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6話

……うん、朝か。

「おはよう」

「ん?ああ、おはよう」

隣で寝ていた理亜が挨拶をしてきたので、俺も挨拶を返す。

昨日俺と理亜は一緒に寝た。今思い返すと初めてにしては中々だったと思う。まあ初めてだから分からないが。

「どうしたの?」

「いや、夜の事を思い出してな」

「そ、そうだね」

理亜も少し恥ずかしいのか顔が赤くなった。

「まあ、何だ。これからよろしくな」

「うん!」

そうして俺と理亜は付き合い出した。


「じゃあ俺はまたここに泊まるとするかな」

「ごめんね。我儘言って」

「いや、寧ろ理亜といたいからいいんだよ」

「そ、そうなの?」

「ああ」

そんな会話をしながら、俺は理亜と廊下を歩いている時だった。

「朝から仲がいいねえ」

「あ、お母さん」

「おはようございます」

「おはよう。それで理亜、上手くやったみたいだね」

「う、うん」

「それはよかったよ」

「え?上手くやったって?」

「あたしが理亜に言ったんだよ。好きな男がどっか行っちまう前に気持ちを伝えて来なってね」

何て言うか、男前だな。

「お母さん、ありがとう」

「いいんだよ。それよりも、レイ」

「はい?」

「あんたはうちの娘が選んだ男だ。心配はしてないけど、理亜の事をよろしく頼むよ」

「はい、もちろんです!」

「よろしい!それじゃ、お父さんの所に行って来な」

「え?」

「報告だよ、報告」

「そうだな。理亜、一緒に行こう」

「う、うん」

俺と理亜は理亜のお父さんの所へ向かった。


「理亜さんとお付き合いさせていただく事になりました」

そう言って頭を下げる。

「……」

「……」

お互い無言でいる時間が暫く続く。

「……理亜は俺達の大切な娘だ。泣かせるんじゃないぞ」

「はい!」

そうして、俺達は理亜の両親の許しを得た。


今、俺と理亜はデートしている。理亜のお母さんが2人で出かけてくるように俺と理亜に言ってくれたからだ。

「何処行く?」

「そうだね。この前いろんな所に行っちゃったからね。どうしよっか」

「じゃあその辺を適当に歩くか」

「うん、いいよ」

そうして、手を繋いで歩いている時だった。

「あれ、綺麗だね」

「どれ?」

「あのペンダント」

通りかかった店の前で理亜は1つのペンダントを指差した。それはオパールを使ったペンダントでとても綺麗だった。

「確かに綺麗だな」

「でしょ?いいなー」

「……店に入って見てみるか」

「え?」

そう言って俺は理亜の手を引き、店に入った。

「いらっしゃいませ」

「あのペンダント見せていただけますか?」

「はい、畏まりました。少々お待ちください」

そのまま店員さんはペンダントを取りに行った。

「こちらでごさいます」

程なくして戻って来た店員さんは俺達にペンダントを渡してくれた。

「ありがとうございます。理亜」

ペンダントを理亜に渡す。

「……どうかな?」

「似合ってるぞ」

「本当?」

「ああ。そう言えば、理亜は誕生日いつだっけ?」

「私は10月30日だよ」

「10月か……なら丁度オパールだな」

「え?何が?」

「俺の故郷には誕生石ってものがあってな、10月の誕生石はオパールなんだよ」

「そうなんだ」

「ああ。そんじゃ、それ買うか」

「え?」

「すいません。これください」

「はい。ありがとうございます」

「いいの?」

「ああ。初デートの記念だよ」

「ありがとう!」

理亜はすごく嬉しそうだ。よかった。

俺はそのまま会計を済ませて、理亜と店を出た。

「……」

理亜が黙ったままだ。どうしたんだ?

「どうしたんだ?」

「……レイは誕生日っていつなのかなって」

「……」

俺か……

「あ、ごめんね。レイがその……」

「いいよ。俺は孤児だけど気にしなくていいさ。それと誕生日だけど、8月8日だよ」

「え?誕生日が分かるの?」

「ああ。シスターが俺を拾った時、俺のプロフィールが書かれた紙も一緒にあったんだって」

「……そうなんだ」

もちろんそれは嘘だ。実際にはそんなものはなかった。8月8日は俺の実際の誕生日だ。それぐらいなら言ってもいいだろう。

「ねえ、レイの誕生石は何なの?」

「ん?8月はペリドットだけど」

「ちょっと待っててね!」

「え?」

そのまま理亜はまたさっきの店に入って行った。

どうしたんだ?買い忘れでもあったのかな。

少し待つと理亜が店から出て来た。

「これ!」

「何だこれ?」

袋を渡してくるので受け取って中身を確認すると、ペリドットが使われたペンダントだった。

「店員さんに言って、探してもらったの」

「……いいのか?」

「うん、受け取って。これでお揃いだね」

そう言って、理亜は自分のペンダントを見る。

「ありがとな」

「ううん」

俺達はお揃いのペンダントをして、その後のデートを楽しんだ。


「ただいまー」

「あら、おかえり。どうだった?」

「楽しかったよ!」

「そうかい。それはよかった」

「じゃあ俺は部屋に戻るな」

「うん!また後で遊びに行っていい?」

「ああ、もちろん」

「ありがとう!じゃあ後でね!」

そのまま理亜と別れた。

その後は理亜とご飯を食べて、一旦別れて風呂に入った後、また俺の部屋で2人で過ごした。そして理亜はまた甘えてきたので、それに応えていたらまた熱い夜を過ごす事になった。1つだけ言うとすれば、理亜がめちゃくちゃ可愛かった。


そんな感じで充実した日々を過ごしていた。

そんなある日、何やら不穏な噂を聞いたと理亜が言ってきた。

「不穏な噂?」

「うん。何でも、テロが最近多いんだって」

テロか。穏やかじゃないな。

「気をつけないといけないな」

「そうだね」

そんなことを話しながら、その日も2人で過ごした。


それから数日後のことだった。

ドオン!

「っ!何だ!?」

すごい音がしたので寝ていた俺は飛び起きた。

そして窓から外を見ると煙が上がっていた。

ドオン!

「またか!?何が起こってるんだ!?」

ドオン!

くそっ!まさか、この前理亜が言ってたテロか!?

「レイ君!」

「理亜!」

「今、外が大変なことになってるの!」

「ああ、そうみたいだな。この前言ってたテロか?」

「分からない。けど、そうだと思う」

マジか!くそっ、こうなったら逃げるしかねえ!

ドオン!

「また音が!」

「理亜、ここから逃げるんだ!」

「う、うん!分かった。お父さんとお母さんにも伝えてくるね」

そのまま理亜は廊下を走って行った。

ドオン!

何とか逃げないと!

俺はどうやって逃げるかを考えるのだった。


「準備は出来たぞ!」

「よし、すぐに逃げるよ!」

あの後すぐに必要なものだけを持って家の前で集まっていた。

「よし、荷物は俺が持ちます!急ぎましょう!」

よかった。何とか逃げることが出来そうだ。

そのまま10分程走っただろうか。漸くこの国の出入り口が見えてきた。

「もう少しでこの国から出ます!」

「本当!」

「分かった!」

「もうの辛抱ね!」

そうして、もう少しでこの国を出るというという時だった。

バン!

「ぐはっ!」

ドサッ!

「!?」

「え?」

「あんた!」

理亜のお父さんが血を流して倒れた。

何だ!?何が起こった!?

「お父さん!」

「あんた!しっかりしな!」

しかし反応がない。

「すみません!」

そう言って俺は理亜のお父さんの首と手首に指を当てた。しかし脈はない。呼吸を確かめるも、駄目だった。

「……」

何が起こった!?何が!?

次の瞬間。

バン!

「うっ!」

ドサッ!

「お母さん!」

「!?」

何だ……何で……

そして周りを見てみると、遠くの高台からこちらを狙っている人がいた。まさか!?

「理亜、ここは危ない!早く逃げよう!」

「お父さん!お母さん!」

駄目だ。理亜は今正常な判断ができていない。ここは……

「理亜、ごめん!」

そう言って俺は理亜を担いで、この場から離れた。

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