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64話

俺と4組の殆どの男子は、アリーナの中央にいた。

他の生徒や先生は、壁際で俺達の事を見ている。

さて、やるか。

俺は今の自分の実力を試すいい機会を得た。そう考えつつ、刀を構えた。


「ねえ、ラピスさん」

「はい?」

ユゼリア先生が私に話しかけてきた。

「難波君は大丈夫なの?」

「恐らく、大丈夫だと思うんですけど……」

「ねえラピスさん、難波君ってそんなに強いの?」

「剣術が特技って言ってたけど」

同じクラスの女子がそう話しかけてきた。

「レイは強いわよ。でも、レイは集団を相手に戦った事なんてなかったはずだと思うの」

「え、それじゃあ厳しいんじゃないの!?」

「でも、分からないわ。私は、レイが本気を出してるところを見た事がないから」

「そうなんだ」

「大丈夫かな」

同じクラスの女の子達も心配そうにしていた。

レイ、頑張って。

アイリスは心の中で、レイの事を応援する事しか出来なかった。


審判役の先生が出て来た。

「準備はいいかい?」

「俺達はいつでもいいですよ」

「俺も大丈夫です」

そう言って、お互いに開始を待つ。

「それでは、始め!」

ダダダダダ!

先ずは銃を持ったやつらが、一気に俺を狙撃してくる。

それに対して、俺は走って避ける。

「ははは!あんなに大口を叩いておいて、逃げるので精一杯かよ」

「おらおらおら!」

「もっと撃て!」

そう言って、みんな調査に乗り出す。

これが本当にエリート戦士育成機関の学生か?

俺は銃弾を避けつつ、そう感じていた。

性格もそうだが、どうも戦闘技術が低い。

さっきから俺は敢えて単調に避けている。それなのに、余裕を持って躱す事が出来る。それはつまり、相手が俺の避ける先を読もうとせず、今いる位置に銃弾を撃ち込んでいるだけだという事だ。

こんな攻撃が、本当に魔族に通用するのか?

俺は疑問に思う。

すると、相手もやっと気がついたのか、銃撃をやめた。

「お前、ずっと避けてるだけじゃないか!」

「ちゃんと戦え!」

そんな事を言い出した。

何だ、こいつら?

俺は呆れていた。

こんな事を言い出すやつらが、本当にエリート学校に通う生徒なのか?

……まあいい、そろそろ倒しにかかるか。

俺はそう思うと、刀の切先を地面すれすれに構える。

「そこまで言うなら、お望み通り戦ってやるよ」

俺はその瞬間、走り出した。

「おい、来たぞ!」

「馬鹿かよ!真っ直ぐこっちに向かって来やがったぜ!」

「どんどん撃て!」

馬鹿はどっちだよ。

俺は弧を描いて走っている。それなのに、真っ直ぐに向かって来たと思っているのだ。

そして狙撃精度の低さも相俟って、俺に銃弾を当てる事が出来ない。

「何でだよ!?」

「どうなってんだ!?」

俺はそのまま走り、遂に銃を持ったやつらの所まで来た。

そして、その中の1人を斬る。

「心証流秘剣ー焔」

「ぐはっ!」

そのまま俺の剣技を受けたやつは倒れた。

本来、焔は集団戦では使用しない。1対1、しかも銃以外の武器が相手の時だけしか使えない。

そのため、今回のような集団戦で、しかも銃相手に使う事はないのだが……

相手の狙撃の精度、集団戦なのに単調な攻撃、それらの要素を考慮して試しに使ってみたんだけど、こうも決まるとはな。

流石に決まるとは思っていなかったのだが、完璧に決まってしまったので、俺は少し驚いていた。

「おい、次は俺達だ!」

「そうだ!」

「囲んじまえ!」

そうして剣、槍、盾を持ったやつらが俺を取り囲む。

だが、俺は焦らない。この程度の包囲網なら、簡単に抜け出せるからだ。

でもそれじゃあ面白くないよな。

そこで、俺は敢えて包囲された状態で戦う。

「はああ!」

「うおお!」

「おおお!」

そうして、3人が槍で攻撃を仕掛けて来た。それぞれ前から2本、後ろから1本の槍が俺に迫っている。それに対して、俺は上に飛んで避ける。

「あれっ!?」

「なっ!?」

「ちょっ!?」

そして3本の槍が丁度飛んでいる俺の真下に来た。

「心証流秘剣ー響」

俺は腕を伸ばして刀を構える。そして刀を振るって上から槍にぶつける。そうする事で振動が相手の槍から手に伝わった。

「あああ!」

「痛えぇ!」

「何だこれぇぇ!?」

その場で3人は槍を落とし、蹲る。

俺はそのまま着地した。

「ひ、怯むな!」

「行くぞ!」

そうして、今度は剣での攻撃がきた。しかし、今度は1人だけ剣を振り上げた。もう1人は俺の後ろに回った。恐らく、さっきのような同時攻撃ではなく、俺が1人と戦っている間にもう1人が攻撃してくるようだ。

甘いな……

俺は剣を振り下ろしてくる相手に対して、俺は刀を下段に構えて振り上げる。

「はああ!」

「ふっ!」

ガキイン!

「ぐあっ!」

そして俺の刀と相手の剣がぶつかり、お互いに弾かれる。

「もらった!」

後ろに回っていた相手は、俺に向かって剣を振り下ろしてくる。

しかし、俺は弾かれた反動を利用して回転する事で、後ろにいる相手に向かって刀を振るう。

「なっ!?」

「心証流秘剣ー円」

「ぐうああ!」

そのまま斬りつけた。

「うおお!」

その瞬間、他の剣を持ったやつが俺に向かって剣を振り下ろしてきた。

それに対して、刀で斬りつけようとした。

「させねえ!」

「おおお!」

その瞬間に盾を持ったやつが前に出て来て、俺の攻撃を防ごうとする。

それなら……

「はっ!」

俺は上に飛んだ。

「え!?」

「何!?」

「何だ!?」

3人は、俺が急に飛んだ事に慌て出す。

俺は空中で剣を持ったやつに向かって、刀の切先を向け、そのまま落下する。

「心証流秘剣ー雫」

「なあああ!」

俺が着地したのと同時に、剣を持ったやつも倒れた。

そして俺は間髪入れずに屈んだまま、盾を持った2人も刀で斬りつけて倒す。

これで後は半分くらいか。

俺は立ち上がりつつ、周りを見渡す。

周りのやつらは呆けていた。

「どうした、もう終わりか?」

俺がそう言うと、周りのやつらは我に帰って、慌てて武器を構える。

「来いよ」

「舐めんなよ!」

「行くぞ!」

「おお!」

そうして、俺に向かって来る。

向かって来るのは近接戦闘型ばかりか。それなら……

俺は走り出した。そして籠手を装備した相手に向かって行く。

俺は刀を逆手に持ち替え、一気に加速した。そして籠手を装備した相手の横を駆け抜け、その瞬間に刀で斬りつける。

「心証流秘剣ー颯」

「ぐああ!」

俺はそのまま走り続け、残りの銃を持った相手に突撃する。

「う、撃て!」

「あ、ああ!」

俺は銃弾を避ける。そしてそのまま相手を刀の間合いに捉え、全員斬りつける。

「かはっ!」

「うぐっ!」

「ぐああ!」

そうして、銃を持ったやつは全員倒した。

俺はそのまま、さっき俺の所に向かって来たやつらの方へ走る。

「来たぞ!」

「こっちも行くぞ!」

そうしてお互いに近づいたところで、俺は加速する。

「心証流秘剣ー颯」

「ぐああ!」

そのまま他の相手の所まで走る。

「うおお!」

「ふっ!」

俺は振り下ろされる剣に対して、刀をぶつける。そしてその反動を利用して回転し、斬りつける。

「心証流秘剣ー円」

「がはっ!」

よし。

「おおお!」

「はああ!」

横から籠手でのパンチを、後ろからは槍での突きをそれぞれ繰り出してくる。

俺はそれを飛んで躱す。するとパンチと槍が空振りに終わる。

俺は刀の切先を下に向け、落下する。

「心証流秘剣ー雫」

「ぐあっ!」

これで籠手のやつは倒した。

「まだだ!」

そう言って再度槍で攻撃してくる。

俺は着地した体勢のまま、前に飛んで転がる事で避ける。

「逃がすか!」

そう言って追撃してくるので俺は腕を伸ばして刀を構えて、そのまま刀を振るって槍にぶつける。

「心証流秘剣ー響」

「あああ!」

相手は槍を落として腕を抑える。

「はああ!」

「うおお!」

残り2人が俺に向かって来る。

「はああ!」

1人は槍で攻撃してくる。

「はあ!」

俺はそれに合わせて刀をぶつけようとする。

しかし……

「何度も同じ事してんじゃねえよ!」

そう言って相手は槍を引っ込める。

それにより俺の刀は空振りに終わる。

「もらったあ!」

そして、そこにもう1人の剣を持ったやつが俺に攻撃してきた。

だが……

甘いのはどっちだよ。

俺は空振りの勢いを利用して、一気に回転する。そして刀で斬りつける。

「心証流秘剣ー円」

「ぐああ!」

俺の攻撃が決まり、相手は倒れる。

これであとは……

俺は前に飛ぶ。すると、俺がいた場所に槍が刺さった。

「チッ!」

「今の攻撃、中々よかったぞ」

まあ気づいてたけど。

「ふざけんじゃねえ!」

そう言って俺に突きを放ってくる。

「心証流秘剣ー響」

俺は腕を伸ばして刀を構え、槍にぶつける。

「ぐああああ!」

槍から振動が伝わって、相手は腕を抑える。

「そ、そこまで!」

その瞬間、審判役の先生が声をかけてきた。

模擬戦が終わったので、俺は刀を鞘に納めた。

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