第2話 驚き
チトと会話をしていると、ドアがノックされる。
「お姉ちゃん?何してるの?」
扉の所からひょこっと、またしてもメイド服を着た猫さんが出てくる。
今度はロングの白髪だ。しかしチトにはない紫色のネックレスを掛けている。
「今お姉ちゃんは、スノちゃんと話してるんだにゃ」
猫さんに向かってチトは自慢げに胸を張る。
「食事には出ないの?出ないとまた怒られますよ、それにスノちゃんってお客様ですよね、駄目ですよそういう言い方は、だからお姉ちゃんはお客様・・・」
チトは妹の会話を遮り、怒りを顕にする。
「そ、そうにゃの関係ないにゃ!私はミーアみたいに節度とか礼儀とか分んないにゃ!」
駄々を捏ねる子供のように地団駄を踏み、チトは何処かへ行ってしまった。
「ごめんなさい、うちの姉が・・・」
チトのお母さんみたいにミーアは頭を下げる。どうやら姉と妹は性格だいぶ違うらしいのかすれ違いが生じている。
「う、ううん、チトは凄く接しやすくて良い人だったよ、だからさあんまり怒っちゃ駄目だよ」
メイドがどんな事をしているか分からない、でもチトのやり方は間違ってない、とミーアに正直に言った。
「あの姉が、本当ですか?」
目を見開き、驚いた。何に対してもやる気を見せなかった姉なのだ、どうやって姉を元気にしたのか気になるが詮索するのは失礼だろう。歯がゆい気持ちもあるがお客様なのだ。
「え、うんとっても」
ミーアが微笑む。きっと姉が成長しているのが嬉しいからだろうとスノーは思った。
「あっ、お客様、後少しでお食事が始まります、食堂の方にご案内しますので」
朝食の説明をする、今度は、姉の事では無く、メイドの仕事としてのミーアを演じる。姉がおかしくなってしまったのだ、なら妹としてやれる事は全部やらなくちゃいけない。それが私に出来るたった一つ恩返しなのだから。
「ねえ、ミーアさんどうして私は助けられたの?」
問われるとは思いもしなかった、言葉に詰るが答えを出した。いや考えるまでも無かった。
「それは、きっとレーテ様だからです」
部屋の扉に手を掛け開ける。スノーは答えの意味が分からず首を傾げるが二度目の答えは帰ってこなかった。
そして頭を下げる度に耳が折れるのがまた可愛いと思ってしまうスノーであった。