第28話 私は主?
私達は草原で道に迷った。というのも依頼の場所が遠すぎるのだ。この街から鉱山地帯まで歩いて一ヶ月、楽そうだからと選んだのは間違いだった。
「取ったにゃ!」
チトが暇なのか昆虫採集を永遠としている。
「お姉ちゃん、虫はもう」
野生に帰りかけているチトをガシッと掴む。
「終わりです!」
「えぇ〜、にゃんで〜」
「何でって、それは」
「ほら〜、にゃいんだにゃ〜」
「とにかく、駄目です!気持ち悪いですし」
これを見ていると、どっちが姉なのか分からなくなってくる。
「にゃ?スノちゃん、大丈夫にゃ?」
うるさい妹の気をそらすために心配したふりをする。
「え?スノー様、あっ」
自分の主が考えているのに、遊び呆けていた自分を悔やむ。
「ん?どうしたの?ミーアさん」
「ごめんなさい!私が考えなければならないのに、スノー様に」
早口で言うミーアの薄桃色の唇に人差し指を当てる。
「違うよ、私はあなた達の主じゃない、ただの仲間、だから自分が考えないとなんて思う事無いよ」
「そうなのですか?」
スノーの言っていることは理解できなかった、自分の主であるはずのスノーがそんなことを口にするなんて、だから震える口を動かし聞いた。
「そうだよ、それに様をつけるのやめない?さっきも言ったけど主じゃないし」
主じゃないそれも理由だが、本当の理由は友達だからだ。初めて出来た笑い合える友達、ずっと憧れていた、そんな人達に様付けされたらやだ。
「ミーア、スノちゃんもそう言ってるし、いつまでも様付けは私も嫌だよ」
語尾がまともなチトの真剣さに折れる。
「分かりました、ではスノーで」
「ミーア、もう一声にゃ」
そう言って囃し建てるチトに満更でもない様子のミーアだった。
「さて、そろそろ出発しよう」
私が自信満々に出発しようと言えるのには理由がある。さっきは考えていたのではなく、実際はリーテと話していたのだ。ランクを測るときに気になっていた事があった、ネックレスのお陰でリーテの力が使えるのなら、テレポートなどの移動出来る魔術があるのでは無いかと。それを話していた。
「分かりました、それでどうやって行くですか?す、すのちゃん」
「ええっと、テレポートという魔術があってそれで行くんだけど」
「テレポートですか?それって」
チトと顔を見合わせ、驚いた。テレポートというのは昔に何度か使う所を見た事がある程度だった、まさかスノーからその魔術を聞くとは思わなかったのだ。
「うん、テレポート、とくていのばしょにいくやつ?」
あまり良くわかっていないので成功するか分からない。リーテ曰く、イメージすれば良いらしいがそもそも、鉱山地帯なんて行ったことが無いのでどうすればいいか分からない。確かリーテは自動なんたらとか手動なんたらと言っていた気がする。
「はい、特定の場所に瞬時に移動できる、魔女と言われた者が使える技、その原点が破壊の魔女です」
「えっと、それってもしかして、あの魔女以外は、使えないってこと?」
「はい、破壊の魔女以外に使える者は居ません、いえ一人居ましたが、もうあの方は居ない、だから今は破壊の魔女だけです」
破壊の魔女、伝承の魔女として最強と言われた化け物、お姉ちゃんは知らないだろうけど、私はあの魔女が嫌いだ、あの魔女さえ居なければきっと…
「ミーア大丈夫?はっ!てか、今は歴史のお勉強してる暇は無いよ、早く行かないと」
ミーアにリーテの話はしない方が良さそうだ、理由は分からないけど何だかそんな気がした。




