第9話 準備
あの後、すぐにミーアの居そうな場所を探した。すぐにミーアはチトによって見つかるが言い争いをしている最中だった。
「はぁ・・・どうしてそうなったんですか?」
ミーアは呆れた顔でチトを見る。これでも自分の姉、だけど今回の事はおかしいと思う。何で私に相談もなしに毎回決めてしまうのか、問い詰めたくなる。
「え、えと、それはにゃ、色々あって〜」
乾いた笑いをして、ミーアの肩を叩く。
「あの、ミーアさん、お願い!一緒に来てくれない?」
突然スノーの声がして驚く。今、スノーについてとても悩んでいる途中だった事もあり、心臓が高鳴り、言葉に一瞬詰る。
「ッ!しし仕方ないですね、あなたはお客様ですから」
スノーからお願いされて、仕方ないと言いながら内心はとても喜ぶミーアだった。
「それで、いつ出発ですか?」
「えっと、明日かな、ごめんね」
期限はいつまでとは言われていないけど、冒険者ランクDの依頼を受けないといけないため、早めに行く事にした。
ミーアは明日と言われ、あの人を思い出した。だからか別段驚く事も無かった。
「何だか、久しぶりですね、お姉ちゃん」
懐かしみ、お礼を言う。急な出発はあのお方も良くやれていた事、それでいつも困っていた。
「え〜と、早くない?たった半日でこれをやったの?」
ミーアの出発は明日と聞いてからの準備の早さは異常だった。武器や魔導書の用意、一年は安定して暮らせるくらいのお金など、それらをたった半日一人で屋敷を駆け回り調達していた。
「はい、こういうのは昔良くやっていたもので」
余裕そうな表情を見せてはいるが、全身汗で濡れている。
「でも、疲れたでしょ、私も手伝うよ?」
「えっと、はい、お願いします」
スノーとミーアはせっせと残りの仕事を終わらせていった。気付いた時には辺りは暗くなっていて、ホコリだらけの体を見合わせて、笑った。
「ふぅ、これで良いんじゃない?」
手で額の汗を拭い、自分達の荷物を見る。
「はい、明日からが楽しみです」
ミーアは目をキラキラさせ、楽しみな事を全身で表現する。流石に夜までやっていたので二人はふらふらになりながら、部屋に帰ることになった。
自室に入り、ふらふらと歩き、ベットに倒れ込む、疲れからかスノーは一瞬で夢に落ちていった。