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84話

俺とノセレさんは廊下を歩いている。

時間は午前9時30分だ。この時間になると、1時間目が始まるからか、廊下には誰もいない。

そんな静まり返った廊下を、俺とノセレさんは2人で歩く。

「あそこがパトリシア様の教室です」

そう言って、奥の教室を指差すノセレさん。

俺とノセレさんはその教室の前まで来る。そして、ノセレさんがドアをノックする。

すると、中から先生が出て来た。

「はい」

「突然すみません」

「あ、ノセレさん、どうしたの?」

「はい、実はここにいる難波レイさんがこの学園にいる間、パトリシア様と同じ教室で過ごすようにと学園長から言われまして」

そして、先生が俺を見る。

「初めまして、難波レイです」

「あ、あなたが人間の……」

「はい、そうです」

「安心してください。彼は昨日からこの国にいますが、すごく大人しい青年ですので」

ノセレさんがそう言ってくれる。

「……まあ、学園長が許可したなら大丈夫だろうし……分かったわ。私はサリア。よろしくね」

「よろしくお願いします」

「さあ、中に入って」

「ありがとうございます」

そうして、俺達は教室の中に入る。

ざわざわ。

教室の中が一気に騒がしくなる。

「みんな、落ち着いて聞いて。彼は難波レイ君。このクラスで一緒に過ごす事になったわ」

すると、さらに騒がしくなった。

「みなさん、もう聞いていると思いますが、ここにいる難波レイさんは人間でありながら、私達に何もしません。彼は少し変わった人間なんです」

ノセレさんがそう言うが……

何て酷い紹介だ。

俺はもっと別の言い方があったのではと思う。

そこで、立ち上がった女の子がいた。

「私は彼とずっといたけど、とても優しい人よ」

その女の子はパトリシアだ。

「え、パトリシアさん!?」

「ずっといたって、この学園を休んでる間か?」

「もしかして、人間界にでも行ってたのか?」

そんな声が聞こえてくる。

「ええ。私は人間界に行って、彼に会ったわ。そして、彼は私を魔族だからって襲って来なかったわ」

パトリシアがそう言うと、みんな静かになった。

「難波君、自己紹介をして」

サリア先生がそう言うので、俺はそれに従う。

「皆さん初めまして、難波レイです。特技は剣術、料理などです。仲良くしてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」

俺はそう言って、頭を下げる。

すると……

パチパチパチ。

見ると、パトリシアが拍手をしてくれていた。

パチパチパチ。

それに続いて、レリーさんが拍手してくれた。

すると、徐々にみんな拍手をしてくれるようになった。

「ありがとう」

俺はそう言って、再び頭を下げる。

「それじゃあ、難波君はパトリシアさんの席の隣ね」

サリア先生がそう言うので、俺は頷いてパトリシアの隣に行く。

「よかったわね」

パトリシアは笑顔でそう言ってくる。

「ありがとな」

俺はそう言って、席に座る。

「それでは、授業を再開するわね」

そうして、俺はそのまま授業を受けたのだった。


キーンコーンカーンコーン。

「それではここまでね」

そうして、1時間目は終わった。

1時間目は戦術の授業で、とても興味深かった。

「レイ、どうだった?」

「ああ、とても興味深い授業だった」

「それはよかったわ」

そう言って笑うパトリシアは、とても嬉しそうだ。

恐らく、俺がこの学園の授業を気に入ったのが嬉しいのだろう。

そこで……

「あ、あの!」

「え?」

後ろの席の女の子が声をかけてきた。

「ほ、本当に、あなたは魔族を襲わないんですか?」

そう聞いてくる。

見ると、周りの魔族達もこちらを見ていた。

「ああ、俺は魔族を襲わない」

俺はそう言う。

「ほ、本当ですか?」

「ああ、本当だ」

「本当に、本当ですか?」

「ああ」

「本当の本当に、本当ですか?」

ああ、これ終わらないやつだ。

……そうだ、あれをやろう。

「マテリアライズ」

俺は刀を出す。

「ひゃっ!?」

女の子は驚く。

周りの魔族達も驚いていた。

俺は刀を鞘ごと外し、女の子に差し出す。

「ほら、これ」

「え?」

「これ、待ってみてよ」

「……はい」

そう言って、恐る恐る持つ。

すると……

「うわあ!すごく暖かい!」

そう言ってくれた。

「これ、あなたの武器ですよね!」

「ああ、そうだ」

「こんなにも武器って、暖かいんだあ」

そう言って、俺の刀を抱きしめる女の子。

「どうだ、信じてくれるか?」

俺がそう言うと、女の子は頷いて……

「もちろんです!こんなにも暖かい魂の人が悪いわけないですから!」

笑顔でそう言ってくれた。

すると……

「あ、あの、私も触りたいです!」

「お、俺も!」

「私も!」

そうして前の時のように、みんな触りたいと言ってきた。

またこうなるのか……まあ、いいか。

俺はそう思いつつ、もう1本の刀も外してみんなに渡したのだった。


そうしてそんな事がありつつも、俺はクラスに馴染んでいった。

そして昼休みになり、俺とパトリシアとノセレさんはメイリーと合流して昼食を食べていた。

そして、話題は今日の俺の学園生活の事だ。

「流石レイ様です。もう学園の生徒と親しくなるなんて」

「いや、パトリシアのクラスの生徒だけだって」

「レイ様なら、すぐに学園の生徒全員と親しくなりますよ」

「そうかなあ」

流石にそんな事にはならないと思うけどな。

「それにしても、難波さんは武器の実体化まで出来るなんてすごいですね」

「やっぱり出来ないもんなの?」

「ええ。出来る魔族なんて、殆どいないわ」

やっぱりそうなのか。

「パトリシアも出来ないの?」

「ええ、出来ないわ」

パトリシアでも出来ないのか。

「でも、お父様は出来るわよ」

「まあ、魔王だもんな」

そりゃ出来るよな。

「あ、そう言えばお姉様、今日は合同練習の日だったわ」

「あら、そうだったのね」

合同練習?

「合同練習って何?」

俺がそう聞くと、ノセレさんが答えてくれる。

「合同練習とは月に1度、この学園の初等部から大学部までの学生が集まって、一緒に練習する事です」

成る程、それは面白いな。

「それって、俺も見学していいの?」

「もちろんよ」

「おお。そんじゃ、見学させてもらおうかな」

楽しみだなあ。

俺はそう思いつつ、昼食のパンを食べたのだった。


「それでは皆さん、ドームに行きますよ」

俺達はサリア先生の後をついて行く。

今からこの学園のドームへ行き、そこで合同練習をするようだ。

「いやあ、楽しみだなあ」

俺がそう言うと……

「そんなに楽しみなの?」

パトリシアがそう言ってくる。

「そりゃあそうだろ。どんな強いやつがいるのか、しっかり確認しないとな」

「レイって、意外に戦闘好き?」

「いや、俺は強いやつが好きなんだよ」

「あまり私には分からないわ」

パトリシアはそう言う。

まあ、俺も昔はパトリシアと同じだったな。でも、師匠から剣技を教わってから変わったんだよな。

そうしてパトリシアと話していると、ドームが見えてきた。

「うお、でっかいなあ」

「それはそうよ。じゃないと、この学園の初等部から大学部の生徒なんて入らないわ」

まあそうなんだけどな。それでもやっぱり、でかいものはでかいんだよな。

そうして、俺達はドームの中へと入って行った。

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