第10話 旅
早朝日が昇る少し前に目を覚まし、顔を洗い支度をする。朝早い仕事は毎日やっていたので朝は辛くない。
「ふぁ、眠いです、スノーさんは早いですね」
眠そうに目をこすりながら、部屋から出てくる。いつもの服とは違い青いパジャマを着ているのが破壊力抜群に良い。
「あはは…ミーアさんは何というか、いい服着るね」
ミーアは顔に手を当て赤面して部屋に戻ってしまう。
「何の話にゃ?」
チトは眠れなかったのか、少し目が赤い。
「ううん、何でもないよ」
手を振り、苦笑いをする。流石に言ったら怒られそう。
「そうにゃの?なら良いにゃ」
猫の身体能力なのか素早い動きで何処かへ走っていってしまう。
「えっと、どうかしましたか?」
少し前の事を知らないミーアは首を傾げる。
「チトが走っていちゃったんだけど」
また姉がそんな事を、顔を手で押さえ嫌そうにする。いつもの事だけど、今日は、そんなに体力を使いたくないからだ。
一階に降りると沢山のメイドが居て見送りのをしてくれる。
「す、すごい、これが貴族様の家、何だ」
私は今更ながら、貴族の凄さを痛感していた。
結局レーテさんは来なかったが外に出て、馬車に乗る。何故かチトが遅いよと言い、乗っていたのはびっくりした。
「御者さん、よろしくお願いします!」
出発前に馬の手入れをしている御者に挨拶をする。乗せてもらうので当然のはずなのに御者の人は驚いていた。何でだろ…
「出発だにゃー!久しぶりの旅だにゃー!」
馬車の屋根に乗りはしゃぐチトにミーアが呆れているが、ともかく出発出来た。ここからが問題になりそうと不安な気持ちで窓の外の景色を見る。