第23話 野菜
医者が部屋から出てから、ミーアは様子がおかしくなる。
唇を噛み締め、何かをずっと見つめていた。
「ミーアさん?大丈夫?」
「ミーアどうかしたのにゃ?」
チトも心配なのか顔をのぞかせている。
「・・・えっ?あっ何でもないです」
「ミーアさん、本当に大丈夫?」
「大丈夫です、私は平気です」
口ではそう言っているが、二人には何故かとても辛そうな感じがしていた。
「それより、今日は冒険者ギルドに行かないといけません」
「う〜ん、今行っても駄目な気がする」
私やミーアの体調があまり良いとは言えない状態、そんな中行っても恥をかくだけだ。そんな気持ちをミーアは察し、提案する。
「そうですね、なら洋服屋に行きませんか?ちょうど新しい服が欲しかったので」
「嫌にゃ!あそこは嫌いにゃ」
首を横にブンブン振り、威嚇している。
「チト・・・ねぇ、ミーアさん他の所は駄目なの?」
「他ですか、そうですね」
ミーアは手を組み、部屋内を歩き回り、再び提案する。
「なら、食べ歩きなんて、どうでしょうか?」
確かに、食べ歩きならこの街の事をよく知れること間違いなし何だけど、太りたくないと考える。
「美味しそうなのがいっぱいにゃ〜!」
チトが様々な店を見て喜んでいる。
あの後、食べ歩きに決まり三人は大通りにやってきた。昨日着いたばっかりに居た新大通りとは違い、旧通りと呼ばれている場所は様々な料理が売られている。例えば、オウナリアと呼ばれる魚やウルフの肉の料理などだ。
「す、すごいけど、匂いだけで充分堪能できそう」
歩いてると、店主が話しかけてきた。
「お、嬢ちゃんどうだい、新鮮な野菜は」
そう言って差し出してくるが、緑色でとても食べられ無さそうだけど、本当にこれは食べられるのだろうかと思ってしまうのだった。
「どうかしましたか?スノー様」
「う〜んとね、ミーア野菜って大体あんな色してるの?」
「いえ、緑色以外にも赤や白い野菜もありますよ」
「そうなんだ、所でその野菜って食べられるの?」
スノーが首を傾げて言うと、何故か周りに居た野菜を買いに来ている人達がひそひそと話し始めた。
「皆どうしたのかな?」
「嬢ちゃん、野菜食べた事無いのか?」
「えっと、大体はパンを食べてたから、無いかな」
無いと聞くと、店主や周りの人達が涙を潤ませ、店の野菜をたくさん買い出した。ものの数分で沢山あった野菜はなくなってしまった。そして、スノーを見てくる。
「ねぇ、ミーアさん、私とっても嫌な予感がするけど気のせいかな?」
後退りしながらミーアに聞く。
「わ、私も同感です、この光景昨日も見た気がします」
「嬢ちゃん、これ全部やるよ」
遅かった。逃げる前に店主のその言葉によって、他の人も一斉に声を掛けてくる。
「私達のもあげるわ、これを食べて大きくなってね」「私も」「俺のもだ!」「あっ、ずるいぞ、抜け駆けは許さねえぞ!」
「あ〜、昨日のやつだね」
「えぇ、お金の次は大量の野菜ですか」
ミーアは頭を抱えてしまう。当然だ、数個の野菜だったら処理は簡単だ、しかしお客の野菜の量からして数千は固くないだろう、そのような数を腐る前に食べるのは至難の業だ。
「ごめん、ミーアさん」
「いえ、スノー様は悪くありません、ただ居るだけでここまでとは、舐めてました」
野菜を大量に渡され、頭や体をたくさん撫でられ、髪も服もボロボロになってしまった。
「何で、体まで触られるのかな?」
「分かりません、普通ならすぐに憲兵の人が来るはずですが」
言い終わる前にミーアは気付く、憲兵の人は来れなかったのではなく居たのだ、しかし百を超える人に押し流され遠くに行ってしまい、結果このような事が起きたのだと。
「あぅぅ、次こそは、絶対に触らせない!」
そう心に決めるのだった。しかし、その誓いが果たされる事はこの街にいる限り訪れないのだった。




