村での扱い
青空の下で何も知らない少女は一生懸命、仕事をしている。
まだ8才の少女には出来ないような仕事をぱっぱっと片付けていく。
「おい、スノー何してやがる、遅えんだよ!」
しかし、何をしてもどんなに早く仕事をしようと怒られてしまう。
「ごめんなさい、もっと早くします、だから、許して下さい」
私は、ただひたすら謝った。謝らなければ、今日のご飯が無くなってしまう。
「けっ!謝れば済む問題じゃねえだろうが!」
あぁ、今日の監督役は機嫌が悪そうだ。運が悪かった、そう思うしかない。機嫌の悪い相手に謝ってもほとんど無駄なのだ。ご飯は無いだろうそう思いがっかりする。
スノーは村でどのような立場なのかはあまり分かっていないと言っても多分奴隷みたいな物なのだろう。
男の気が済んだのか、帰っていく。だいぶ激怒してたから、今日は何時間怒られたんだろ?
いつも通り地面に正座をして居たせいか、足が痛い。
家に帰り、洗濯されていない布団の上にねっ転がる。仕事での疲れですぐに意識が薄れる、最近は本を読む暇がほとんど無い。
「はぁ、眠い…仕事行かないと」
寝惚け眼で家を出て、村長の家に行く。仕事を与えてくれるのは、大体村長なのだ。
「お、おはようございます!村長様、今日のお仕事はありますか?」
ちなみに村長の事を様付けするのはしないとまた面倒くさい事になりかねないからだ。
以前、その事で夜まで怒られたことがあった。その経験を活かし、今では仕事以外では怒られないようになった。
「うむ、そうじゃな、じゃあ水汲みじゃな」
髭を触りながら、仕事を与えてくれる。
しかも、一番楽な水汲み、これはすぐに終わるやつだ。
村長の家を出て、バケツを持ち、井戸まで歩く。
その途中に騎士の鎧を着た男数人が睨みつけてくる。
「この村の井戸はだめだ、お前みたいな異端の娘に使わせる訳が無いだろ」
男達はへらへらと笑い、私を見下してくる。
「おのれ、人間共め、私の友達を蔑むなど」
唐突に、頭の中に響く女の人の声。それが誰なのかは分からないけど私の為に怒ってくれているのは分かる。
村で水汲みが出来ないので、少し遠い川まで歩く。いつもよりかは楽な仕事だから良いが、他の仕事だったらおそらく今日もご飯は、無かっただろう。そういう点では、今日は幸せな一日になりそうだ。
バケツに水を汲み、村に帰るために方向転換をすると、見慣れないローブの人達がこっちを凝視している。顔は確認出来ないがとても不気味だ。
「お前がスノーか?」
自分の名前を呼ばれ、怖くなり手に持っていた、バケツをローブの人に投げ捨てて、がむしゃらに逃げ出す。
「・・・魔・・様が・・・」
遠くであのローブの人の声が聞こえる。恐怖でそう聞こえただけかも知れないけど、冷静になれずに深い闇の中に入って行った。