第25話 トラブル
今日は何事もなく起きられた、三人は早速冒険者ギルドに来ていた。
「ふ〜、とりあえず着いたね」
そう言ってスノーは建物を見上げる。巨大な扉に石でできた建物、外からでも分かる匂い、とても少女と少女にしか見えない猫族、その三人が入るような場所ではない。
「どうするの?明らかに厄介払いされそうだけど」
耳打ちをする。
「入りましょう、ここで立ち止まっていても時間の無駄です」
冷静そうに見えるミーアだが、緊張してはいけないと、何度も心の中で唱えているのだった。
そんな事をしている間に扉が開き、4人の人が出てくる。先頭の男は邪魔だったのか、ミーア突き飛ばし気にする素振りも無く立ち去ろうとする。
「待ってにゃ!妹を突き飛ばしておいて、謝らないなんて、おかしいにゃ!」
震えている体を動かして、チトが怒る。確かに自分達がここに立っていたのも悪いがあれは無いと激昂している。
「ふん!貴様ら猫族の指図など受けると思うか?」
「猫族とか関係ないにゃ!」
「関係あるだろうが!貴様らは一生奴隷なんだよ、それが俺たちに命令だと、舐めるなよ!ゴミが」
そう吐き捨てて、帰っていく。一度見失えばきっともう見つからないだろう、これでチトとミーアは助かるかもしれない。けど私は、奴隷という言葉が許せなかった、だからネックレスを握り願う。これに何の意味があるかは分からないが何故かそうすればすべて解決する気がした。
「お姉ちゃん、私は大丈夫だから」
姉は普段は優しい性格だが、こういう時は何をしでかすか分からない。
「でも、嫌にゃ」
二人の会話の後、4人パーティの男の一人が突如として倒れ、血溜まりができ、残りの男達が動揺している。
「人間風情がよくも、我が友に触れたな!」
黒い霧のようなものはそう叫び、形を作り始める。そして霧は人になった。黒い服を着た少女リーテになった。
「たかが貴様の様なガキが増えた所で何ができる!」
「人間、お前は私の度量すら測れぬのか?それで冒険者など随分と落ちたものだな」
首を振り、呆れている。
「黙れ、俺達は」
「俺達はAランクのパーティか?」
「な、何故分かる」
「ん?そんなの決まっている、雑魚そうだからだ」
リーテの煽りに乗って剣を抜く冒険者の三人は一斉に襲いかかってくる。
「何だそれは?ゴブリンより低脳だな」
「黙れぇぇぇ!」
男がリーテに斬撃を入れるがすり抜けてしまう。
「な、何だと、貴様いったい」
「どうした?たった一回素振りだけで終わらせるつもりか?」
何度も何度も、男達の連続での斬撃がリーテに降り注ぐがすべてすり抜ける。
「流石に飽きた、機転も発想も無しに突っ込むだけとは」
あくびをして、敵を見すらしない。そんなリーテに腹が立ったのか、男達は力任せの攻撃をする。
「ほう、やっと当てられたか」
リーテの肩に斬撃が当たり、血が滴り落ちている。
「や、やったぞ、これなら勝てる!」
そう意気込む男達の真下にポッカリと穴が空く、いや厳密には黒い湖みたいなものがあるがそこに沈んでいく。
「おっと、すまない、ついうっかり魔術を使ってしまった」
舌を出し、悪びれている。
どんどん沈んでいく男達は、リーテに命乞いをする。初めて見たリーテの魔女としての姿に少し驚く、ここまで圧倒的に相手を潰す戦い方、リーテはさも当然の様にやっているが、ずっと昔に心が壊れてしまったからできる技、そうで無ければきっと
「リーテ、もう」
「駄目だよ、あいつらは君を君の友達を傷つけた、それにこれは君が望んだ結末だよ」
違う、私はただ許せなかっただけ、ようやく出来た友達を傷つけたあいつらを許せなかっただけ、決して殺したいとまでは思っていなかった。
「・・・違うよ、私は」
「あまいですね、君は、それではあの初代と同じように絶望するだけだよ」
今ここで止めてしまえば復讐されるだけ、スノーを守るにはこうするしかない。たとえスノーに嫌われても。
「・・・違う・・・私は」
「スノー、ごめんねでも、これは君を守るためなんだよ」
目の前で起きている出来事を見つめる事しか出来ないスノーは手をギュッと握りしめ、地面に叩きつけた。誰かを頼ろうとするが、チトもミーアも誰もこの光景は見えていなかった、まるで私とリーテと男達しか居ないみたいに。




