六話 入ろう青春部
「ようこそ、青春部へ!」
改めて教室を見てみる。逆光でよく見えないが人影が数人見て取れた。
「おや、だいぶまだ来てない人がいるようだね。まぁいい、改めて頼もう」
そして、おぶちゃん先生は息を吸った。
「君、青春部に入らないかい?」
「―――は」
自然とそんな声が出た。いや、最初から意味が分からなかったが。
「いや、でも俺忙しいですし…それに俺じゃなくても―――」
ここにいてはいけない、そう矢人センサーがビービーとなる。一歩、そして一歩後ずさりをしてドアノブに手をかけたその時。
「こっんにっちわ~」
「ゔ!」
突如として開いた扉に矢人は鈍いゴンという音と共に頭をぶつけた。
「―――おや」
今しがた扉を開けた少女と思しき声の主が入ってくる。なんだか聞いたことのある声なきがして嫌な予感がした。
「――――――椿」
声の主の名前を呼ぶと、声の主―――椿は「げ」と声を漏らした。
「ま、まさかお前この部活の部員…なのか?」
「い、いや…ぼ、ボクは先生に用事が…」
お互いに引き攣った笑みで言葉を交わす。
「いやー待ってたよ、おかえり椿君」
致命打。もう間に合わないと知ったのだろう、椿は自嘲気味に笑うとふっと息をついた。
「って、別に隠すようなことじゃないよねこれ!?!?ノリでやったけどさ」
「ノリだったのかよ、俺割と本気で聞いてたのに…」
「で、説明してもらいましょうか」
別室に移った矢人・椿・おぶちゃん先生は謎の沈黙を持て余す。
「えっと…すまんな、でじゃあまぁ説明しようか」
沈黙を破ったのはおぶちゃん先生だった。そして「コホン」と咳をして続けた。
「君に入ってほしいのは、青空の下で幻想を打ち砕く部、略して青春部」
「いや、略になってないですよねそれ春どこ行ったんですか」
「………まぁまぁ。細かいこと気にしてるとはげちゃうゾ」
「細かくないです」
冷静な矢人のツッコミに先生は一筋汗を垂らして視線をそらした。
「こ、ここからはボクが説明しよう。まず、異能力はわかるよね?」
コクンと首を縦に振る。
「異能力――――ファントム発生とともに現れた超能力。その能力は人それぞれ違うと言われる。発生時は異常な存在として扱われてきたものは今ではそれが日常に溶け込んだ、そう言われる」
そして続ける。
「そう、だから強い異能力を持つボクたちが迷惑なファントムを退治してるんだ」
「けど俺、異能力発現してないし…」
そう言うと、椿はクスクスと笑った。そして言った。
「――――きっとそれは気づいてないだけだね」
はいる!はいりたいよ!