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来る気かね。

謙二から麻里が暴走したとの連絡が入ったのはその日の夜だった。

秀一は謙二からのメールを見て困っていた。


「参ったな」


秀一のメールアドレスを教えたのは謙一だ。


『俺をメッセンジャーにするな』


謙一からそう言われた秀一は謙二に携帯アドレスを教える事を了承したのだ。

(謙二はラインをしないのでそれは助かった)

謙二からのメールには簡単な事件の報告と秀一に対する気持ちが書かれていた。


[秀一、池島を落ちた事は残念だったな。

だが俺の兄貴の学校に行ってる事は一言でも言って欲しかったぞ。転入するからな]


「あいつ来るつもりか?」


秀一は謙二のメールの最後の部分をもう1度読みながら呟いた。


翌日秀一は愛佳に謙二のメールから麻里の起こした事件の顛末のみを伝える。


「今回は麻里にやられたわ」


愛佳は苦虫を噛み潰した顔で秀一に言った。


「そうだな」


「まさかすぐに行動するなんてね」


「どうする?」


「筋に...謙二さんのメールには麻里は『次よ』って言ってたらしいから、まだ次があるって事よね」


「たぶんな」


愛佳また考え込んでいる。


「次は玲美よね」


「玲美?」


「うん、玲美は純一や翔と一緒になって麻里を嵌めたでしょ、恐らく次のターゲットは玲美よ」


愛佳は断言する。


「だが玲美は入学式をすっぽかして家に引き籠ってると麻里から聞いたぞ、もう復讐が終わってないか?」


「甘いわ、所詮は玲美の自業自得よ。

麻里の怒りはあの程度では収まらないわ」


「そうなのか?」


愛佳の言葉に秀一は頭を捻る。玲美の事は本当にどうでもいいのだ、


「秀ちゃんは玲美に対して全く興味を失っているけれど、麻里からすればそうはいかないんでしょうね」


「そうなのか」


「まあ、しばらく麻里は動かないでしょうけど」


「なぜだ?このまますぐ次に行くんじゃないか?」


秀一は愛佳の予想の根拠が分からない。


「それが麻里の狙いよ、今回の事は謙二さんを通じて秀ちゃんに伝わっている事を麻里は予想している。だから秀ちゃんがすぐにこちらに来ると思って麻里は動かないわ」


「ふむ」


「だからしばらくは行動を控えて玲美を追い込む作戦を練って行くと思うの」


「なぜそこまで分かる?」


「親友だからよ」


秀一の問に愛佳はそう言った。




一方玲美は数日は自宅に引き籠っていたが、最近は夕方になると出歩く様になっていた。

親には高校でクラスメートと揉めてしまい行きづらくなったと説明していた。


まさか自分の浮気で学校に行けなくなったとは言えない、だから『他の高校に転入を考えているから友人達から情報収集をする』そう家族に言った。

家族は玲美の言い分を信じて静観していた。


「私が何をしたっていうのよ、ふざけるな」


玲美は自宅を出てそう呟いた。

最初の数日は後悔の涙を流した玲美だったが最近は自分の反省より周りに対する怒りが込み上げていた。


「純一や翔からは連絡はつかないし、亮は『お前と関わったせいで俺の高校生活は終わった』なんて言うし最低よ」


麻里が唆したとはいえ秀一から亮に乗り換えた

のは玲美の責任なのだ。

秀一と付き合っていた最初こそ幸せだったが常に異性から言い寄られたい願望が強い玲美は所詮そういう女だった。


「今日は康平よね」


玲美は携帯を見ながら呟く。

高校の情報収集と言いながら実際は中学時代の友人、果ては小学校時代の友人まで連絡を取り遊び歩く様になっていた。(主に男)


そんな男達からすれば玲美に対する認識は...


いつのまにか玲美は堕ちていた。

実際、麻里が手を降すまでも無く玲美は既に堕ちていたのだ。



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