53話
「それで、国王にはいつなればいいんですか?」
「まあ、学院を卒業してからかな」
「そうだろうな。私のところもそう考えている」
そうカーフ国王が言うので、少し気になった事を聞いてみた。
「他の国の次期国王はもう決まっているんですか?」
「何を言っているんだ、ここにみんないるだろうが」
「え?」
見ると、エーレ達が笑っている。
え、嘘!?
「もしかして……」
「はい」
「俺達が次期国王だ」
「私達は女王だけど」
「そうだね」
マジかよ!?知らなかったぞ……
「何だ、知らなかったのか」
「これからもよろしくね」
「あ、ああ」
俺はそう返事する事しか出来なかった。
だって、王族とは聞いてたけどさ!まさか時期国王と次期女王だったなんて、誰も思わないだろ!
……いや、ちょっと考えれば分かったかも。
俺はそんな事を思いながら、話し合いが進むのを黙って見ていた。
「はあ、何か大変な事になったな……」
俺達は今、城の外に出た。もう話し合いは終わったので、帰っていいとの事だった。
「でもまさかレイが次期国王に選ばれるなんてな」
「本当だよね」
「驚いたよ」
「でも、レイ君にぴったりだと思います!」
「そうよね」
「そうですね」
みんなはそう言うが、俺としてはそう思ってない。
「はあ、やっぱりやめとこうかな」
「それは駄目よ」
「何で?」
「だってレイが国王にならないと、私と結婚出来ないでしょう」
……え?
俺は固まった。みんなも固まっている。
「何?どういう事?」
「だから、私はあなたと結婚するためには、あなたがそれなりの地位じゃないと駄目なのよ」
いや、駄目なのよじゃなくてだな。
「それって、告白?」
「ええ、そう捉えてもらって構わないわ」
「えええええ!」
「嘘!?」
「こ、告白!?」
「ミカさん!?」
みんなも大慌てだ。俺も少し驚いている。
まさか告白されるなんて……
すると、今まで黙ったままだったエーレがこっちに来た。
「エーレ?」
すると、エーレは俺の手を握ってきた。
「私も……私も、レイの事が好きです!」
「なっ!?」
「えええええ!」
「う、嘘!?」
「また告白!?」
「エーレさんまで!?」
な、何がどうなってんだ!?
俺は少しパニックになっていた。
「あら、エーレもなのね」
「はい!私もレイが好きです!」
そう言って、エーレは腕に抱きついてくる。
ちょっ!
「あら、それじゃあ私も」
反対側の腕にはミカが抱きついてきた。
助けて!
俺は内心そう叫んでいた。
「私も」
すると、アリアが口を開いた。
「アリア?」
「私も、レイ君が好きです!」
そう言って、俺に抱きついてくる。
「えええええ!」
「アリアまで!?」
「え、何が起こってるの!?」
それは俺が聞きたい!
「あら、アリアまでレイの事が好きだなんて」
「アリアもなんですか」
「私、ミカさんとエーレさんには負けませんから!」
そうアリアは宣言する。
「あら、私も負けないわよ」
「私も負けません!」
そう2人も宣言する。
「何か、レイのやつモテてるな」
「私も行った方がいいのかな?」
「いや、それは違うと思うよ」
3人とも、そんな事言ってないで助けてくれ!
俺はそう思いつつ、どうしたもんかと頭を悩ませたのだった。
それからはとても大変だった。
エーレとミカは国に帰ってから、どうやら両親を説得したようで、アセンカ学院に正式に転入して来た。
それからは毎日3人からのアプローチを受け続け、俺はすごく困った。
そんな日々を過ごしていき、気がつくとアセンカ学院の卒業式を迎えた。
「卒業、おめでとう」
「ありがとうございます」
「これからも大変だと思うが、頑張って欲しい」
「はい!」
俺は生徒代表として卒業証書を受け取った。そして卒業式は滞りなく進み、無事終了した。
「あー、これで学院生活も終わりだな」
「そうだね」
「何かあっという間だったね」
「そうですね」
「確かにね」
「分かります」
俺達は学院の門まで歩いていた。
「みんなこの国の兵士の道を選んだんだな」
「まあな」
「他にやりたい事もなかったしね」
「僕もだよ」
「私はまた賊が来た時、今度は国を守れるように力をつけるためですね」
「そっか」
トーレス、ミリーナ、シュウの3人も、口には出さないがあの時の事があったから兵士になる道を選んだんだろうな。
俺はそう思うと、何となく嬉しくなった。俺は国王となる。この先色々と大変な事があるだろう。それでも、みんながいれば心強かった。
「そんじゃ、今後もよろしくな!」
「おう!」
「もちろんだよ!」
「うん!」
「こちらこそ!
「ええ」
「はい!」
そうして、俺達は学院から出た。
その後は色々な事があった。
俺が国王に就任してから、引き継ぎだ何だと忙しかった。
そして落ち着いてきたと思ったら、エーレやミカやアリアからのアプローチが再開した。
俺はその時、3人に好きな人がいると話した。そして、その人がもういない事を。
すると、3人はそれでも諦めないと言ってきた。これには俺もどうする事も出来なかった。
そのまま月日は流れ、俺は結局最後まで結婚しないままだった。3人も最後まで未婚のままだった。少し悪い事をしたかと思ったが、やはりそれでも中途半端な気持ちで結婚するのはよくないと思って、結婚しなかった。トーレス、ミリーナ、シュウの3人は結婚して、それぞれ子供もいた。
そうして俺は歳をとり遂に寿命を迎えた。今、自宅のベッドの上で横になっている。
「レイ君」
「アリア」
みんなはまだ元気で、俺が一番最初に寿命を迎えた。
「今まで、無理を言ってすみませんでした」
「いいんだよ、俺の方こそごめんな」
「いえ、そんな」
そう言って、アリアは泣きそうになる。
「レイ」
「トーレス」
「今まで、楽しかった。ありがとな」
「ああ、俺もだ。ありがとう」
トーレスも目に涙が浮かんでいた。
「レイ、今までありがとね」
「ああ。俺の方こそ、ありがとな」
ミリーナはもう泣いていた。
「レイ、本当に楽しかったよ」
「俺もだ」
シュウはそう言うと、俯いてしまった。
「レイ、結婚できなかったのは残念だけど、今までありがとう」
「それについては悪かったよ、ごめんな。それと、ありがとう」
「ええ」
ミカは涙を見せたくないのか、背中を向けてしまった。
「レイ、仕事では世話になったね。ありがとう」
「ああ、俺の方も世話になったな。こちらこそ、ありがとう」
ターレには本当に世話になった。色々教えてもらったからな。
「レイ、お前には色々助けてもらった。礼を言うぞ」
「俺の方こそ、ありがとな」
テレスは俺にそう言ってきた。本当に律儀なやつだった。
「レイ」
「エーレ」
そして、最後にエーレが話しかけてきた。
「私、無茶ばかり言って、ごめんなさい」
「何言ってんだよ、お互い様だろ」
「いえ、そんな事ないです。レイは、いつも私の無茶に付き合ってくれて」
「俺がそうしたかったんだから、いいんだよ」
「……本当に、レイは優しいですね」
「普通だよ、普通」
俺はそう返すと、エーレは少し笑った。
「レイは全然変わりませんね」
「それが俺だからな」
「ふふっ、そうですね」
「ああ」
そうして少しの間を置き、エーレは口を開く。
「私、結局レイには勝てませんでしたね」
「そうだな」
「また、勝負したかったです」
「ああ、俺もだ」
俺は学生時代、3度クラス対抗戦に出た。どれもトーレス達と出た。そしてエーレやミカを倒して、3度優勝した。そして国際試合では、エーレやミカは自分の国の選手として出場した。そして俺と計3回戦い、3回俺が優勝した。
「本当に、レイは強すぎですよ」
「でも、エーレも強かったぜ。最初と最後は負けかけたからな」
「レイにそう言ってもらえると、何だか嬉しいですね」
「そっか……なあ、エーレ」
「はい?」
「また、勝負しような」
俺がそう言うと、エーレは一瞬驚いた顔をするも、すぐに笑顔になって。
「はい!」
そう返事をしてくれたのだった。
それから1週間後、俺は死んだのだった。




