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まだこれからよ。

愛佳と真夏が今後の対策を練っていた頃、中山麻里は自宅の自室で今日の事を思い出していた。


「秀一追い詰められていたわね。まだよ、まだまだ苦しんで貰うわ。

翔も何を勘違いしているの、私を触るなんて汚ならしい」


麻里は引きつった顔で笑う。

だがその目から涙が溢れていた。


麻里がこうなった切っ掛けは昨年の始めに遡る。

麻里と愛佳、それに秀一の幼馴染み3人は保育園からいつも一緒だった。

麻里は3歳から秀一に想いを寄せていたが親友の愛佳も秀一が好きなことに気づいていた。

お互い秀一に告白できぬまま過ごしていた去年の始めにそれは起こった。


北川玲美が秀一に告白したのだ。

元々女の子にもてる秀一だが昔から女の子の告白は全て断って来たので麻里も愛佳も安心していた。

『秀一は断ってくれる』と。


しかし秀一の返事はOKだった。

呆然とする愛佳と麻里。

2人のその後の行動は分かれた。


静かに秀一を見守りつつ、いつか帰って来るのでは?と静観する愛佳。


玲美の所属するグループに入り秀一を諦め切れない麻里。


麻里には確信があった。


『玲美は惚れやすい、グループの立花純一や和田翔だけで無く誰でも男にちやほやされるのが好きな軽い女だ、きっと秀一も目が覚めるはずよ、その時傷ついた秀一を慰めればきっと私の想いに気づくはず』と。


しかし玲美の秀一に対する想いは麻里が思うよりは少し本物だった。

そして交際して3ヶ月のある日決定的な事が起きた。

それは玲美の誕生日。

その日グループの4人は玲美の誕生日を祝うためカラオケに行った、宴もたけなわの時立花が言った。


「秀一、玲美とキスはしたのか?」


「いや、まだだ」


「何故だ?玲美は待っているぜ」


立花や和田が2人を囃し立てた、

全く意に介さない秀一に甘えるように垂れ掛かる玲美。

麻里が気がつくと秀一と玲美はキスをしていた。


それは玲美が強引に秀一の唇を奪った様な物であったが麻里の中で何かが壊れた最初の瞬間だった。


「私帰ります」


泣きながら帰る麻里を追いかけようとする秀一の腕を玲美が掴み、和田翔が麻里の後を追った。


それは玲美と翔の作戦だった。

麻里の事が好きな翔は玲美と諮りこのキスになったのだ。

翔や純一、玲美も知っていた、麻里は秀一が好きな事を。

だからこそ強引な作戦をしたのだ。


後を追って来た翔は麻里に言った。


『俺は麻里が好きだ。

麻里が秀一を好きな事は知っている。

俺は秀一の様に想いを寄せている女の前でキスをする様な酷い事はしない』と。


そうして麻里は翔と交際する様になった。

グループの中に2組のカップルが誕生した訳だが、麻里はその日から壊れて行った。


[秀一と玲美を破滅させる]


それだけが麻里の目標になったのだ。

まず麻里は玲美を自分の通う塾に誘った。

『秀一と同じ高校に行くなら私と一緒の塾に行きましょう』

玲美はすぐ麻里の誘いに乗った。


そして塾にいる男にも言った、『知り合いの可愛い女の子が今度この塾に来る。彼氏がいるが強引に迫れば必ず堕ちる、私も協力する』と。


玲美を見たその男、佐藤亮は玲美を見てすぐに気に入った。

後は簡単だった。

携帯を持たない秀一、玲美と佐藤の連絡先を交換させて塾の席や帰り寄る店で一緒にさせる。夏祭りに亮と玲美を誘い2人きりにさせる。


ちやほやされるのに弱い玲美が亮に心変りするのは早かった。

玲美は亮との交際を選び秀一との別れを選んだが麻里は止めた。


『今じゃない』と。


更に一方でグループの立花に言った。

『玲美は塾に新しい恋人が出来たが秀一が玲美と別れるのを拒んでいる。

玲美は秀一との別れを望んでいるが別れのタイミングは私に任せて欲しい』と。


それが今日の出来事だった。


麻里は次の作戦を考える。


「さあ次は玲美よ、あんな尻軽に騙されて馬鹿な秀一、玲美の破滅を後で知って苦しみなさい」


麻里の歪んだ笑い声が部屋に響いた。



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