37話
「出来たぞー」
俺は机の上に料理を並べる。
「すげー!」
「美味しそう!」
「本当だ!」
「これはすごいですね」
「確かに美味しそうね」
俺とアリアが作ったのは、ハンバーグとオムライス、そしてサラダだった。
「これ、何て料理なの?」
「ああ、これはハンバーグって言うんだ」
「こっちは?」
「それはオムライスだ」
この世界にはハンバーグもオムライスもないからな。みんなが知らないのは当たり前だ。
「知らない料理ですね」
「私も知らないわ」
「俺もだ」
「僕も」
「アリアは知ってたの?」
「私も知らなかったんですけど、レイ君に教わって作りました」
「じゃあこれって、レイのオリジナル?」
「まあそんな感じだ」
勝手にオリジナルにしてすみません。
「すごいね」
「まあ口に合うか分からんけどな」
「早く食べようよ」
「そうだな」
俺達は座って食べ始める。
「美味い!」
「何これ!」
「美味しい!」
「いつも食べてる料理より美味しいです!」
「本当に美味しいわね」
「私も味見した時、すごく美味しくて驚きました」
まあ俺は以前シェフをしていた事があるからな。一応不味いって事はないと思ってたが、どうやら好評のようだ。
「こっちのハンバーグも美味え!」
「本当だ!」
「このサラダも美味しい!」
「レイ、私の家でシェフになる気はない?」
「ミカ、それは駄目ですよ!」
「そうですよ!」
「あはは……」
何か変な事になったな。
そんな事もあったが、その後食事を終えると少ししてみんな帰る事になった。
「今日はありがとうございました」
「美味かったぜ!」
「うんうん!」
「ごちそうさまでした」
「トランプも面白かったわ」
「ああ、そう言ってもらえてよかったよ」
みんな楽しんでくれてよかった。
「レイ」
「ん?」
エーレが俺を呼ぶ。
「私、明日勝つわ。そして、あなたと戦う」
「ああ。楽しみだ」
「私も楽しみです」
「頑張れよ」
「はい!」
「そんじゃ、明日な」
「はい、また明日」
そうして、みんな帰っていった。
「はあ。久しぶりにあんなに大量の料理を作ったな」
本当に久しぶりだったな。でもみんな喜んでいたからよかった。
「……明日は休みで、明後日にエーレと試合か」
俺は明日休める。
「正直なところ、今日のターレとの試合でのダメージはでかい」
みんなには大丈夫だって言ったが、本当は結構辛い。明日でどれだけ回復できるか、それが重要になってくる。
「本当に、みんな強いから困るな」
正直、俺はこれまで剣技を使えばどうにかなると思っていた。でも、それは違った。
「剣技さえ使えば、そう思っていたんだよな。でも、その考えは駄目だったんだよな」
師匠にも言われていた、心証流の剣技を扱うには、まず体を鍛えて基礎をしっかりしないといけないって。
「俺はそれを忘れていた……いや、違うな」
忘れていたんじゃない、この世界に対してちゃんと向き合ってなかったんだな。
この世界はVRの中だ。この世界でどれだけ鍛えようと、現実の俺の体には影響がない。それなら剣技を極めようって、心のどこかで思ってたのかもな。
「でもエーレと戦って、それはこの世界に対して失礼だって思った」
例え、俺の目的があの女の子を助ける事だとしても、だからってこの世界での事がどうでもいいってのは違うよな。
「俺もこの世界で生きてるんだ。半端な事はもうしない」
そう改めて決意した。
次の日、俺達は闘技場で集まった。
「今日はミカとテレスさんの試合からですね」
「そうだな」
「テレスの攻撃は受けたら終わりなのよね」
「そうか?」
「そうよ。あなたがおかしいの」
「そんな事ねーって。なあ、エーレ」
「いえ、私もテレスの攻撃は剣で受けませんよ。流石に勢いを殺しきれませんし、手が痺れますから」
「ほらね」
マジかよ。
「だから私も攻撃を躱しつつ、隙が出来たら一撃で決めるわ」
「そっか」
「それがいいと思います」
「ねえミカ、そろそろ時間じゃない?」
ミリーナが時計を指差して言う。見ると、確かにもうそろそろ入場した方がいいだろう。
「じゃあ行ってくるわね」
「頑張れよ!」
「頑張ってね!」
「応援してるよ」
「頑張ってください!」
「頑張ってね」
「しっかりな」
「ええ」
そうして、ミカは入口に向かった。
その後はミカの試合が始まるまで、みんなで雑談をして待っていた。
「そろそろだな」
「そうですね」
「お、入場して来たぞ」
ミカとテレスが入場した。
「どっちが勝つかな?」
「一撃を当てる事が出来たらテレスの勝ちだな」
「ですが、それが出来なければミカが勝ちますね」
まあそうだな。果たしてどっちが勝つか。
ミカとテレスは挨拶を交わした。
「よろしくね」
「ああ」
そうして握手をする。
「それでは、時間になりましたので始めたいと思います」
審判にそう言われ、2人は位置に着き武器を出して構える。
「両者、準備はいいですか?」
「ああ」
「ええ」
「それでは、始め!」
そうして始まった瞬間、テレスは一気に駆け出す。
「はああ!」
そして一気に左拳を出してきた。それをミカは避ける。
「まだだ!」
しかしテレスはそれを読んでいて、ミカを追いかけて右拳によるストレートを放つ。
「くっ!」
それを何とか避け、ミカはテレスと距離を取ろうとする。
「させるか!」
だが、テレスは離されないようにミカを追いかける。ミカもテレスを振り切ろうと、懸命に逃げる。
「はああ!」
しかし、テレスが一気に加速してパンチを放ってきた。
「はっ!」
ミカはそのパンチを薙刀で受けた。その際に自分から後ろに飛ぶ事で、威力を軽減した。
「ぐうう!」
しかし、あまりの威力に大きく飛ばされてしまう。しかし何とか持ち堪え、テレスとの距離が開いた。
「うおお!」
しかしテレスは距離を縮めようと走って来る。
「はあ!」
そして左拳でのパンチを繰り出した。
「伍の型」
「何!?」
しかし、ミカはパンチが当たるという時に回転して避けつつ、片手で持った薙刀で突きを繰り出す。
「ぐはっ!」
そのままテレスは膝をついた。だがまだ倒れていない。
「弐の型」
そのままミカは追撃を仕掛けた。
「ぐああ!」
今後こそテレスは倒れた。
「試合終了!勝者、ミカ・エード!」
試合が終わった。結果はミカの勝ちだ。
「ミカが勝ちましたね」
「そうだな」
やっぱりミカの武術はすごいな。最後のやつは俺との試合では使っていなかったよな。まだあったんだな。
「あ、ミカが来たよ」
そんな事を考えているとミカがやって来た。
「はあ、これで私の試合は全部終わったわ」
「お疲れー」
「お疲れー」
「お疲れ様でした」
「勝ってよかったね」
「ミカ、お疲れ様」
「お疲れ」
「ありがとう」
そう言ってミカは俺の所に来る。
「どうしたんだ?」
「隣、いいかしら?」
「いや、隣にはエーレが座ってるんだけど」
「でもエーレは今から試合でしょ。いいじゃない」
どういう事だよ……
「ええ、いいですよ」
エーレもいいのかよ。まあ今から試合なのは事実だしな。
そしてエーレが立ち上がる。
「では、いってきますね」
「ああ」
「頑張れよ」
「頑張ってー」
「頑張ってくださいね」
「応援してるよ」
「頑張ってね」
「はい!」
そしてエーレは入口に向かった。
さて、しっかりとエーレの試合を見ておかないとな。




