57話
メリスさんに案内され、俺とアイリスは学園内に入った。
「ここが入口です」
「うわあ!」
アイリスが感嘆の声を漏らす。
それもそうだろう。かなりの広さがあり、天井も高い。掃除も行き届いていて、とても綺麗だ。
「それではこちらへ」
俺達は入口を抜け、廊下に出る。
「ここが教室です」
メリスさんはそう言って、廊下を少し進んだ所のドアを開ける。
「中へどうぞ。今はこの教室は使っていないので」
俺とアイリスは中に入る。
中は大学のような階段教室だった。
「ここで勉強するんですね!」
「はい。ここで魔族についての学習や、戦術の学習をします」
「ここでは数学や歴史は学ばないんですか?」
「いえ、そちらもきちんとやりますよ」
成る程、一応バランスは取れているわけだ。
「それでは次に行きましょうか」
「はい!」
アイリスは元気に返事をする。
よっぽど楽しいんだろうな。
俺はそう思いながら、アイリスを見ていた。
「ここはトレーニングルームです」
「すごい!」
トレーニングルームの中には、色々なマシンが置かれていて、様々なトレーニングが出来るようになっていた。
確かにこれはすごいな。
ここにあるマシンはどれもよさそうなものばかりで、充実したトレーニング環境を提供していると言えるだろう。
「中々充実していますね」
「ええ。それが教育機関として当たり前の事ですから」
そう言うメリスさんは、どこか誇らしげだ。
「では、次はアリーナにご案内いたしますね」
「アリーナですか!」
「はい。そこでは丁度今、授業が行われているので、見学する価値があると思いますよ」
「それは楽しみです!」
丁度いい。この学園の生徒のお手並み拝見といこうか。
俺はそう考えつつ、メリスさんとアイリスと一緒にアリーナに向かった。
「ここがアリーナです」
「うわあ!大きいですね!」
アイリスが言うように、とても大きい。これ、現実世界のどのドームよりもでかいんじゃないか?
「では、案内しますね」
「はい!」
そうして、俺達はアリーナの中に入った。
アリーナの中の通路を進むと、観客席に出た。
「丁度授業中ですね」
メリスさんがそう言うので見てみると、ここの学生がそれぞれ1対1で戦っていた。
「今は模擬戦をしていますね。普段は座学で学んだ事の実践をする事が多いです」
流石育成機関の生徒だ。中々動きがいい。
そう思って見ていると。
「興味ありますか?」
「ええ、多少は」
俺がそう答えると、メリスさんは1つ提案してくる。
「それなら、誰かと戦ってみますか?」
「え?」
「私が頼めば、それぐらいは可能ですが」
「……お願いします」
俺はその提案に乗った。
「え、レイは戦うの?」
「ああ。アイリスはどうする?」
「折角の機会ですので、どうですか?」
「……そうですね。私もやってみます」
「分かりました。ではこちらへ」
そうして、俺達はアリーナのステージへと降りたのだった。
「すみません」
「ああ、メリスさん。そちらの2人は?」
「こちらは見学者の2人です」
「そうですか」
メリスさんは先生と話しをしている。俺達がステージに上がると、生徒達から注目された。
「おい、あの子見てみろよ!」
「うわ、すげー可愛い!」
「誰だ?」
「この学園の生徒じゃないよな?」
男子からはそんな声が聞こえる。
「ねえ、あの人」
「ちょっとかっこよくない?」
「うん、背も高いし」
「誰だろう?」
女子からはそんな声が聞こえる。
出来るだけ気にしないようにしよう。
アイリスの方を見てみると、聞こえていないのか無反応だ。
「分かりました。それでは彼と彼女はどうでしょう?」
「ええ、構いませんよ」
そうしている間に、俺達の対戦相手が決まったようだ。
「どちらからしますか?」
メリスさんが俺達に聞いてくる。
「アイリス、先にやってくれ」
「え、私!?」
「ああ。お前の強さ、見せてやれ」
「そんなあ」
「では、彼女が相手です」
そうして出てきたのは、黒髪ロングの美人だった。
「初めまして。私はニーナ・エイストスです」
「どうも、私はアイリス・ラピスです」
「私があなたのお相手をさせていただきます。どうぞお手柔らかに」
そう言う彼女は、見た限りかなりの強者だ。
「アイリス、彼女は相当強いぞ」
俺がそう言うと、アイリスも頷く。
どうやら、アイリスも感じているようだ。
「それでは、早速始めましょう」
そうして、アイリスとエイストスさんの模擬戦が始まる。
俺は移動して、離れた所から2人を見ていた。
「彼女は相当強いですよね」
「見ただけで分かるんですか?」
「ええ」
俺がメリスさんに確認すると、そんな反応が返って来たので、やはり彼女は強いんだろう。
「あなたの言う通り、彼女はこのクラスで3番目の強者です」
……まさか、3番目に強いとは。
まあアイリスなら大丈夫だろう。
俺はそう思いながら見ていた。
「準備はいいですか?」
「はい!」
「いつでもどうぞ」
審判役の先生がそう聞いてくるので、私達はそう返事をする。
アイリスは剣を握り、構える。
エイストスさんの武器は槍だった。今までアイリスはレイとしか戦った事がないので、剣以外の使い手と戦うのは初めてだ。
それでもやらないと!
「それでは、始めてください!」
そうして、模擬戦が始まった。
アイリスは一気に走る。何とか自分の剣の間合いに、相手を捉えようという考えだ。
そして、エイストスさんまであと3メートル程となった所で、エイストスさんが動いた。
槍が来た!
アイリスは、エイストスさんが槍による突きで牽制してきたのを、横に飛んで避ける。
このまま接近する!
そうして、アイリスが接近しようとしたが。
「甘いわ!」
エイストスさんが槍を引き戻して、再度アイリスに突きを放つ。
ここは剣で受ける!
アイリスは槍を剣で受け、弾く。
そのままエイストスさんとの距離を詰めようとするが……
「はあ!」
エイストスさんは槍を引き戻しつつ、バックステップする事で距離を保とうとする。
ここ!
しかしアイリスはそこで一気に加速して、無理矢理距離を詰めようとする。
「はああ!」
そのまま上段に構えた剣を振るう。
しかし……
「え?」
ギリギリのところで体を横にずらして、剣を避けるエイストスさん。
「ふっ!」
「ぐっ!」
そして槍での突きを繰り出してくるエイストスさん。
アイリスはそれを何とか横に飛んで避ける。
強い……
まともに近づかせずに、隙をついて攻撃してくる。
でも、レイの方が強い!
アイリスはそう確信する。エイストスさんよりもレイの方が強い事を。8年間も一緒に修行してきたからこそ分かる。
そう思い、アイリスは剣を握り直す。
そして、エイストスさんに向かって走り出す。
エイストスさんの方は、迎え撃つ構えをしている。
「はっ!」
そしてアイリスがエイストスさんの間合いに入った時、槍での攻撃を繰り出してきた。
「っと!」
しかしアイリスはそれを避け、接近を試みる。
しかし、エイストスさんは槍を瞬時に引き戻そうとする。
「はあ!」
「なっ!」
アイリスはそこを狙って剣を振るい槍を弾く。それにより槍を引き戻す事が出来なくなった。
「はああ!」
そのまま返す刀でエイストスさんの腹を斬りつけた。
「そこまで!」
先生がそう言うので、アイリスは剣を下ろす。
模擬戦はアイリスの勝利で終わった。




