表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/277

45話

夏休み初日。俺は家の横の空き地で修行をしていた。

みんなと話し合った結果、1週間後にミカのいるエード王国に行き、3週間後にエーレのいるテトラ王国に行くことにした。

学院の夏休みは7月25日から8月31日までだ。今回のスケジュールだと、学院が始まるぎりぎりまで旅行する事になる。

まだ1ヶ月しか経っていないのに、懐かしく感じるよな。

国際試合が終わって、エーレ達が帰ってから1ヶ月程しか経っていない。それなのに、その時の事を思い出すと懐かしく感じる。

不思議なもんだな。

俺はそう思いながら、刀を振り続けた。


俺は修行を終えて、シャワーを浴びて服を着替えた。

時間は正午だ。学校がないと暇だな。

「さて、何をするか」

そう思って何をするか考えようとした時だった。

「ん?」

何か遠くで大きな音がした気がした。

「気のせいか?」

そう思い、俺は椅子に座った。

「……いや、気のせいじゃないな」

今度は悲鳴が聞こえた。

「何かが起こったのか?」

俺は椅子から立ち上がり、外に出た。外の風景は何も変わっていない。特に何かが起きたようには見えない。

「音のした方に行った方がよさそうだな」

俺は音のした方向に向かって走った。


俺は今街に出たのだが、みんな逃げようとしているようだ。

「何があったんだ!?」

俺はそう思い、近くを通った男の人に聞いてみた。

「すみません、何があったんですか?」

「あんた、聞いてないのかい?」

「何をですか?」

「賊が出たんだよ!」

「え!?」

賊だって!?

「今、この王国に賊のやつらが押し寄せて来てるんだよ!さっき見たってやつがいたんだ!」

マジかよ……

「あんたも早く逃げた方がいいぜ!」

「逃げるって、どこに?」

「分からねえ!けれど、賊は南から攻めてきてるって話だ!だから北に行けば何とかなるはずだ!」

賊は南から来ているのか……

「分かりました。ありがとうございます」

「ああ!じゃあな!」

そう言って、男の人は行ってしまった。

「賊が来てる……」

詳しい事は分からないが、何かが起こってるのは間違いないな。

「国王陛下の所に行ってみるか」

俺は詳しい事情を聞くために、国王陛下がいるであろう城に向かって走り出した。


俺が城に向かって走っている時だった。

「あ、レイ君!」

「アリア!」

俺はアリア達と会った。

「どうしてこんな所にいるんだ!?」

「僕達、賊が来ているって聞いたんだよ。それで学院に向かってて」

「そうしたらみんな集まったってわけか」

確かに周りを見ると、学院の生徒っぽい人が学院に向かって走っている。

「レイ君も学院へ行くんですか?」

「いや、俺は城へ行く」

「え、何で?」

「詳しい事情を国王陛下から聞くためだよ」

「それなら、俺達も行っていいか?」

「分かった。一緒に行こう」

そうして、俺達は城へ向けて走り出した。


「着いた!」

俺達は城の前にやって来た。

「ちょっと待っててくれ」

「分かった」

俺は衛兵の人に中に入れてもらうため、話しかけた。

「すいません」

「ん?ああ、君は確か学院の生徒だったな」

「はい」

「今忙しいんだが、何の用だ?」

「今、賊が来ているという情報が街で流れているんですが」

「もう広まっているのか!?」

「はい。それで、国王陛下に詳しい事情をお聞きしたいと思いまして」

「今は国王陛下もお忙しいからな。それは無理だと思うんだが」

「そこを何とかお願い出来ませんか?」

「そう言われてもな……」

俺と衛兵の人がそんなやり取りをしていると、城の方から誰かが来た。

「レイさん!」

「ラルカさん!」

来たのはラルカさんだった。

「レイさんならここに来ると思ってました」

「それでここまで来てくれたんですね」

「はい。それでは中にご案内します。あなたは引き続き見張りをお願いします」

「分かりました!」

「あの、俺の友達も来ているんですが」

「それならご一緒にご案内します」

「ありがとうございます。少し待っててください」

俺はそう言って、トーレス達の所に戻る。

「中に入れてくれるぞ」

「本当か!」

「ああ」

「それじゃあ行こう!」

そうして俺達は、ラルカさんに城の中へ案内してもらった。

「うわあ!」

「すごいな!」

「これがお城の中なんですね!」

「豪華だね!」

みんなは城の中を見て、とても驚いていた。

「こちらでございます」

そう言って俺達が案内されたのは、俺が前に国王陛下と会った部屋だった。

「こちらでお待ちください」

ラルカさんはそのまま国王陛下を呼びに行った。

そして俺達は座って待っていた。

「お待たせしました」

少ししてラルカさんが戻って来た。

「レイ君、久しぶりだね」

国王陛下はそう言って入って来た。

「お久しぶりです、国王陛下」

「そっちのみんなは、ちゃんと挨拶するのは初めてだね」

「は、はい!俺はトーレス・マーラルです!」

「わ、私はミリーナ・ケリーです!」

「僕はシュウ・ライザンです!」

「私はアリア・テレサと申します!」

みんなが自己紹介をした。

「うん、よろしくね」

そう言って、国王陛下はソファーに座った。

「それで国王陛下、今何が起こってるんですか?」

「実はね、賊がこの国に攻めてきているんだ」

「じゃあ、今街で流れてる噂は本当なんですね」

「街ではもう噂になっているのかい?」

「はい、実際に見た人がいるらしいです」

「そうか」

「それで、賊が何でこの国を攻めて来るんですか?」

俺が一番気になっている事を聞いてみた。

「そうだね、君達には話しておこう」

そう言って、国王陛下は話し始めた。

「3年程前かな。今の5つの王国の在り方について不満を抱くものが出てきたんだ」

「不満ですか?」

「うん。その不満とは、5つの国が戦争はしないという条約を結んでいる事なんだ」

「ですが、それはいい事なのでは?」

「だよな」

「確か戦争はしない代わりに、国際試合をするようになったんですよね」

「その通りだよ。毎年行われている国際試合は、戦争の代わりなんだ。だけどそうじゃなく、本当に戦争して、どの国が上か決めたいって人が出てきてね」

成る程。平和になれば、逆に戦争をしたいって人も出てくる事があるからな。どの世界でもそういった事はあるんだな。

「それで、今回はそんな人達が賊として謀反を起こしたんだ」

「そんな……」

「どのくらいの規模なんですか?」

「人数は2万人いるみたいだ」

「2万人!?」

「そんなに!?」

「うん。それでこちらの戦力は8000人程なんだよ」

「え、それってやばくないですか?」

「そうなんだ。それで困っていてね。何とか今、国民を避難させているんだ」

「国の防衛は?」

「……ほぼ不可能だろうね」

「そんな……」

「それじゃあ、この国はどうなるんですか?」

「もう、放棄するしかないと思ってる」

「マジかよ……」

みんないきなり国を諦めるって言われて、呆然としている。

「あの」

「何だい?」

「今、防衛に徹してる人は8000人いるんですか?」

「うん」

「その人達はどうなるんですか?その数を相手にして、何とかなるんですか?」

「……心苦しいけど、運がよければ生きて避難できるかもしれない。けど、恐らく……」

「それって、見捨てるって事ですか?」

「……そうなるね」

本当に悔しそうに、国王陛下はそう答えた。

くそっ、どうにかならないのかよ……そうだ!

「国王陛下、他国からの支援は?」

「それは無理だ」

「どうして!?」

「他国も襲撃を受けているんだ」

「え!?」

「さっきそう報告があったんだよ。だから、他国にも頼れない。それどころか、他国の王も国を諦めているんじゃないかな」

「そんな……」

嘘だろ……何でそんな事に……

「まさか、ここまで人数と戦力を揃えてくるなんて思ってなかった。本当に、僕は何をやってたんだろう……」

国王陛下はもう諦めているようだ。見れば、みんなにも絶望感が漂っている。

……こんな事で、諦めてたまるか!俺は、何のために力をつけたんだ?こういう時のためだろ!

「国王陛下、俺も戦います」

「え?」

「レイ!?」

「何言ってんだよ!?」

「俺は戦う。この国を守るんだ」

「何言ってんの!?」

「無理ですよ!?」

「無理じゃねえ!こういう時のために、俺は力をつけたんだ!絶対にこの国を守る!」

「レイさん、それは無茶です!レイさん1人が戦力として加わってどうにかなる問題ではありません!」

「そんな事、分からないじゃないですか!俺は行きますよ!」

「レイ君……」

「国王陛下、俺は行きます」

俺はそう国王陛下に宣言する。

「……分かった」

「国王陛下!?」

「ここはレイ君に任せよう」

「ありがとうございます」

「でもレイ君、これだけは守って欲しい」

「何ですか?」

「無理だと思ったら、絶対に逃げるんだ。君はまだ若い。死ぬのだけは駄目だ」

「……分かりました」

「うん」

「それじゃあ行ってきます」

そうして、俺はドアを開けて走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ