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私達の罪よ。

「さあ入って下さい」


私と敷島さんは広田君を第二会議室に案内した。


「秀ちゃん大丈夫だった?」


私達が会議室に入ると1年の青山愛佳さんが広田君の元に駆け寄る。

広田君は会議室に居た人達に少し驚いたようだ。


「愛佳、それに謙一達まで...」


中に居たのは青山さん、斎藤謙一さん、川井涼子さん...そして山崎小百合さんだ。


「秀一、事のあらましは涼子達から聞いた。ご苦労だったな」


「ああ、会長や敷島さんに助けられたよ」


広田君は斎藤君の言葉に少し照れた顔で私達を見た。

私は顔が赤くなるのを我慢しながら頷くが青山さんの窺うような視線が痛い。


「広田君ごめんなさい!!」


そんな会議室の弛緩した空気を切り裂くように山崎小百合さんの声が響いた。山崎さんは涙を流しながら広田君に頭を下げた。


「.....」


広田君は黙って山崎さんを見つめている。静かな表情は何を考えているか分からないが山崎さんの広田君に対して申し訳ない気持ちは痛い程伝わる。


「許して欲しいなんて言いません。私を助けてくれた広田君の恩を仇で返した私にそんな資格が無い事は分かってます。でも...でも私の本意では無い事だけは分かって下さい...」


山崎さんは頭を下げたまま謝り続ける。


「あなたが...」


広田君は山崎さんの肩にそっと手を置いた。


「あなたが俺を嵌める人じゃないのは分かりました。そんな卑怯な人ならここにいませんよね」


広田君はそう言って少し笑った。


「広田君...」


山崎さんは涙を流しながら顔を上げた。涙と鼻水で大変な顔になっている。

敷島さんがハンカチを山崎さんの顔に押し当てながら肩を抱いている。


「良かったね小百合...」


「ありがとう香織...ありがとう...山下さん...」


山崎さんは私にも頭を下げるが理事長の横暴を許したのは私にも責任がある。

そう私と敷島さんにも...


「さあ皆さん座って下さい。これから私と敷島さんが説明をしますから」


私は全員の着席を促し、私は敷島さんと並んで座る。

私達を囲むようにみんなも座った。


「まず先程の事から報告します」


私は生徒会室で繰り広げられた先程の騒動を話した。

会議室のみんなには予め川井さんに説明を頼んでいたから動揺は少ない。しかし山崎さんだけは父親の酷い行動に改めてショックを受けたようだ。


「ご、ごめんなさい...」


とうとう山崎さんは机に突っ伏して泣き出した。

敷島さんが山崎さんの肩を抱きながら私の顔を見て頷いた。


「私達の方こそは謝らなくてはいけないのです」


私は勇気を振り絞って皆を見る。


「謝るって会長は秀ちゃんを助けてくれたんですよね...」


青山さんが驚いた顔で私を見た。


「確かに今回は広田君を救う事が出来ました。しかし私達は今まで理事長の依頼でスパイ活動に手を貸してしまった事実は覆りません」


私と香織は皆に頭を下げた。


「そんな...会長や香織は学校の事を考えて」


川井さんが私達を見て呟くが私達の行動が理事長を助長させてしまった事は事実だ。


「私は中学時代に苛めを受けました...」


「山下さん駄目よ!」


香織が私を止めようとするが続ける。


「私は中学の苛めが原因で今も思い出すと震えが止まらなくなります。苛めや恫喝を見たり聞いたりするだけでも...だから校内でそんな行動をする生徒が許せず理事長の依頼を受けた香織の調査に協力しました」


「協力?」


「生徒会の聴取の際苛めの生徒には言い訳を許さず、時には転校の名を借りて学校から追放したり謹慎処分等を学校に提出する聴取内容書に書いたりしました」


私の告白に会議室の空気は重く沈む。


「...でも苛めは実際にあったんですよね?」


川井さんが私達に聞いた。


「ええ、それは間違いなく調査しました。事実のみを理事長に報告しましたから」


香織は川井さんを見て頷いた。


「理事長は私だけじゃなく他の生徒にもスパイをさせていました。その上で詳しく調査させる時は私を使ってました」


香織は真っ直ぐ皆を見ながら話す。それに引き換え私はまた震えが出ていた。


「なぜ香織は理事長の言いなりに?」


「涼子、私は利用したのよ。理事長を使って生徒会を使って問題行動の生徒に懲罰をする為に。結局それで逆に理事長に脅される結果になっちゃったけどね」


「お父様が香織を脅す?」


「そうよ理事長は言ったの、『俺はお前の報告で動いた。もうお前は俺の駒だ。逆らう事は許さん』と」


「許せない!」


川井さんが立ち上がり怒りを露にする。山崎さんはまた泣き出した。

   

「会長って秀ちゃんが中学1年の時に...」


青山さんが思い出した様に私の顔を見た。

私は中学時代の青山さんと面識は無いが広田君から聞いた事があるのだろう。


「そうです。私が中学時代に苛めを受けていた時助けてくれたのは広田君なのです」


「そうだったんですか」


青山さんは納得したような顔で広田君を見た。

広田君は静かに目を瞑り私達のやり取りを聞いていた。


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