83話
俺は食事を終えると、パトリシア達と学園に行く準備をした。
と言っても、着替えるだけなんだがな。
俺は国立グロリア学園の制服に着替えると、部屋を出た。
「あ、丁度呼ぼうと思ってたの」
部屋を出ると、パトリシアと会った。
「おう、俺は準備出来たぜ」
「それって、制服?」
「ああ、これは俺が通ってた学園の制服だ。一応学校に行くなら、制服の方がいいと思ってな」
「そうなのね」
そう話していると、メイリーがやって来た。
「お姉様、レイ様、お待たせしました」
「全然待ってないよ」
「ええ。それじゃあ行きましょうか」
そうして、俺達は歩き出した。
城の入口まで行くと、ノセレさんがいた。
「パトリシア様、メイリー様、私もご一緒します」
「ええ」
そうして、ノセレさんも一緒に来る事になった。
「いつも一緒に行くんですか?」
「はい。私はパトリシア様とメイリー様の護衛ですので」
成る程。
「いつも私達の近くにいてくれるから、安心して学園生活が送れるの」
「そう思うなら、もう勝手に人間界に行かないでください」
「分かってるわ」
やはり、ノセレさんはまだ少し怒っているようだ。
まあそりゃそうだよな。魔王の娘が行方不明になるなんて、大問題だし。
俺達がそんな風に街を歩いていると……
「あれが、例の人間か?」
「そうだろう」
「本当に何もして来ないのかしら?」
そんな声が聞こえ、視線も感じる。
だが、それ以上は何もしてこないので、俺も気にしない。
それにしても、クラウスターさんってすげーな。
俺は魔族の反応よりも、クラウスターさんの仕事の早さに驚いていた。
そうして歩いていると、学校らしき建物が見えてきた。
「もしかして、あれ?」
「ええ、そうよ」
俺が確認すると、パトリシアが答えてくれた。
かなり立派な建物だな。
外観は国立グロリア学園と一緒で、かなり綺麗だ。
そんな事を考えつつ歩いていると、学園に到着した。
「ここが国立デクリア学園よ」
パトリシアがそう言う。
周りは学園生が沢山登校しており、みんなこちらを見ている。
「なあ、ここにいると邪魔だし、早く中に入ろうぜ」
「それもそうね」
そうして、俺達は中に入る。
「私は中等部だから、こっちなの」
「この学園は初等部、中等部、高等部と分かれているのよ」
成る程。そう言えば、俺が通ってた国立グロリア学園は高等部だけだったな。
「お姉様、レイ様、私はここで」
「ええ」
「頑張れよ」
「はい!」
そうして、メイリーは行ってしまった。
「それじゃあ私達も……」
その時だった。
「パトリシアー!」
そう言いつつこっちに向かって走る女の子がいた。
「あ、レリー!」
あの子がレリーさんか。
そうして、レリーさんは俺達の所に来た。
「もう、パトリシアったら!勝手にどこかに行っちゃって!」
そう言って怒るレリーさん。
「ごめんなさい。どうしても人間界に行きたかったのよ」
「人間界!?そんなの危ないじゃない!」
「ごめんなさい」
「本当に、いつも心配ばっかりさせて!もう勝手にどこかに行っちゃ駄目よ!」
「分かってるわ」
レリーさんは、パトリシアの事をとても心配していたようだ。
「あら、もしかして、そちらの方が噂の人間の?」
レリーさんはこちらを向いて聞いてくるので、俺は自己紹介をする。
「はい、難波レイと言います。よろしくお願いします」
俺がそう言うと、レリーさんも自己紹介をしてくれる。
「そうなの。私はパトリシアの友達のレリーよ。よろしくね」
何ともフレンドリーな魔族だ。
「あの、俺の事を見て何とも思わないんですか?」
「うーん。まあ、何も思わない事はないけど、あなたを見ると悪い人間って感じでもないし、特に気にしないわ」
おお、すごくあっさりしてるな。
「それじゃあ、教室に行きましょうか」
「そうね」
「え、俺も教室に行って大丈夫か?」
俺はそう聞く。
「難波さんは、私と職員室に行きましょう。そこで、学園長と話しましょう」
そうノセレさんが言う。
「分かりました」
「パトリシア様とレリー様はお先に教室の方へ」
「分かったわ。行きましょう」
「また後でね」
そうして、2人は教室へ向かった。
「では、私達も行きましょうか」
「はい」
俺とノセレさんは職員室に向かうのだった。
俺はノセレさんの後ろを歩いていた。
今は校内にいるのだが、廊下は中々綺麗で広い。
そうして歩いていると、ノセレさんが止まった。
「ここです」
そうして、俺達は職員室の前まで来た。
コンコンコン。
「失礼します」
そう言ってドアを開けるノセレさん。
「すみません、学園長はいますか?」
すると、職員室の先生がこちらに気づいた。
「あ、ノセレさん。学園長なら学園長室にいますよ」
「ありがとうございます」
そう言って、ノセレさんはドアを閉める。
「学園長室は隣ですので、行きましょう」
「はい」
そうして、隣の部屋の前に来た。
コンコンコン。
「はい」
「学園長、ノセレです」
「ノセレさんね、入っていいわよ」
「失礼します」
そうして、ノセレさんは部屋に入る。
「失礼します」
俺もそう言って入る。
「学園長、お話があって来ました」
ノセレさんはそう言う。
「ああ、人間の男の子が来るって話なら、もうクラウスターさんから聞いたわよ」
「そうですか」
え、マジで!?クラウスターさんすごすぎじゃね!?
俺は今日、一体クラウスターさんに何度驚かされるんだろう?
そんな事を考えていると、学園長が俺を見ている。
「あなたがその子ね」
そう言われたので、俺は頷く。
「はい、難波レイです」
「あなた、本当に魔族を襲わないの?」
一番最初にそう聞かれる。
まあ、学園の責任者であるなら、その警戒は正しい。
だが、俺にとってそれは好ましくないので、学園長に言う。
「はい、俺は魔族を襲いません」
「なぜ?」
「襲う理由がないからです。先に襲われたならまだしも、こちらから襲う事はありませんよ」
俺は学園長を真っ直ぐ見て言う。
学園長もこちらを見て、その状態が数秒続き……
「……分かったわ。嘘は言ってなさそうだし、まあ大丈夫かしらね」
よかった、信じてもらえたようだ。
「私はここ、国立デクリア学園の学園長であるエミリーヌよ。それで、あなたはパトリシアさんと一緒に来たんだったわね」
そこまで知ってるのか。
「はい」
「それならこの学園では、あなたはパトリシアさんと同じクラスにいてちょうだい。その方がいいでしょう?」
「はい、俺としてもその方が助かります」
「それじゃあ決まりね。ノセレさん、案内を任せていいかしら?」
「もちろんです」
「ありがとう」
「それでは行きましょう。学園長、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
そう言って、俺とノセレさんは学園長室を出る。
「それでは、パトリシア様がいらっしゃる教室に案内します」
「はい」
そうして、俺とノセレさんは歩き出した。




