63話
俺は仕方なく、クラスの女子達と話していた。
「え、難波君ってそんなに特技があるの?」
「ああ、まあ色々やってきたから」
「すごーい!」
「料理が作れるのもポイント高いよね!」
「裁縫もできるなんて、すごく家庭的なんだね」
俺について色々聞いてくるので、全て答えていく。すると、隣にいるアイリスが俺の服を引っ張ってくる。
「ん?どうした?」
見ると、アイリスは少し怒った顔をしていた。
何に怒ってんだ?
「あの、難波君とラピスさんはどういう関係なの?」
クラスの女子の1人が俺達に聞いてくる。
「ああ、俺達は小さい頃から一緒に育った仲なんだよ」
「え!?」
「そうなの!?」
「ああ」
俺がそう答えると、アイリスはどこか自慢げな顔をしていた。
忙しいやつだな……
俺がそんな事を思っていると……
「へえ……」
「そうなのか……」
クラスの男子達の目つきが変わった。
キーンコーンカーンコーン。
その瞬間、休み時間が終わった。
ガラガラ。
「はい、席に着いてください」
先生が教室に入って来てそう言うので、みんな自分の席に戻って行く。
そのまま俺達は授業を受けたのだった。
午前の授業が終わり、昼休み。
俺とアイリスは誰もいない校庭の隅に逃げて来た。
「ここなら大丈夫だな」
「そうね」
あの後も休み時間の度に、クラスのみんなから質問されまくった。
流石に昼休みまではごめんだと、俺とアイリスはこうして逃げて来たのだ。
「毎日こんな感じなのかな?」
「いや、俺達が物珍しいから興味があるだけで、そんなに長くは続かないよ。今だけの辛抱だ」
「そう」
アイリスはほっと胸を撫で下ろす。
「そんじゃ、ここで昼食にするか」
「うん」
俺達はそこで弁当を広げる。
「ねえ」
「ん?」
「レイってモテるんだね」
「……それ、そっくりそのまま返すよ」
「私はそんなにモテてないわよ。でも、レイは今日ずっとクラスの女の子から話しかけられてたじゃない」
「アイリスも男子に囲まれてただろ」
「私は困ってたの!でも、レイは女の子に囲まれて嬉しそうにしてたじゃない!」
「いやいや、それは誤解だ。俺が女の子に囲まれて嬉しそうにするようなやつじゃないって事、アイリスだって分かってるだろ?」
「それは、そうだけど……」
何か分からんが、アイリスが落ち込んでいるようなので、俺はアイリスの頭を撫でる。
「あ……」
「ほら、元気出せよ」
俺がそう言うと、アイリスは笑顔になる。
「うん、変な事言ってごめんね」
「いいんだよ。それより、弁当を食べようぜ」
「うん!」
俺がそう言うと、アイリスは頷いて弁当を食べ始める。
それを見て、もう大丈夫そうだなと思い、俺も弁当を食べ始めたのだった。
昼休みが終わり、午後からは訓練だ。
訓練は学年合同で行われる。そのためアリーナには沢山の生徒が集合していた。
「いっぱいいるね」
「まあ4クラスが集まってるからな。全員で160人くらいか」
「そんなにいるんだ」
まあ人は多いが、このアリーナだけで現実にあるドーム3つ分くらいありそうなので、かなり余裕がある。
しかもそれが4つあるんだよな……
俺はそんな広大な敷地を有する事に、改めて呆れていた。因みに、俺達がいるのは第3アリーナだ。
「それでは、午後の訓練を始めたいと思います」
そうして、先生が出てきた。
「では各自、午前の授業で習った動きを実際に確かめてもらいます」
そうして、各自でそれぞれの武器での戦い方を思い出し、構えを確認したり、素振りをしたりと様々だった。
俺とアイリスも、それぞれ武器を出し素振りをする。
「え、透明な剣!?」
「どういう事!?」
またこの反応か。もう面倒なので気にしない。
そうして過ごしていると、先生が次にする事の指示を出してきた。
「それでは、次は模擬戦をやってもらいます。2人1組で行なってください」
そうして、みんなが2人1組になり、模擬戦を始めようとする。
「先生!」
「はい?」
そこで、俺と同じクラスの男子が先生を呼ぶ。
「俺達、そこにいる難波君がすごく強いって聞きました。そこで、難波君に対して集団戦をしたいと思います!」
「なっ!?」
「ちょっ!?」
「それは!?」
先生達も驚いている。
「いいよな、難波君」
そう言って同じクラスの男子が俺に聞いてくる。それと同時に、他の同じクラスの男子達が俺の方を向いた。みんな薄らと笑っている。
へえ……エリート校って聞いていたから、いじめはもっと陰湿なものだと思ってたけど、かなり直接的だな。
「駄目です!それはもういじめです!」
「そうです!認められません!」
先生はそう言ってくれる。
しかし……
「いいですよ」
「え!?」
「難波君!?」
俺はクラスの男子の提案を受け入れた。
「ちょっとレイ、何言ってんの!?」
アイリスも心配そうだ。
「そうだよ、何も受ける必要なんてないんだよ!」
「そうよ。勝手な事ばっかり言って、あんなの放っておけばいいんだわ」
クラスの女子達もそう言ってくれるが……
「いや、俺はやるよ」
「レイ……」
「大丈夫だよ」
俺はそう言ってアイリスに笑顔を向ける。
「……分かった」
アイリスも渋々だが納得してくれた。
「難波君、流石にそれは……」
「いいんですよ、先生。それに、彼らも集団戦の訓練が出来ていいじゃないですか」
「難波君、あなたには何の得もありませんよ。する意味がありません」
ユゼリア先生もそう言って止めてくる。
「意味ならありますよ」
「え?」
「俺もこの学園のエリート集団を相手に、どれだけ戦えるのか試したいんです」
「そんなの……」
「先生、お願いします。やらせてください」
俺は先生にお願いした。
「……分かったわ」
「ユゼリア先生!?」
「但し、難波君が危ないと思ったら止めるから」
「ありがとうございます」
俺は先生にそうお礼を言う。
「おい」
「何だよ?」
俺はさっき先生に俺との集団戦を提案した男子に話しかける。
「頼みを聞いてくれるか?」
「何だよ、さっきまで威勢のいい事言ってた割に、手加減してくれとでも言うのか?」
「いや、逆だ」
「逆?」
「全員、全力で来い。じゃないと……一瞬で終わるぞ」
俺がそう言った瞬間、同じクラスの男子達だけじゃなく先生や同じクラスの女子達、さらには他のクラスの生徒も驚愕していた。
「言ってくれるじゃねえか」
「余程自信があるのか?」
「いや、ただの馬鹿なんだろ」
「そうだな!」
そんな事を、同じクラスの男子達が口々に言う。
「いいかみんな、やるぞ!」
「「「「「おおー!」」」」」
何だか士気が高いが、まあいいか。
俺はこの学園の生徒がどれ程の実力なのかは、ルメイアさんと戦って知っている。今度の目的は剣技の確認をする事だ。
さて、少しは強いやつがいるかな。
俺はそんな事を考えながら、アリーナの中央に向かって行く。
こうして、俺対4組の殆どの男子で模擬戦をする事になったのだった。




