うまく決めないと大変よ。
「川井さんありがとう」
「いいえ山下さん、私も気になってましたから」
メールを送信した川井さんは少し笑いながら携帯をポケットにしまった。
「川井さんが会長を引き受けてくれて感謝してるわ」
「でも私に勤まるのか不安です」
「大丈夫よ、その為の広田君と青山さん、あとは..」
「斎藤さんです」
川井さんは少しはにかんだ顔で笑う。
斎藤君を前にしたら筋肉だ何だと言うが私の前ではちゃんと名前を口にする。
「な、何ですか?」
「別に」
私の視線に少し照れた様子の川井さん、可愛いもんだ。
「すみません川井さん、本当なら自宅に帰る予定なのに」
「それを言うなら山下さんも」
私達は冬休み自宅に帰る予定を遅らして寮に残っていた。
それは残り3人の生徒会役員を決める為だ。
「難しいですね」
次期会長の川井さんは生徒会の活動指針が書かれたノートを読みながら呟いた。
「ええ、生徒会は生徒による自治を行う大切な組織。だからこそ役員の選定は大変なの」
「先程も言いましたけど生徒を取り纏める為に広田君や愛佳ちゃんを入れる事にした山下さんの提案は見事だと思います」
「川井さん、あなたが斎藤君を入れた事もよ」
「からかわないで下さいよ、斎藤さんがいたら逆らう生徒が減ると考えただけですから」
「それだけかしら?」
川井さんは顔を真っ赤にして固まってしまった。
でも斎藤君を生徒会に入れたのは良い考えだと思う。広田君は普段は冷静だが頭に血が昇ると衝動的な行動をする不安がある。
青山さんだけでは止まらないから斎藤君は素晴らしい人選だ。
「それより山下さん後の役員を」
「そうね、早く絞り込まないと」
私達は生徒会の役員候補のファイルを捲り溜め息吐いた。
「それにしても凄いですね」
川井さんはファイルのページを見ながら呟く。確かに私もそう思う。
候補者の数は30人を越えていた。
例年の生徒会役員の希望者は10人前後で希望者は生徒会に候補希望の書類を出す決まりだ。
もちろん男女は問わない。
しかも今年の希望者は全て女子、自己PR、身長やスリーサイズまで書いてある子までいる。
「この子写真まで添付してるわよ」
「本当、写真館で撮ったのかしら?」
写真はプリクラでなく立派な表装がされており椅子に座って微笑む姿に私達は言葉を失う。
「書いてある内容も見合いの釣書みたいですね」
「そうね、[特技お菓子作り]って生徒会と何の関係があるんですかね?」
「本当に会計希望なのに生徒会費でお菓子を配る気かしら?」
「お目当ては広田君と分かりますがね」
広田君は文化祭で服飾部でタキシード姿でランウェイをしたり演劇部で主役をして目立ちまくっていたが、ここまで女生徒の心をわしづかみしていたとは。
「安易に決めては...」
「ええ、血を見ます」
「やはり面接をするしか無いですね」
「そうですね。3学期が始まってから決めましょう」
私達は溜め息を吐きながらファイルを閉じるのだった。




