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30話

時間は午前9時50分。あと10分で試合が始まる時間だ。

「急がないとな」

俺は今ミリアス王国に到着したところだ。ここから走れば何とか間に合うだろう。

「俺が出る試合でなくても、これから戦う相手の試合なら見ておきたいからな」

そうして、俺は走った。


「レイのやつ、何やってんだよ!」

「もう試合が始まっちゃうよ!」

時間は午前9時55分。レイの試合まであと5分だった。

「確認したところ、時間になっても来なかったら負けになるそうです」

「そんな!」

「大丈夫ですよ」

「エーレ?」

「レイは必ず来ます」

「そうですよね」

「まあ何だかんだでレイは間に合うだろうな」

「今までもそうだったもんね」

「そうだね。私達がピンチの時も絶対来てくれたもんね」

「信じて待ちましょう」

そうして、みんなはレイを待っていた。


一方、ターレ・エトワールとミカ・エードの二人は特別席で座っていた。

「来ないね」

「そうね」

「このままテレスの不戦勝かな」

「そうかもね」

「エーレがあれだけ言うから、どんなやつか見てみたかったんだけどな」

「エーレに何も出来ずに負けたんでしょ。そこまで気にする程ではないと思うけど」

「まあそうだね」

そのまま2人は雑談を始めた。


「うお、あと3分じゃん!」

俺は時計を確認し、あと3分しかない事に焦る。

「よし!」

今学院の門から中へ入った。そして掲示されている対戦表を見る。

「うわ、第1試合かよ!」

再び俺は走り出す。第1闘技場はここからすぐだ。

「間に合え!」

俺はそう言いつつ走る。

「もう少しだ」

第1闘技場が見えた。沢山の人がいた。この国際試合は第1闘技場の外に備え付けてあるモニターでも見る事が出来るからだろう。

俺はその沢山の人の間を走り抜ける。

「よし、中に入れた!」

あとはステージに入場するだけだ。


「来ないな」

テレス・サンタナは思っていた。もしこのままレイが来なくて不戦勝になったらどうしようと。

「どんなやつか戦ってみたかったんだが」

そうして時間になった。審判が言う。

「えー、それでは時間になりましたが、難波選手が現れないため……」

「ちょっと待った!」

そこに、入口からレイが走って来る。

「遅れて申し訳ありません。難波レイ、到着しました」

「……難波選手が到着したため、試合を行います」

ふう。何とか間に合ったみたいだ。

「君が難波レイ君か」

そう言って歩いて来たのは、身長は高くて筋肉隆々な人だった。

「はい、そうです。あなたがテレス王子ですか?」

「そうだ。君の話はエーレや君の友達から伺った。何でも、修行に出ていたらしいな」

「はい。エーレに負けて、このままではいけないと思ったので。まあ試合に遅れたら意味がなかったんですけど」

「そうだな。でも君は間に合った、なら何も言わない。その代わり、試合をしようじゃないか」

「はい。よろしくお願いします」

そうして、俺とテレス王子は握手した。そしてテレス王子は戻る。

「はあ!」

そして武器を出した。聞いていた通り、籠手が武器だ。だが、今まで戦ってきた人よりもごつい。

「リベレイト!」

俺も武器を出す。

「透明だと?」

「俺のは特殊なんです」

「そうか」

そんなやり取りをして、お互い構える。

「両者、準備はいいですか?」

「はい」

「ああ」

「それでは、始め!」

その瞬間、テレス王子は走って来た。見かけによらず速い。

「はっ!」

「ふっ!」

そしてパンチを繰り出してくるので、俺は刀で受ける。しかしラルカさんから聞いていた通りすごいパワーで、俺は吹き飛ばされた。だがそれは予想していたので、自分でも飛んでダメージを軽減した。

「ふう」

「成る程。今のでは終わらないか」

「まあ、流石にこれでは終わりませんよ」

ここで終わってたら、何のために修行したのか分からないからな。

「そうか。だが……」

テレス王子は一気に俺との距離を詰めてきた。

「これならどうだ!」

渾身の右ストレートを放ってきた。

「はああ!」

俺はそれを刀で受けようとする。そして刀身に拳が触れた瞬間、俺は拳を刃の上で滑らす事で回避する。

「まだだ!」

そう言って今度は左拳を出してくるので、俺はそれを体を捻って避ける。

「はあ!」

しかし再び右拳を出してきた。俺はそれを刀で往なす。左拳が来る。刀で往なす。右拳が来る。刀で往なす。それを幾度も繰り返す。


「すごいですね」

「ああ」

「テレス・サンタナ様って、すごいんだね」

「このままじゃあ、レイがやられちゃう」

「いえ、レイの方がすごいですよ」

「え?」

「レイはあれだけの連打を全部往なしています。あれはそう出来るものではありません」

「確かに」

「そうだね」

「それに、レイは私と戦った時とは明らかに動きの精度が違います」

「そうですね。あの時はエーレの攻撃を受けるだけでした。でも今はしっかりと防御出来てます」

「それに、何だか余裕もあるような気がします」

「マジか」

5人はレイとテレス・サンタナの試合を真剣に見ていた。


拳を刀で往なす、それをもう何十回繰り返しただろうかという時、少し疲れたのかテレス王子の動きが鈍くなってきた。

「はあ!」

「ぐっ!」

俺はその隙に刀で拳を斬りつける。

「はああ!」

「くう!」

しかしあまり威力がなかったため、殆ど効いていなかった。

このままでは駄目だな。

俺はそう思い、一旦離れる。

「中々やるな」

「そちらの拳も中々ですよ」

「ずっと鍛えていたからな」

「成る程」

何とかスピードにはついて行けるな。だがやはりパワーが桁違いだ。

こうなったらそろそろ使うか。

「そろそろ再開しようか」

「ええ」

そう言うと、テレス王子は再びこちらに向かって来る。俺は今度は迎え撃つ。

「ふっ!」

テレス王子がこちらに左拳でジャブを仕掛けてきた。

「はあ!」

俺はそこに刀で攻撃する。すると、俺の刀は弾かれた。

「うおお!」

そこに右拳によるストレートが来る。

しかし俺の方も弾かれた反動で体を回転させ、そのまま刀で斬りつける。

「心証流秘剣ー円」

ガキイィィィン!

俺の刀とテレス王子の拳がぶつかる。

「はあああ!」

「うおおお!」

ガリガリガリッ!

お互いの武器から火花が散る。

「ああああ!」

「ぐうああ!」

少しずつだが、俺の刀が押され始めた。

嘘だろ!?弾かれた反動を利用して回る事で、遠心力を加えたのが円だ。これは俺の秘剣の中でも高威力の剣技なのに、それを押し返す程の力で拳を繰り出してくるのか!

「うおおお!」

「ああおお!」

このままじゃあまずい。今にも吹っ飛ばされそうだ。

……でも、負けるわけにはいかないんだ!

「はあああああ!」

俺は両腕に力を込め、刀を押す。

いけえええええ!

「あああああ!」

「ぐ……ああ!」

ドンッ!

全力の勝負は俺の方が勝ち、テレス王子を吹っ飛ばした。

「はあ……はあ……」

くそっ。今ので腕が痛い。これ以上の長期戦は無理だな。

「はあ……はあ……はあ……」

だが、テレス王子の方も相当消耗しているようだ。

「はあ……はあ……やるな」

「はあ……あなたもすごいですよ。まさか押し返そうとしてくるなんて」

「いや、さっきのは決めに行った一撃だった。それを弾かれたのは想定外だ」

「俺の方も決めに行ったんですけどね」

「そうか。お互いに消耗が激しい、次の一撃で決めないか?」

「いいですね。嫌いじゃないです」

「なら、行くぞ!」

「はい!」

そう言って、お互いに走り出す。

テレス王子は拳を繰り出すために左拳を引いた。

俺も剣技を繰り出すために刀を逆手に持ち替える。

そして、お互いが間合いに入った。

「はあああああ!」

テレス王子は渾身の一撃を繰り出してくる。今までよりも速い。

俺はその左拳をギリギリまで引きつける。

ここだ!

俺はあと30センチ程で拳が届くというところで、足に力を入れ一気に加速する。

俺は拳をギリギリで避け、テレス王子の横を通り過ぎる。その時に逆手に持った刀で腹を斬りつけた。

「心証流秘剣ー颯」

「があああああ!」

そして、テレス王子は倒れた。

「試合終了!勝者、難波レイ!」

わあああああ!

観客が湧く。俺はその場に座り込んだ。

「何とか勝った……」

そう呟いて、大の字になって寝転ぶ。

あー、疲れた。マジで危なかった。

俺はそう思いつつ、頑張って体を起こして退場するのだった。

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