「・・・こ、こここにははは入るの?」

初めての洞窟探検に緊張する。

「はい、入ります」

「とっても暗いにゃ、スノちゃん大丈夫?」

私達猫族は暗い所に慣れているから良いが、人間であるスノーはどうやっても克服する事が出来ないので心配だ。

「わ、私はミーアに」

ガシッと袖を掴み、目をうるませてそう言った。これはリーテから相手を落とす方法と教えてもらったのだ。

「は、はいではそのままで行きましょう!」

冷静さを失わないように深呼吸をして中に入った。洞窟の中は想像以上に不気味だった。コウモリが飛び立ったり、風の音が声に聞こえたり頭では分かっていても体は鳥肌が立ってしまう。

ただ逃げ出したいとは思わなかった。スノーの怯えた声が聞こえてきて、何というかもっと聞きたかったからだと思う。

「こ、呼吸が荒いスノちゃん、びっくりして私に抱きついて」

ミーアはぶつぶつと呟きながら笑みを浮かべている。恐怖でおかしくなってしまったミーアの前に立ち手を差し伸べた。

「ミーア、大丈夫?平気?こ、今度は私が前で守るよ」

本当は、恐怖で足が震えているはずなのに、微笑みミーアを安心させようとしている。

「ねぇ、ミーア」

「何ですか?」

真っ暗な場所で二人っきり、ミーアにとっては夢のような空間だった。

「座ろっか、ちょっと疲れたよ」

スノーは腰を下ろし、膝を抱える。

「えぇ、私も疲れました」

スノーの隣に座り密着する。普段は隣に居るだけで緊張するのに今日だけはとても落ち着いていられた。

「ねえ、ミーア知ってる?」

「何をですか?」

人差し指を立て、いたずらっぽく笑った。

「魔女のお話」

「へ?」

意外な事を言われて間の抜けた声が出てしまった。

「破壊の魔女ってさ、あの屋敷の本を読んでから気付いたんだけど、悪い人じゃないと思うんだよね」

「・・・魔女は悪い人ですよ、大罪人です!」

あまりにもふざけた事を言われ強く言ってしまう。伝承の化け物とまで言われた破壊の魔女、絵本や童話では必ず出てくる悪い魔女、誰もが知っているあの魔女が悪人じゃない、そんな世迷言を言うとは思わなかった。

「違うよ、実際に会ったんだ、だから分かるんだよあの子は優しい、悪い魔女じゃないんだよ」

ミーアにはスノーの言っていることが分からない、あの日猫族の村を襲ったのも、すべてあの魔女がやった事、あの魔女さえ居なければ今頃私は楽しい日々を送れていた。

「スノー、どうしてかばうの?あの魔女はみんなの事を殺した!そんなやつをかばうなんて、スノーなんて大嫌いだよ!」

涙を流し、走って行ってしまう。

「ミーア、どうして分かってくれないの?」

もう誰も居ない空間にポツリと呟いた。









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