八話 自己紹介
「えっと…確かこのあたりかな……。あったあった」
昨日、俺――栗山 矢人は面倒なことに『青春部』とかいう部長になってしまったワケだが、その顧問であり矢人の担任――小渕 架子が部員に召集をかけたのだ。と言っても、矢人自身、今現在部員には一人しか会っていないのだが…。
扉の向こうを想像しながらゆっくりと、少し重めの扉を開けた。
すると。
「きたぁぁ!」
「きたぁー」
部屋の影から小さい二つの人影が飛び出してきた。
「う、うわあぁぁ」
いきなり飛び出してきた影に慌てて後ずさると自分の脚にもつれてあおむけに倒れてしまった。ゴンという音がして頭に鈍痛が走った。
「ぅう……」
そのままの体制で頭をさすっていると、再び影がかかる。
「わっはは~!ドジだ~~!」
「どじー」
ようやくその要望が見て取れた。双子と思しき二人は小柄で中二くらいだった。
腰まで届く夜色の髪を一部サイドテールにしてくくっていた。ひとりは矢人を小ばかにしたようにした少女。ひとりはおどおどした自信のない小さな声の少女。
そこで、一人の人に声をかけられた。
「何してんだ、栗山」
あおむけになって倒れている矢人を上から、おぶちゃん先生が見ていた。
「じゃ、改めてこの部活の内容を確認しようか」
「ここは、青空の下で幻想を打ち砕く部、略して青春部!」
「いや、意味わかりません誰ですかこんな意味不明な名前つけたの」
矢人が冷静なツッコミをするも先生は「まぁまぁ」となだめることしかしなかった。きっと名前を付けたのはこの人だろうなと全員が悟った。
「活動内容は事前に話した内容で知ってると思うけど再確認ね。この部活では異能力を持つ人が悪いファントムとかを退治するってこと。もち報酬も出るし。ここの部活は一人暮らしがほとんどだからね」
一通り話すとおぶちゃん先生は「そして」と続ける。
「一番の問題がここからだ―――っと電話か…じゃ、自己紹介でもしといて~」
おぶちゃん先生がでていって少したった。しばしの無音。全員が誰から話すかと視線を巡らせる。
「え、ええと……自己紹介、し、しようか」
沈黙の中自己紹介が始まった。
新キャラ登場☆