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いいのかね。

「おじゃまします!」


「あら愛佳ちゃんいらっし...」


秀一の母が言い終わらぬうちに階段をかけ上がる足音が聞こえ秀一と真夏は愛佳が来た事を察する。


「秀ちゃん玲美と別れたって本当?」


ドアを勢いよく開けて秀一に聞きながら迫る愛佳に秀一はたじろぐ。


「あ、ああ本当だ」


「池島に落ちたのも?」


「本当だ」


「良し!」


愛佳は跳び跳ねて真夏に抱きつく。


「良かったね!」


「うん!」


2人の熱い抱擁を見ながら秀一は溜め息を吐く。


「お前らは俺が高校に落ちて振られた事がそんなに嬉しいのか?」


「うん!」


「もちろん!」


満面の笑みを浮かべて返事をする2人を見て何を言っても無駄と覚る秀一。


「それで高校は一緒だよね?今更違う学校なんか言わないよね?」


愛佳はもう1度秀一に迫った。


「当たり前だろ、今更他の学校に行けるかよ、もう募集も終わってるだろ?」


「やった!」


「ね、本当でしょ?」


「うん真夏ちゃんのラインの通りだよ」


「お前あの短時間にどれだけの内容を打ち込んだんだ?」


「見る?」


真夏はスマホを秀一に見せる。

秀一はスマホを受けとり真夏のラインの内容を見る。


『ビッグニュース!

秀一、池島落ちたよ!

それにあの女狐とも別れたって!

今から募集している高校なんか無いから

愛佳ちゃんと一緒の高校確定だ!』


「...お前これだけの文面をさっきの短時間に打ち込んだのか?」


「そうだよ」


「なんと言うか凄いな」


秀一は真夏のタイピング能力に絶句する。


「玲美が秀ちゃんを振るなんて意外!」


「そうよねあの女狐から告白したくせに」


「何があったの?」


愛佳と真夏が秀一に聞いてくる、真夏には玲美に振られた事しか話していなかった。


「言わない」


「あっそう」


「大体見当はつくわね」


「うん」


「何でだ」


「浮気でもされたんでしょ」


「そうよね」


あっさりと2人に正解を言い当てられた。


「なぜそう思う?」


「だって秀一が興味を失ってるから」


「そうだよ秀ちゃんの態度で分かるよ」


「俺が興味を失うと浮気なのか?」


「秀一が玲美に本気だったからね、愛情の裏返しかな?」


(そういうもんかな?)でも秀一は何となく納得する。


「多分浮気の原因は麻里よね」


「私もそう思う」


なぜそこに麻里が出てくるか秀一には分からない。

(浮気をしたのは玲美だぞ?浮気相手も男だったし...名前なんだったっけ?まあいいや)


「なぜ麻里が原因なんだよ」


「秀一興味ある?」


「あるの?」


「いや無いね」


「ならそれで良いじゃん」


「そうそう」


(よく分からないがそれで良いのかも)


秀一もそれでいい気がしてきた。


納得した様子の秀一をそのままに愛佳と真夏の話は続く。


「愛佳ちゃんそれより高校の事よ、受験の事、絶対に麻里には知られてないよね?」


「大丈夫よ真夏ちゃん、元々募集が1.5次募集で受験者が少なかったからまず分からないわ」


真夏と愛佳は今までの受験の経緯を思い出す。


秀一が黒春高校の学校案内を持っているのを見て驚いた真夏は秀一に訳を聞いた。

話しを聞いた真夏は麻里の策略に気付き黒春高校受験を止めさせようとしたが既に願書は提出された後だった。


そこで真夏は秀一にお願いしたのだ。

『テストを白紙で提出して欲しい』と。

嫌がる秀一を真夏と愛佳は懸命に説得して最終的に秀一は折れた。

真夏達は受験その物を欠席させる事も考えたが、それは止めた。麻里が秀一が本当に黒春高校に受験するか見張っている可能性もあったからだ。


結果は勿論不合格だった。

幸いにも秀一の通う中学校から黒春高校を受験したのは秀一のみだった上、中学校の担任も秀一の黒春高校受験に反対だったので不合格の事は生徒達に(勿論秀一が不合格になる事など絶対に思わない麻里にも)知られる事は無かった。


次に真夏達は秀一の新しい高校を探したが公立高校受験までに受験出来る学校は殆ど無かった。

しかし愛佳が通う予定の私立高校が募集している事を知り(これは全くの偶然だった)

秀一に真夏と愛佳は再度説得した。

さすがに滑り止めが無い事は不味いと思った秀一は素直に受験を了承して無事合格したのだ。


それでも池島高校に秀一が落ちるとは考えもよらない事で今日結果を聞いても真夏も愛佳もすぐには信じられなかった。

なぜなら秀一が合格した私立高校の偏差値は池島高校より遥かに高かったからだ。


愛佳と真夏は神に感謝しつつ今後の対策を2人で話し合う事にした。


「それじゃ話の続きは私の部屋でしよう」


「そうね秀ちゃんまた後でね」


2人は嵐の様に秀一の部屋を去っていった。


「真夏よ本を持って帰れ」









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