四話 お、俺の黒歴史……そして。
空は青空、そして鳥が飛んでいた。………ん?鳥か?鳥にしては少し大きいような…
視力右A、左Bの目を凝らしながらジィっと食い入るように見つめる。
「………ぃ…、………………お………………く…ぁ!」
一体何だあれは、動物型ファントムだろうか?
「……おー……く……まぁ~」
「ん?」
なんだかどこからか聞こえる声に辺りを見回す。
「おい!栗山…!聞こえてるかぁ?」
「ひ、ひゃい…!」
周りからクスクスと笑われる。いきなり呼ばれて思わず噛んでしまった。穴があったら入りたかった。いきなり新しいクラスで黒歴史を刻んだな…と考えているとまた、うちのクラスの担任―――小渕 架子教諭に呼ばれる。明るく美人で面白いため、異性からも同性からも好かれる先生だ。
「おーい、聞こえてるかー。自己紹介だぞー?」
「………ぁ!ぇと…―――」
いきなりの自己紹介で困惑気味の矢人は本日二回目の黒歴史を生んでしまうのだった。後に噛み神大魔王と呼ばれることは神のみぞ…いや、矢人以外は全員知ることになる。まぁ、それはまた別のお話。
「―――あはっ!…く、くく…っぷ、あっはははは!はははははは…ひっひーぃふぅー」
「いや、まだ笑ってんの!?もう放課後だぞ?」
放課後。矢人が黒歴史を刻んでからおよそ七時間後。こらえきれんとばかりに腹を抱え笑う椿をジト目で見返す。
「だーてっさ!あんな…ひゃい!みたいな?ふふっ……ふ、ははははは!」
「あぁ、あーもうやめてくれ…その話を掘り返さないでくれぇ……」
机をバンバン叩いて笑う椿に、矢人は今朝のことを思い出し、再び頭を抱える。これは話題を変えなければと決心したときに鳥のことが頭によぎった。
だが、これでもしまたからかわれてはひとたまりもない。
「んじゃ、俺帰るぞ」
わざと「コホン」と席を一つして席を立った。
のち、教室を出る際に、くりくり頭の少年と黒髪の僕っ娘に一緒に帰ろうかと言われ捕まったのは、言うまでもなかった。
そして、次の日巻き込まれるあることによって俺の学園生活は大きく変わるのだった。
いよいよ本題です。