85話
俺達はドームの中へ入り、通路を進む。
そして、遂に訓練場へ到着した。
俺達が到着すると、既に沢山の生徒がいた。
「この学園って、こんなに魔族がいたんだな」
「当たり前よ。そんなに少ないわけないわ」
まあそうだよな。
「因みに、どのくらいいるの?」
「全校生徒で3000人くらいよ」
「それでも、そんなもんなんだな。俺はてっきり1万人はいるのかと思ってた」
「確かに、入学志願者はそれくらいいるけど、実際に入学出来るのは数百人よ」
うわあ、マジかよ。
「それだと、ここにいるのはみんなエリートなんだな」
「それはそうよ。言ったでしょ、この学園は魔界でも屈指のエリート校だって」
言ってたな。でも、まさかそこまでとは……
俺とパトリシアがそう話している間にも、続々とこの学園の生徒が入って来ている。
そうして、入って来る人がいなくなった時だった。
「これで全員だな」
中央にあるステージの上で、そう言うのはこの学園の学園長だ。
「では、今から合同訓練を始める」
そうして、合同訓練が始まった。
「まあ合同訓練と言っても、いつものように成績優秀者が、このステージで戦うだけなんだけど」
そうなのか。
「それでも、ここで戦わない生徒達は、成績優秀者の戦い方を見て、しっかりと学んで欲しいと思うわ」
まあ、実力者同士の戦いは勉強になるからな。
「それじゃあ、ここで戦う生徒を発表するわね」
さて、どんなやつが出てくるのかな。
そう思っていると……
「ただ、今回は例外があるわ」
例外?
俺だけでなく、生徒達も困惑している。
「その例外とは……人間である難波レイ君、あなたよ」
そう言って、俺の方を指差してくる学園長。
他の生徒も俺を見る。
え、俺!?
俺が驚いていると、学園長は続ける。
「今回は人間である難波レイ君がここにいるわ。となれば、今回の合同訓練で試合をするのは彼とこの学園の代表者よ」
そう言う学園長。
え、俺も戦うのか?
「あら、レイも戦うのね」
「いや、俺は聞いてないんだけど……」
すると……
「難波君、こっちへ来て」
学園長に呼ばれてしまった。
俺は仕方なく、そのまま生徒の間を通って、ステージの前へ行く。
「さあ、上がって」
そう言われたので、俺はステージへ上がる。
「ここにいる難波君と試合するのは、今回の合同訓練の優勝者よ」
そう学園長は言う。
「え、優勝者と試合をするんですか?」
「何か問題でもある?」
いやまあ、問題だらけなんですが……
俺はそう思い、学園長に何か言おうとしたのだが……
いや、待てよ……
俺はある考えが浮かんだ。
「……それなら、その成績優秀者全員と試合をしますよ」
俺は学園長にそう言う。
「え、全員と?」
「はい」
俺がそう言うと学園長だけでなく、先生達や生徒達も驚いていた。
「言っておくけど、この学園の成績優秀者ってみんな強いし、それに加えて連戦になるのよ」
「ええ、分かってます。それでも、俺はやってみたいんですよ」
俺はそう言う。
「……分かったわ。何だか面白そうだし、いいでしょう」
そう言って、学園長は了承してくれた。
「ありがとうございます」
「それじゃあ、まずは初等部の子からいきましょうか」
そうして、俺はこの学園の成績優秀者達と試合をする事になった。
「レイ、大丈夫なの?」
俺がステージの上で準備をしていると、パトリシアがステージの側まで来て、そう言ってきた。
「ああ、まあ大丈夫だって」
「でも、この学園の成績優秀者はみんな強いのよ。確かにあなたもかなり強いけど、連戦は無理よ」
俺が言うと、パトリシアは少し表情を険しくして言う。
「まあ、見てろって」
「……知らないからね」
そう言って、パトリシアは元いた場所へ戻る。
まあ、確かに連戦はきついだろうけど……
俺はこの世界に来てから、アイリスぐらいしか強いやつとまともに戦っていない。だから、この機会に強いやつと出来るだけ戦っておきたいんだ。
そんな事を考えていると、ステージに男の子が上がって来た。
お、相手はあの子か。
ステージに上がって来たのは小学生くらいの男の子だった。
まあ、初等部だし当たり前か。
俺はそう思いつつも、油断せずに男の子を見る。
姿勢や歩き方は確かに他の生徒とは違うな。
他の初等部の子を何人か見たが、この子はその子達とは違う。
さて、どんなものかな。
俺はそう思いつつ、男の子の方へ歩いて行く。
「君が初等部の成績優秀者だね」
「……」
俺がそう聞くが、返事がない。
表情を見ると、どうやら緊張しているようだ。
そうか、俺が人間だから緊張してるのか。
クラウスターさんのおかげで、遠目から見るのは大丈夫でも、やはり実際に近くで見て、況して戦うとなると緊張ぐらいするだろう。
しかも、この子はまだ子供だしな。
俺は、先ずこの子の緊張を解こうと思った。
「緊張しなくていいよ。確かに俺は人間だけど、ここの魔族のみんなと変わらないから。だから、君の本気を見せてくれ」
俺はそう言って、手を差し出す。
すると、どうやら少し緊張は解けたようで……
「は、はい!」
そう言って、俺の手を握り返してくれた。
よかった、少しは緊張が解けたようだ。
「俺は難波レイ、よろしく」
「僕はバフィトです。よろしくお願いします」
そうして、俺達がお互いに挨拶を済ませたところで、学園長が声をかけてくる。
「それじゃあ、始めましょうか」
「はい」
「はい!」
そうして、俺達はお互いに距離を取る。
そして、お互いに武器を出す。
俺の武器を始めて見た生徒達は驚く。
俺はいつもと同じように誤魔化した。
バフィト君の武器は盾だ。
盾を持つやつは大体1人では戦わないんだけどな。
だが、バフィト君は成績優秀者だ。油断しないようにしよう。
「準備はいい?」
「はい!」
「いつでもいいですよ」
俺達はそう言って、構える。
「それじゃあ始めて」
そう言われた瞬間、バフィト君はこっちに向かって走り出す。
俺はそのまま待ち構える。
そして、そのまま盾で殴りつけてくる。
そう来たか!
俺はその攻撃を横に飛んで避ける。
そして、そのまま刀で斬撃を放つ。
しかし、バフィト君は盾を引き戻して、そのまま俺の刀を防ぐ。
そして、再び盾で殴ってくる。
俺はそれを後ろに飛んで避ける。
成る程、中々上手い使い方だな。
盾での攻撃は面での攻撃だ。その分、攻撃が当たった時の衝撃は他の武器よりも格段に上だ。もし攻撃されても、そのまま盾で防御する。
しかもバフィト君は体が小さいから、体の殆どが盾で隠れる。
それにより、普通に攻撃を当てるのは難しいだろう。
そう考察している間にも、バフィト君は盾で攻撃してくる。
俺はそれを避けつつ、攻撃を仕掛ける。
しかし、俺の攻撃は盾で防がれてしまう。
流石だな、このレベルのやつは国立グロリア学園でもいなかったぞ。
俺の攻撃を防ぐバフィト君を見て、そう思う。
俺も少し本気を出さないといけないな。
そうして、俺はタイミングを計る。
バフィト君は俺が攻撃をやめると、すぐに盾で攻撃してくる。
……ここだ!
俺は盾が直撃する直前で上に飛ぶ。
「え!?」
バフィト君には俺が消えたように見えたのだろう。すごく驚いていた。
俺は空中で刀の切先を下に向ける。
「心証流秘剣ー雫」
そして、そのまま一気に落下して、バフィト君に攻撃する。
「あああ!」
そのまま膝をつくバフィト君。
「はい、そこまで」
学園長がそう言い、俺とバフィト君の試合は終わったのだった。




