第22話 ミーアの過去
「ねぇ、ねぇミーアちゃん!これ見て」
彼女は手を差し出し、綺麗な石を見せてくる。とても綺麗で七色に光る石を。
「それ、どこにあったの?」
「ふふん!人間の村だよ」
「入ったりしてないよね?」
「どうして?入っちゃ駄目何て、私言われてないもん」
「何してるの!絶対駄目って長から言われたでしょ!」
普段よりキツく言ってしまったのか泣き出し、走って行ってしまう。仕方ないのだ、ああ言うしかなかった。私達の暮らしている場所は猫族の村だ。代々この村で安息の日々を過ごし、農作業や狩りで生計を立てている。この村には絶対に破ってはいけない掟がある。子供が生まれた時から言い聞かせられていて、破れば村から追い出されるだけでは済まない。
「こんな所に居たのにゃ?」
肩をぽんと叩かれて振り向く。
「お姉ちゃん」
「どうかしたにゃ?」
「また、ティーナが掟を」
お姉ちゃんは首を振り、そっと頭を撫でてくれる。
「またあの子の為に怒こってくれたのにゃ、ありがとうにゃ」
「ううん、友達だもん、ミーアの友達だから」
きっとこれからもティーナと遊べる、いつまでも楽しい日々が続くと信じている。
「人間に関わるな・・・か、どうして長はそんな事、言うんだろう」
下を向き、顎に手を当てて歩いているとぶつかってしまう。
「わわ、ごめんなさい」
「大丈夫?ミーアごめんね、こっちも考え事をしてて」
いつもは聞けない綺麗な声が上から聞こえてきてびっくりする。
「えっ!シロお姉ちゃん!帰ってきてたの?」
「えぇ、今日は、休暇貰ったから」
そう言って、手を差し伸べてくる。シロお姉ちゃんは、今クロース家で覇王様と共に世界を守るお仕事をしているはずだ。だからなのか全然帰って来ない。
「シロお姉ちゃん!教えて、どうして長は私達を人間から遠ざけるのか」
ミーアは真剣な眼差しで目を見る。
「これは私の見解何だけどね、私達って希少種って言われてるじゃない、そのせいで奴隷にしたら価値が凄くてね、人間達からしたら金儲けの出来る奴らとしか思っていない、そんな人間達を見て心を汚してほしくないんだよ、きっと」
同じ人間のはずなのにどうしてそんな事をするんだろう。
「・・・奴隷」
「でも、見解だからね、勝手な妄想だよ」
シロお姉ちゃんは私を必死に励まそうとしている。
「シロお姉ちゃん、うぅ、私達は何もできないの?」
唇を噛み締め、手を白くなるほどに握る。
「分からない」
自分が何も出来ないのが悔しく、ミーアに何を言ってあげれば良いのか分からなかった。
私達は家に帰った。お母さんやお父さんはシロお姉ちゃんが家に帰ってきた事に大変驚いていた。
いつもの食卓はシロお姉ちゃんの冒険譚の様なお話で彩られ楽しく食事する事が出来た。
「ふふ、楽しかったね、そういえばミーア、明日9才の誕生日よね、ちょっと早いけど、これプレゼント」
渡された、白い箱は手に収まるサイズで、すぐに開けて見てみる。
「わぁぁ!これネックレスだよね、良いの?高かったんじゃないの?」
中には紫色の宝石が型どられたネックレスだった。
「妹に上げるんだもん、少しくらい高くても良いでしょ」
「ありがとう、シロお姉ちゃん!これ大切にする」
早速、ネックレスを着けて見る。自分に似合っているか分からないけど、貰えるだけでとっても嬉しかった。
「プレゼントタイムは終わり、早く寝よ?」
「うん」
ネックレスを箱に戻し、ベットで眠りにつく。シロお姉ちゃんの添い寝で優しい感覚に包まれ、すぐに寝てしまった。
周りから、人の声がたくさん聞こえる。とてもうるさく、起きてしまった。まだ太陽は登っておらず夜のはずなのにいつもの静かさは無く、声が聞こえる。
「シロお姉ちゃん、一体何が起こってるの?」
怖くなり、シロお姉ちゃんの服にしがみつく。
「大丈夫よ、ミーアはここに隠れててね」
うなずくと頭を撫でて、微笑んでくれる。
「絶対帰ってくるよね?シロお姉ちゃん」
「えぇ、絶対帰ってくるわ」
シロお姉ちゃんが飛び出した後私は、ネックレスを持ってベットの下に隠れた。
いつまで経っても、声は聞こえてくる。耳を塞ぎ音を断っても少しの隙間からたくさんの声がする。
「・・・ッ!・・・いやぁ・・・」
外から知ってる声が聞こえる。何が起こってるの、こんなのもう止めてそう思い目を瞑る。
「助けて・・・ミーア!」
「・・・・ッ!ティーナ」
ティーナが助けを呼んでる、行かなきゃ。シロお姉ちゃんに言われた言いつけを破って声のする方に走る。家の外に出るとたくさんの人間が猫族を取り押さえ、檻に入れていた。あられもない姿に、なったティーナは髪を掴まれ引きずられて檻まで運ばれていた。
「ティーナを、ティーナを返せー!」
猫族は人間よりもどの種族よりも身体能力優れている。私は跳躍して、敵(人間)に攻撃する。しかし、力を込め過ぎたのか人間の頭をふっ飛ばしてしまう。
「ミーア、・・・うぅ・・・ヒッグ・・・ミーア」
涙で顔を汚していたのでハンカチで拭いてあげる。
「はい、これで可愛いティーナちゃんの完成です!」
「チッ!まだガキが残ってんじゃねえか、捕まえるぞ!」
「ガキは大人の奴より売れる、殺すんじゃねえぞ!」
大人に囲まれ、追い詰められてしまう。
「あら、おじさん達ってそんなに小さい女の子が好きなのかしら」
「なに・・・・おまえ・・・は」
目の前に居た人間達がどさりと倒れていき、黒い服のを着た少女が姿を表す。
「ありがとうございます!助かりました」
「何故疑問系なの?」
「何となくかな?」
「そう、あなた達あの森の中を走って行きなさい、そこに屋敷があるわ、その人に助けてもらいなさい」
森を指差し、去っていく。
「良く分かんない人だったね、ティーナ大丈夫?」
「う、うん、何とかね」
二人は手を繋ぎ走った。きっと助かると信じて。
ティーナは真っ暗な森だったためか転けてしまう。
「ティーナ大丈夫?」
「早く・・・逃げて・・・」
手を差し伸ばすが払われてしまう。
「どうして!二人で逃げなきゃ!」
意味が無いと言おうとしたがティーナの背中を見て、どうして逃げてって言ったのか分かった。
「嫌だよ、絶対嫌!立てるようになるまでここで私が!」
「バカ!早く行かなきゃ一緒に捕まっちゃうでしょ…お願いだから」
ティーナだって逃げたいはずだ、でも今わがままを言ったら取り返しのつかない事になってしまう。
「へへ、やっと見つけたぜ」
「早く、早く行って!」
ティーナの大声にびっくりして逃げ出す。初めてだったあそこまでティーナが怒ったの。
「はぁ・・・はぁ」
深い森の中なので大丈夫だろうと思った私は、ネックレスを握り元気づけてもらう。
「どうして、こんな目に合っちゃうんだろ、もうやだよ」
地面に座り込み、泣いてしまう。どんなに言い聞かせてもやっぱり溢れてしまう。
「見つけたぞ!」
「・・・ッ!もう嫌だよ!どうして、私達を襲うのもう止めてよ!帰ってよお願いだから」
必死の懇願だった、逃げるのに疲れてしまった私は、男に訴える。
「いや、俺はあいつらとは違う」
「え?何言ってるの?今更そんなの通じる訳ないじゃない!」
近くにあった石を投げるが男は避ける事をせずただ座り、私と同じ目線で言った。
「すまない、俺と同じ人間があんな事してるのは詫びる、だが嫌いにはならないでくれ、ああいう奴はごく一部でほとんどは優しい人間だ」
「ほんと?」
「あぁ、本当だ」
優しく、語りかけてくるその男からはシロお姉ちゃんと同じ感じがした。
「俺の名はジェフ・クロース、よろしくな」
「えっと、わ私は、ミーアです」
名前を、言うと微笑み良い名前だなと言ってくれた。
「これから、どうするの?」
「とりあえず、ミーア、君を保護する」
「保護?保護ってなに?」
「保護か、まぁ、守ってあげるみたいなもんだな」
照れくさそうに頰を指で掻き、微笑む。
「・・・嬉しい、でもお姉ちゃんが」
「お姉ちゃん?もしかしてチトとか言う猫か?」
「そうそう、後シロっていう猫何だけど」
シロと言う言葉を聞き、悲痛な顔をする。
「すまない、シロはもう」
「えっ?嘘だよね?だって、だって帰ってくるって」
ネックレスを握りしめ、泣き続けた。




