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第19話 誓い

「この、パン美味しいにゃー!こっちもあっちもにゃ」

「はぁ、お姉ちゃん、もう少し静かに食べなさい」

ミーア呆れた顔で言った。

「スノちゃんこれ美味しいにゃ、食べてみてにゃ」

パンを持ち、スノーに渡そうとする。

「スノー様?どうかしました?大丈夫ですか?」

「スノちゃん?もしかして私はしゃぎ過ぎで怒っちゃったにゃ?」

普段のスノーとは明らかに様子が違うと気付いたのか、二人は慌てはじめる。

「これは、どうすればよろしいのでしょうか、私こここ言うのは慣れてなくて、お姉ちゃん」

「ふふん、お姉ちゃんに任せて、こういう時は一旦落ち着いて、スノちゃんを部屋に運ぶのにゃ」

チトの言葉で落ち着きを取り戻し、二人はスノーを部屋に運ぶのだった。


「お姉ちゃんはどうしてそんなに冷静何ですか?」

ミーアの唐突な質問に頭を悩ませる。チトがどうしてあんなに冷静だったのかは猫族の大事件も関係しているのだ、妹にあの事は思い出させたくはないのだ。しかしミーアは純粋な目でもう一度聞いてくる。

「お姉ちゃん、どうしてなの?」

「それは、ほらご主人様のお世話をしていると、落ち着けるものにゃ」

目を逸し、適当な事を言って誤魔化した。

「ん〜、全然意味が分からないです」

困惑した表情をする。

「そんな事、今は良いにゃ、早くスノちゃんを運ばにゃいと」

「そうですね」


・・・・・・・・・

黒雲が込め辺りに瘴気が蔓延してあらゆる人を飲むこもうとする場所で、少女二人の話す声が聞こえる。

「リーテ、覇王って本当にどういう人の事なんですか?教えてください」

「スノー、どうやってこの世界に来たの?」

リーテが消えた後、どうにかして行けないかな、と試行錯誤した結果行けたのだ、だから明確にどうやって来たかの理由はないから少し困る。

「まぁ、良いけど、そこまでして覇王の事が気になるの?」

「はい、すごく気になります!覇王って英雄様何ですよね」

「英雄か・・・あれは違う英雄ではない、人形さ」

リーテは魔術で周りに突風を起こし、スノーを吹き飛ばす。

「人形?でも人を沢山救ったんですよね、だったら英雄だよ」

「何も知らない、人間からしたらそうかもね」

人間は何も知らない、いや知っていて見放す、いつの時代も変わらない。

「何も知らないから、そうだね何も」

「お前もきっとそうなる、私を忘れ、そして捨てる」

「捨てない、忘れないよ、だって友達何でしょ、村にいた頃に頭の中で聞こえた声忘れてないよ、私の為に怒ってくれてた」

透明で澄んだ涙が地面に落ちる、そこから瘴気が消えていく。どれだけの年月をかけ、消そうしてきた瘴気を意図も簡単に。


「お前は、一体何なんだ」

何年、何百年と見てきた世界でこの様な女を見たことが無い、この世界の瘴気ですら消してしまう少女など。


「私は、私はスノーだよ、ただの村娘だった、スノーリンデ!」

スノーの気迫にたじろいでしまう。

「名前など知っている」

「じゃあ、何の話?分からないよ」

「いや、何でもない忘れて良い事だから」

リーテは改めて気付く、この少女のどこに惹かれたのかを。自分の知っている人に似ているのだ、バカみたいに真っ直ぐだったあの子に。

そして久しぶりに魔女になって良かったと思ったのだった。


「あれれ?結局リーテの話だった気がするけど」

「確かに、ごめん、覇王の話だっけ、と言っても何の話か忘れちゃった」

可愛らしく舌を出す。

「私も、忘れちゃった」

本当は覚えていたけど、リーテが嫌がる事だから、あまり追求はしたくない。

「自分が何者なのか、何のために今までやってきたのか、スノーは知ってる?」

瓦礫の上に座り、何かに憧れた少女の様に手を伸ばす。

「う〜ん、何者なのかは分からない、でも何のためにやってきたのかは分かるよ」

伸ばされた手を取り、隣に座る。

「私が、やってきた理由それはね、リーテに会うためだよ!」

真面目に答えたつもりなのか、真剣に見つめられ笑ってしまう。

「それは、ふふ、面白い、曲芸師でも目指してるの?」

「曲芸師目指してない、てか曲芸師ってなに?」

「さあ、芸をする人間の事では無いのか?」

無知な二人が頭にいくつものはてなを浮かばせている。

「良く分かんない、その曲芸師っていうの」

「私も分からないな、まぁ、あれが本当だと言うならお前は、相当な馬鹿だがな」

「むぅ〜、馬鹿にして〜、真剣に言ったのに」

そんなスノーに微笑み、頭を撫でる。

「しかしまぁ、今のお前は村娘ではないからな」

自分が冒した失態であれ、今のスノーが楽しそうなのであれば、あれは間違いではない気がした。

「そうなのかな、でもでも、試練で合格出来なかったら、貴族様にはなれないよ」

「試練で合格出来なかったら?そんな事、気にする必要無いわ、だって私が居るから」

スノーの手を握り、立ち上がる。

「リーテ?」

そしてスノーの頬にキスをして、忠義を誓う。

「これが、私の誓いのキスです、何てね」

「りりりリーテ、えええっと、ききキスって、ななな何で?」

キスをされた事は嫌なことではなかったが、初めての事で動揺する。

「ん?だって騎士が忠義を誓う相手にはキスするって、さっき本で読んだから」

「そ、それだけで?」

「うん」

屈託のない笑顔をして、隣に座り直す。


「リーテ、私は間違ったことして無いかな?」

「人は、間違った方が良いんだよ、その方が学ぶ量も多いし」

「そうなのかな?まだ良く分からない」

周りの事に、目を輝かせていた、スノーだが実際は怖がっていたのだ。

「ま、人の世界って分からない事だらけだし、別に分かろうとしなくて良いんじゃない?」

「分からなくて良い、うんそうだね!ありがとうリーテ」

スノーはこれからも間違いをするだろう、それでも、前に進むのだろうと思うリーテだった。





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