32話
次の日。今日も俺は試合がある。エーレも試合がある。トーレス達も来ていて、一緒に学院にある第1闘技場にいた。
「レイ君、今日の試合はあのミカ王女が相手ですけど、大丈夫ですか?」
「うーん、まあ頑張ってみるよ」
「昨日のテレス王子との試合はすごかったもんね!」
「そうだよな、どんな修行してきたんだ?」
「まあ主に筋トレだよ」
「え、それだけ?」
「それだけ」
みんな信じられないって顔してるな。筋トレは大事なんだぞ。
「でも、レイはいつも修行してたんじゃなかったか?」
「してたな」
「筋トレはしてなかったのか?」
「剣技に重きを置いて修行してたからな。まあ普通に戦う分にはよかったんだけど、格上を相手にするのには足りなかったんだ」
「そうなんだね」
「それでテレスのパンチにも負けなかったんですね」
「まあな。それでもテレス王子のパンチは強力だったけどな」
「普通はテレスのパンチを受ける事自体しないんですけどね」
「そうなのか?」
「ええ。私もテレスの攻撃を受ける事はしませんから」
「マジか」
まあ確かにやばかったけどな。俺の円を受けても押し返してきたし。
「あ、そろそろ試合が始まる時間ですよ」
時計を見ると、午前9時50分だった。
「私はそろそろ行きますね」
「がんばってね!」
「応援してます!」
「頑張れよ」
「頑張って」
「はい。レイ、行ってきます」
「ああ、勝てよ」
「はい!」
そう言うと、嬉しそうに返事して入口に向かった。
「あんな事言ってよかったの?」
「何で?」
「だって、エーレの対戦相手はテレス王子でしょ?レイはテレス王子に勝ってるんだから、エーレが負けたら有利になるんじゃない?」
「そんなの関係ないさ。それに、俺を負かした相手が俺以外に負けるところは見たくないからな」
「そんな事言っていいの?」
「何で?」
「そんな事言ってまた負けたらかっこ悪いよ」
「そんな事言わなくても」
「いいんだよ、アリア。まあミリーナの言う事も分かる。でも、そうならないように頑張るさ」
「それならいいけど」
「あの、よろしいでしょうか?」
「はい?」
俺は振り返ると、そこにはミカ王女がいた。
「難波レイさんですよね?」
「はい、そうです」
「私、ミカ・エードと申します。対戦前のご挨拶に伺いました」
「これはどうも」
「それで少しお話がしたいのですが、よろしいですか?」
話って何だろう。でももう試合も始まるからな。
「もう試合が始まるんで、終わってからじゃ駄目ですか?」
「そうですね。急ぐ話ではないので、試合後にまた伺います」
「分かりました」
「それでは」
そう言って、行ってしまった。
「話って何でしょう?」
「まあ急ぎじゃないみたいだし、後で分かるだろ」
「そうですね」
そんな事を言っていると、会場が騒がしくなった。
「あ、エーレが出てきたぞ!」
「本当だ!」
「もう始まるね」
「楽しみですね」
「ああ」
さて、どんな試合になるのかな。
「エーレ、お前が言ってた通り、難波レイは強かったぞ」
「そうでしょう」
「それと、これは俺の勘なんだがな」
「何ですか?」
「難波レイはまだ本気出してないぜ」
「え?」
「確かに俺と戦ってる時は全力だった。でも、あいつからはまだ余裕を感じたんだ」
「そんな事あるんですか?」
「分からん。まあ勘だからな、気にしないでくれ」
「……はい」
レイがまだ本気を出してない……そんな事が?
「それでは、時間になりましたので試合を始めます」
審判にそう言われたので、私は切り替えて試合に集中する事にした。
「よろしくな」
そう言って手を出してくるので、握手をする。
「こちらこそ」
そうしてお互い位置に着いて武器を出し、構える。
「両者、準備はいいですか?」
「はい」
「ああ」
「それでは、始め!」
その瞬間、私は駆け出した。
「はああ!」
そして剣を振りかざす。
「ふっ!」
しかし、それはテレスの籠手で弾かれた。そしてテレスは右腕でパンチを放ってきた。それを横に飛んで避け、すかさず攻撃する。
「はっ!」
「くっ!」
それでもテレスは左手の籠手で防御する。でも体勢は崩れている。ここで一気に攻める。
「はああああ!」
そのまま剣での連撃を繰り出す。
「ぐう!」
すると、テレスは体勢を立て直す事が出来ず、防御もままならなかった。
さらに攻める!
そのままエーレの連撃に、遂にテレスは耐えられずに隙を見せる。
ここ!
「はああ!」
剣を素早く振るって攻撃する。
「ぐあああ!」
そのままテレスは倒れてしまった。
「試合終了!勝者、エーレ・テトラ!」
わあああああ!
観客が湧く中、エーレはある一点を見つめた。
勝ちましたよ、レイ。
その目は、真っ直ぐにレイを見つめていた。
「エーレ、こっちを見てるね」
「ああ」
エーレは真っ直ぐにこちらを見ていた。恐らく、勝ったぞとか、次はお前だとか思ってるんだろう。
「次はレイの試合だね」
「そうだな。相手はさっきのミカ王女か」
さっき見た感じだと、そんなに強そうな感じはしなかった。
でも、感じた。
確かに見た目は強そうには見えない。普通の女の子だ。でもオーラっていうか、そういったものを感じた。
間違いなく今回も厳しい試合になるだろう。
俺はそんな予感がした。
「あ、お疲れ!」
「エーレ、お疲れ様でした!」
「すげー試合だったな!」
「本当にすごかったよ!」
「ありがとうございます!」
見るとエーレが帰って来た。
「レイ」
「ん?」
「私は勝ちましたよ」
「ああ」
「次はレイの番ですね」
「そうだな」
「ミカは強いですけど、勝ってくださいね」
「もちろんだ。じゃあ行ってくる」
俺はそう言って立ち上がる。
「おう!」
「頑張ってね!」
「応援してます!」
「いってらっしゃい!」
俺はエーレの前に立つ。
「勝ってくるわ」
「はい!」
それだけ言って、俺は歩き出した。
俺は通路を歩いて入口まで来た。
「さて、勝つって宣言しちまったしな」
頑張りますか。まあ元々負けるつもりはないけど。
そうして俺は入場する。
既にミカ王女は入場していた。
「難波レイさん、よろしくお願いしますね」
「はい、お願いします」
「それと、先程のお話なのですが」
「試合後にお願いした話の事ですか?」
「はい、そうです。それで、どちらかが倒されてしまうので、試合の後どこかで落ち合いませんか?」
「ああ、そうですね。それなら勝った方はこの闘技場の観客席で待ってるって事でどうですか?」
「では、それでお願いします」
「分かりました」
そうして約束をしたところで時間となった。
「それでは、時間になりましたので試合を始めたいと思います」
「よろしくお願いしますね」
「はい」
そう言って握手をする。そしてお互い位置に着いた。
「はっ!」
「リベレイト!」
そして武器を出す。
「両者、準備はいいですか?」
「はい」
「はい!」
「それでは、始め!」
そうして、俺とミカ王女の試合は始まった。




