第1話 珍しいメイドさん
「……ん?ここは何処?」
微かに香る花の匂いと微量の日の光でで目を覚ます。
昨日、確か私はレーテさんに連れられて来て、あの時は、色々と疲れてて、付いてきちゃったけど、まさか貴族様の家だなんて知りもしなかった。考えれば考えるほど身震いする。
そんな、状況を破るようにメイドさん?が挨拶をする。
「ようやく起きたかにゃ、全く遅いですにゃ、それに起きて早々騒げるにゃんて・・・私を超える者がいるにゃんて」
少女のとても綺麗な声と語尾に驚き、ベットから跳ね起きる。すると目の前には猫耳に猫のしっぽがあるメイド服を着た女の人が立っていた。
「えっと、その語尾って、もしかしてだけど」
「んにゃ?語尾がどうしたかにゃ?私は猫族だから語尾がにゃなのは当然なのにゃ」
猫族、滅多に出会えないと言われてる種族だ。昔はそれほど会うのに苦労しない種族であったが、あの事件以降数がめっきり減って幻の種族と言われるようになった。
「ほ、本物!凄い!えっと、えっと!お名前はなんて言うんですか?」
猫さんの肩を掴み興奮した面持ちで名前を聞こうとする。
「ち、近いにゃ〜!」
メイドさんは嫌がり、後退りして怯えた目でこちらを見る。
下がった時にチリンと音を鳴らす。どうやら胸のあたりに鈴を付けているのだ。
「ど、どうしてそんにゃに見るのにゃ?」
不思議そうに首を傾げる。
「ごめんね、凄く珍しいから興奮しちゃって」
私は、出過ぎた真似をしたと思い反省する。
「そ、そんな顔しないでにゃ〜、私がご主人様に怒られるにゃ〜」
猫はお客様を落ち込ませてしまったと思い、慌てて慰めようとする。
そこでスノーは自分が自己紹介を忘れていた事に気付き、慌てる。
「わ、私から自己紹介しないと私はスノー・リンデだよ、えっとよろしくね」
「私は、チトですにゃ!ご主人様からお世話をして欲しいと頼まれたので来たにゃ!よろしくにゃ〜」
今回は私が興奮してしまったせいで変な形での自己紹介だったけど、流石にメイドなだけあって、こういうのに慣れているのか焦らずに丁寧に言ってくれる。
「チトさん、一つ聞きたいことがあるんですけど、良いですか?」
チトは手を真っ直ぐに上げ、質問を受ける。
「チトさんはお世話係なの?」
可愛い声をもっと聞きたくて、わざと聞いてみる。
「違うにゃ!私はお世話係じゃにゃくてメイドだにゃ!」
チトは一生懸命に伝えようとしている。しかし、スノーにとってすればメイドもお世話係も変わらないのではと思うのだった。