47話
「痛え……」
俺は銃に撃たれ、その場に倒れた。
銃撃は終わっており、もう銃で乱射する音は聞こえない。
顔を上げて周りを見てみると、こちら側の兵士の殆どが倒れている。さっきの銃撃でやられたようだ。
「トーレスとアリアは!?」
俺はそう思い、トーレスとアリアが倒れた方を見る。すると、2人は倒れていた。
「トーレス!アリア!」
俺は2人に駆け寄った。
「おい、しっかりしろ!」
俺は2人に呼びかける。
「うっ……」
「レイ……君……」
「トーレス!アリア!」
よかった、2人とも意識はあるようだ。
「くそっ、痛え」
「すみません、立てそうにありません」
「無理するな」
どうやら2人は何発も食らったようで、ダメージが大きいようだ。
「何とか後方まで運ぶからな」
俺はそう言って、2人を運ぼうとした。
「おい、あれ!」
トーレスが叫ぶので、後ろを振り返る。
「何!?」
賊のやつらがこっちに向かってきていた。
「くそ!早く運ばないと!」
俺はそう思って、2人を担ごうとする。
「馬鹿か!俺達を担いでたら追いつかれるだろ!」
「そうです!私達の事はいいですから、レイ君だけでも逃げてください!」
「何言ってんだよ!そんな事出来るか!逃げる時はみんな一緒なんだろ!」
「でも!」
「でもじゃねえ!俺は絶対に1人で逃げるなんて事しねえからな!」
俺がそう言った時だった。
「レイ!」
「トーレス!アリア!」
すると、後ろから声が聞こえてきたので振り返ると、ミリーナとシュウがこっちに来ていた。
「ミリーナ!シュウ!」
「どうしてここに!?」
「3人が心配で来たんだよ!」
「大丈夫なの!?」
「ああ、俺は大丈夫だ。ミリーナ、シュウ、悪いが2人を運んでくれないか?」
「分かった!」
「レイはどうするの?」
「俺はあいつらの足止めをする」
そう言って、刀を持って立ち上がる。
「え!?」
「無茶だよ!」
「あんなにいっぱいいるんだぞ!」
「無茶でも何でも、誰かがやらないと追いつかれる。逃げるためには時間稼ぎが必要だ」
「だからって1人では無理ですよ!」
「無理でもやるしかないんだよ!ミリーナ、シュウ、2人を頼んだぞ!」
俺はそう言って走り出した。後ろでみんなが俺を呼んでいるが、それを無視して走りだした。
「うおおおおお!」
「何だ?」
「ガキが1人で来たぞ!」
「返り討ちにしてやる!」
俺が突っ込んでいくと、賊は5人で俺に向かって来た。
「ガキがこんな所にいるんじゃねえよ!」
そう言って、5人のうちの1人が俺に剣を振るってきた。
「ふっ!」
俺はそれを避けて、すれ違いざまに刀で斬りつける。
「ぐああ!」
そうして倒れた。
「てめえ!」
「よくも!」
今度は2人がかりで向かって来た。1人は槍で突きを放ち、もう1人は籠手で殴りかかってきた。
「はっ!」
俺は上に飛び、刀の切先を下に向けて落下する。
「心証流秘剣ー雫」
「がはっ!」
槍を持った方を倒す。
「この野郎!」
もう1人が後ろから籠手で殴ってくる。
俺はそれを避け、刀で斬る。
「ぐああ!」
そのまま俺は残りの2人に向かって行く。
「舐めんなよ!」
そう言って、1人が俺に向かって剣を振るってくる。
俺はその剣をギリギリまで引きつける。そしてあと30センチ程で届くという時に、俺は一気に加速した。
「心証流秘剣ー颯」
「ぐはっ!」
俺はそのまま一気に駆け抜けて、最後の1人も刀で斬る。
「かはっ!」
これで最初に向かって来た5人は倒した。
「何だあいつ!?」
「結構やるぞ!」
「お前ら、全員でかかれ!」
その掛け声で、一斉にこちらに向かって来る。
数が多いな……
見える範囲でも、ざっと数十人はいる。
流石にこの数を相手にするのは厳しいな……
俺はそう思いつつも、やるしかないので刀を構える。
さて、やりますか。
俺はそう思って走り出した。
「おらっ!」
賊が俺に向かって槍での突きを放ってくる。
「ふっ!」
俺はそれを避けつつ、水平斬りを放つ。
「うおっと!」
しかし、それは避けられた。
「はああ!」
すると、後ろから剣での攻撃が来た。
「くっ!」
俺はそれを避けつつ、何とか体勢を立て直して攻撃をしようとした。
「そうは行かねえ!」
しかし、賊が俺に向かって銃を撃ってきた。
「ぐあ!」
俺はそれを避けられずに食らってしまう。
「食らえ!」
一瞬動きを止めた俺に対して、賊は一気に攻撃を仕掛けてくる。
くそっ!避けられねえ!
俺がそう思った時だった。
バン!
「ぐああ!」
俺に攻撃を仕掛けてきた賊が倒れた。
何だ!?
俺がそう思って周りを見てみると、シュウが銃を構えていた。
「うおお!」
「はああ!」
その近くではトーレスとアリアとミリーナが戦っていた。
「おい、何やってんだよ!」
「レイ君1人に戦わせて、私達だけ逃げるなんて出来ません!」
俺が叫ぶと、アリアが少し怒ったような声で俺に言ってきた。
くそっ!逃げろって言ったのに!このままじゃあ!
「よそ見してんじゃねえ!」
「くっ!」
俺がそう思っている間に、賊が攻撃を再開してきた。
こうも数が多いと、トーレス達の所に行けねえ!何とかしないと!
俺が何とかしようと考えている時だった。
「うあああ!」
「きゃああ!」
「ああああ!」
「トーレス!アリア!ミリーナ!」
トーレスとアリアとミリーナが遂に賊にやられた。
くそっ!早く助けに行かないと!
俺は全力で刀を振るい賊を倒すが、全然数が減らない。
「うわあああ!」
「シュウ!」
今度はシュウが賊に囲まれていた。
何とかしないと!
俺がそう思った時だった。
「そら!」
「何!?」
俺は足払いを受け、その場で転ぶ。
「おらっ!」
「ぐふっ!」
俺は腹を蹴られて蹲る。
「よくもやってくれたな!」
その間にも、何人にも蹴られる。
少し目を開けると、トーレス達の方にも賊が集まっていくのが見えた。
このままだとトーレス達もやられてしまう。
くそっ!俺はまた何もできないのか!
俺は蹴られながら、無力感に苛まれていた。
またなのか!また俺は何も出来ないのかよ!
このままだと、トーレス達も痛めつけられてしまう。もしそうなったら、最悪死ぬだろう。
いや、こいつらの性格なら殺すかもしれない。そんな事になったら……
俺は死んでも現実に戻るだけだ。だけど、トーレス達はこの世界の住人だ。死んだらそれで終わる。
俺だけなら、死ぬのが俺だけなら、よかったのに……
俺は少しずつ意識が遠のいていく。
このまま、また何も出来ずに死ぬのかよ……何のために、今まで修行してきたんだよ……
「げほっ」
口から血を吐いた。口の中が切れているのだろう。
俺があの時、王国を守るなんて言わなければよかったのか?あの時逃げていれば、トーレス達は助かったのか?
またあの女の子や、理亜と同じような事になるのか……
意識が遠のいていく中、そんな事ばかり思っていた。
俺が間違ってたのかな……
そうして、意識を失った。




