81話
俺達はさっきの部屋から食事をするため、移動した。
そうして、食事をするために入った部屋はとても広く、長いテーブルが置かれていた。
俺達はそれぞれ椅子に座り、料理が運ばれてくるのを待つ。
俺の隣にはパトリシアとメイリーさんが座り、上座には魔王が、俺達の向かいにはエルフィーさんが座っている。そして、俺達の後ろにはノセレさんがいる。
「あの、さっきはごめんなさい……」
「ああ、もういいから」
メイリーさんは移動中もずっと謝ってきた。もういいと言っているのだが、どうも本人は納得していないようだ。
「メイリーさん、俺は気にしてないからもういいんだよ」
「……分かりました」
やっと納得してくれたか。
「あの」
「ん?」
まだ何かあるのか?
「私の事は呼び捨てでいいです」
何だ、そんな事か。
「ああ、分かった。俺の事もレイでいいよ」
「はい、レイ様!」
え、レイ様?
俺がそれについてメイリーに聞こうとすると……
「難波さんは優しいんですね」
エルフィーさんがそう言ってくる。
「あ、ありがとうございます」
そう言っておく。
「さっきの立ち回り、すごかったわよ」
今度はパトリシアがそう言う。
「ああ、ありがとな」
「メイリーの剣をあんなに捌ける人は、そうはいないのよ」
「そうだろうな。中々のものだったよ」
「でも、レイ様には通用しませんでした」
そうメイリーが言ってくる。
「まあ、まだまだ粗さがあったからな」
俺がそう言うと……
「あの、それならここにいる間、剣術を教えてくれませんか?」
そう言われた。
「そうだなあ……分かった、いいよ」
俺がそう言うと、メイリーは喜ぶ。
「ありがとうございます!」
「よかったわね」
「はい、お母様!」
うん、向上心があるのはいい事だ。
そんな事を話していると、料理が運ばれて来た。
ほう、ステーキか。やっぱり魔王が食べるだけあって豪華だな。
「それでは食べましょうか」
そうして、俺達は食べ始める。
「いただきます」
俺はステーキを切って、口に運ぶ。
「美味い!」
肉は柔らかく、噛む度に肉汁が溢れる。ソースも少し甘めで、とても美味しい。
「それはよかったわ」
パトリシアがそう言ってくる。
そうして暫く食べていると、魔王が口を開いた。
「難波レイ」
「はい?」
「君は、パトリシアから話は聞いたか?」
話……
「それは、どういった内容の話ですか?」
「……人間と魔族についてだ」
具体的には言わないか。
「ええ、聞きましたよ」
「それなら、きみはその話を聞いた上で、どうする?」
あくまでもこちらの意思を確認する気だな。
「……俺は、パトリシアと協力し合うと約束しました」
俺はそう言う。
「そうか。それなら、私達も協力しよう。実は、パトリシアだけでなく、私も君と会いたいと思っていたんだ」
魔王はそう言う。
「お父様はね、私と同じで人間と友好関係を結びたいと思っているのよ」
そうパトリシアが説明してくれる。
成る程な。
俺は魔王の方を見る。
信じてもよさそうだな。
俺はそう判断した。
「ありがとうございます」
俺は礼を言う。
「気にするな。それと、君には人間との間を取り持って欲しい」
「分かりました、やってみます」
俺はそう言う。
「頼んだ。それから、クラウスターに部屋を用意させる。そこを使え」
「ありがとうございます」
そうして、この会話はそこで終わった。
その後食事が終わると、クラウスターさんが俺を部屋に案内してくれた。
「ここです」
「ありがとうございます」
礼を言い、中に入る。
部屋は調度品は殆どないが、とても綺麗にされていた。
「それでは、私はこれで」
そう言って、クラウスターさんは行ってしまう。
俺は鞄を床に置き、ベッドの上に座る。
そうしてゆっくりしていると……
コンコンコン。
「はい」
「レイ様、よろしいですか?」
そう言ってくるのはメイリーだ。
「ああ、開いてるから入っていいよ」
俺がそう言うと、ドアを開けてメイリーが入って来る。
「突然すみません」
「いや、いいよ。それより、どうしたの?」
「あ、はい。その、もしよろしければ、お時間をいただけないかと」
「ああ、もしかして剣術の練習?」
「はい」
俺が言うと、メアリーは頷く。
「分かった。いいよ」
「ありがとうございます!」
メイリーは嬉しそうだ。
そうして、俺達は部屋を出て、外に出るため歩き出す。
すると、廊下でパトリシアと会った。
「あら、レイにメイリーじゃない。どこに行くの?」
「今からメイリーに剣術を教えに行くんだよ」
「そうなの。私も行っていいかしら?」
「どうだ、メイリー」
俺はメイリーに確認する。
「もちろんいいわよ、お姉様」
「ありがとう」
そうして、俺達は歩き出した。
外に出て、庭に来る。
「あ、ノセレ」
庭にはノセレさんがいた。
「パトリシア様にメイリー様、それに難波さんまで。どうなさったのですか?」
「俺がメイリーに剣術を教えようと思って、ここに来たんだ」
「私は見学に来たの」
「そうですか。それなら、私も見学させていただいてよろしいでしょうか?」
「いいわよ」
メイリーがそう言う。
「そんじゃ、やるか」
「はい!」
そうして俺とメアリーは、パトリシアとノセレさんから離れる。
「そんじゃ、構えてくれ」
「はい!」
メイリーは返事をして、剣を出す。
そして、剣を構える。
「それじゃあ、素振りから始めようか」
「はい!」
そうして、メイリーは素振りを始めた。
そうしてメイリーに教える事30分。
「よし、今日はこれくらいにしよう」
「え、もう終わりですか?」
「そんなに一気にやっても意味ないしな。毎日少しずつやろう」
俺がそう言うと、メイリーは少し考えて……
「あの、レイ様」
「何だ?」
「あの、レイ様の剣術を見せてくれませんか?」
そう言ってきた。
「え、俺の?」
「はい」
うーん……まあ、少しならいいか。
「いいよ」
「ありがとうございます!」
俺が了承すると、メイリーは喜ぶ。
「そんじゃ、リベレイト」
俺は刀を出す。
「そう言えば、難波さんの剣は透明なんですね」
少し離れた所からノセレさんが言う。
「俺のは特殊なんですよ」
これも最早定型句となったな……
俺はそう思いつつ、刀を構える。
「そんじゃ、2人の所に行ってくれるか?」
「分かりました!」
メイリーは2人の所に行く。
「そんじゃ、始めるぞ」
「お願いします!」
そうして、俺は刀を振るい始めた。
「すごいわね」
「ええ、本当に」
「流石レイ様!とても素敵だわ!」
3人はレイが刀を振るう姿を見て、そう感想を漏らす。
「特に、攻撃が終わってからの繋ぎがすごく速いです」
「そうね。あの速度で攻撃されたら、とてもじゃないけど受け切れないわ」
「私と戦っていた時も、完全に攻撃を受け流されたわ。速さだけじゃなくて、技術もすごいわよ」
3人がそう言っていると、レイは刀を鞘に納めた。
ふう、今日はこの辺で終わろう。
俺は刀を鞘に納め、武器を消す。
「もう終わりですか?」
そこで、メイリーがこちらに来る。
「ああ、今日はここまでだな。また明日にするよ」
「分かりました」
「そんじゃ、戻ろう」
「はい」
そうして、俺達は城の中に戻った。




