表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/277

29話

次の日。

「レイ、来るの遅いな」

「そうだね。いつもならもう来てるのに」

「……やっぱり、昨日の事が原因でしょうか」

「そんな事ないですよ。偶々今日は遅いだけだと思います」

「僕もそう思うよ」

それでも、エーレは心配そうな表情だった。

ガラガラ。

「ホームルーム始めるぞ」

そう言って入って来たのは先生だった。

「先生、レイはどうしたんですか?」

「ああ、難波なら今週は休むそうだ」

「え!?」

「何で!?」

「何でって言われても、先生は休むとしか聞いてないからな」

「そんな……」

「レイ……」

「大丈夫ですよ」

「アリア?」

「きっと、何か考えがあるんですよ!レイ君は意味もなく休むような人じゃないですから!」

「……そうだな」

「うん」

「そうだよね」

「……」

そうは言いつつも、みんなレイの事を心配していた。


そんな事がありつつ、結局レイは休みの日も家には帰っていなかった。みんなでレイの家に行ったが、留守だった。

「どこ行ったんだよ」

「どうする?」

「帰るしかないんじゃない?」

「そうですね」

「……あれ、これは?」

エーレが郵便受けに挟まっている紙を取った。そこには『みんなへ』と書かれていた。

「これって、レイが書いたのかな?」

「恐らく」

「見てみようよ」

「分かりました」

エーレが紙を広げる。そこにはこう書いてあった。


『みんなへ

みんなの事だから、心配して家まで来てくれるかもしれないと思って、これを書きました。

俺は今、修行をしに出かけています。だから、心配しなくていいから。

それと、エーレ。俺はもっと強くなって、国際試合で君に勝つ。だから俺の心配するぐらいなら、国際試合に向けて準備しておいてくれよ。もう1回言うぞ。次は俺が勝つ。

難波レイ』


「これ、レイらしいな」

「そうだね」

「心配してたのに、損したね」

「だから言ったじゃないですか。レイ君には何か考えがあるんだって」

「そう言ってる割には、アリアも結構心配してたよね」

「そ、それは」

「……」

エーレは黙ったままだった。

「エーレ?」

「どうしたんだ?」

「……私も、負けていられないと思いまして」

顔を上げたエーレは、憑き物が取れたような表情だった。

「私、レイの事をどこかで甘く見ていたのかもしれません。初めて会った時は、隙がなくてとても強いんだろうと思いました。しかし対戦してみて、正直な事を言うと私より弱いと、そう感じました。だから彼の事を心配もしたし、やり過ぎたかなとも思いました。でも、それは違った」

エーレはそこで一旦言葉を切って目を瞑る。そして数秒してから目を開き、話し始める

「彼は……レイは、私が思ってたよりも強かった。恐らく、レイはこの前対戦した時よりも強くなっているはずです。なら、私もレイに対して本気で向かっていって、勝ちたいと思ったんです」

そう言って、エーレは歩き出す。

「どこ行くの?」

「こうしてはいられません!私も国際試合に向けて準備しないと!」

再び歩き出す。

「俺達も行くか」

「うん」

「そうだね」

「エーレさん、私もお手伝いします!」

そうして、トーレス達もエーレと一緒に歩き出した。


月曜日。今日から国際試合が始まる。

俺は今、ミリアス王国に戻るために準備をしている。

「さて、そろそろ出ないとな」

現在の時刻は午前8時。対戦表は午前9時に発表され、午前10時から1試合目が始まる。学院は今日から1週間、国際試合があるため休みとなっている。

「よし、準備は出来た」

俺は外に出て、門の前にいる人物に話しかける。

「シスター、準備が出来たから行くよ」

「そう」

そう、俺は孤児院に戻って来ていた。数日間シスターにお世話になりながら、俺は修行をしていた。

「また世話になっちゃって、ごめん」

「何言ってんの、そんな事はいいのよ。それより、随分厳しい修行をしていたみたいだけど、体は大丈夫なの?」

「ああ、大丈夫だよ。シスターのおかげで修行に集中出来たから、しっかり休む事も出来た。本当にありがとう」

「それならいいけど。それじゃあ、頑張ってね」

「ああ。いってきます」

「いってらっしゃい」

そうして、俺はミリアス王国へ向けて走り出した。


場所は王立アセンカ学院の門から入ってすぐの所。ここに沢山の人が集まっていた。

「それでは、対戦表を掲示します」

そうして、対戦表が書かれた紙が掲示された。

そこにはこう書かれていた。


月曜日

第1試合 難波レイ対テレス・サンタナ

第2試合 ターレ・エトワール対ミカ・エード


火曜日

第1試合 テレス・サンタナ対エーレ・テトラ

第2試合 ミカ・エード対難波レイ


水曜日

第1試合 エーレ・テトラ対ミカ・エード

第2試合 ターレ・エトワール対難波レイ


木曜日

第1試合 ミカ・エード対テレス・サンタナ

第2試合 エーレ・テトラ対ターレ・エトワール


金曜日

第1試合 テレス・サンタナ対ターレ・エトワール

第2試合 難波レイ対エーレ・テトラ


トーレス達はそれを見ていた。

「レイとエーレが当たるのは最後だね」

「はい。楽しみです」

「てかレイのやつ、遅くねえか?」

「そうですね。レイ君の試合は1番最初なので、もうあと1時間もありませんよ」

「間に合うのかな」

そんな事を言っている時だった。

「あ、エーレじゃないか」

「あら、ターレ。お久しぶりですね」

「ああ、久しぶり」

そこに現れたのは、西の国の王子であるターレ・エトワールだった。金髪で身長は175センチ程、痩せ型の青年だった。

「君達は?」

「ああ、彼らは私の友人です。この学院の生徒なんですよ」

「そうか。僕はターレ・エトワール、よろしく」

そう言われて、トーレス達も自己紹介をした。

「あれ、そこにいるのはエーレとターレじゃない」

「おお、エーレにターレ!久しぶりだな!」

「あら、ミカとテレスじゃない」

「久しぶりだね」

そう言って現れたのはミカ・エードとテレス・サンタナだった。

ミカ・エードの方は長い黒髪を後ろで束ねており、少しつり目で身長は165センチ程の少女だった。テレスの方は茶髪の髪を短く切っており、体は筋肉が盛り上がり、身長も190センチに届こうかという程の大きな青年だった。

「そちらは?」

再びトーレス達が自己紹介する。

「成る程、この学院の生徒ですか」

「中々鍛えられてるな」

そう言って2人はトーレス達を見る。

「ミカにテレスも、あまり凝視するのはどうかと思うよ」

「それもそうね。失礼」

「悪いな」

「いえ、気にしてませんから」

「皆さんはお知り合いなんですか?」

「ええ。私達って王族だから、小さい頃からよく会ってるの」

「そうだったんですか」

アリアがそう言ったところで、ミカが話題を変えた。

「ターレ、今日の試合は全力で倒しに行くから」

「うん、僕も全力でやるよ。じゃないとミカには勝てないからね」

2人は笑顔だが、目は真剣だった。

「何かすごいな」

「そうだね」

「迫力あるね」

「流石王族ですね」

「そう言えば、難波レイってやつはどこだ?俺の相手だから、会っておきたいんだが」

テレス・サンタナがそう言うと、トーレスが答えた。

「レイは1週間程前から修行に行ってて、まだ帰ってきてないんです」

「は?修行?」

「はい」

「もう試合の時間は近いのに、その難波レイって子は何をしてるのよ」

「何で今更修行しに行ったの?その難波レイ君も強いから国際試合の選手として出場したんだよね?」

「それは……」

アリアが説明をする。

「成る程。まあエーレは強いからね」

「私も、エーレには中々勝てないわ」

「何だ、それで逃げ出したのか」

「いえ、レイは絶対来ます」

「でも、もしかしたら本当に逃げたのかもしれないよ。だって、君に負けたんでしょ?」

「そうね。1週間やそこらで実力差を埋めるのは困難だと思うわ」

「それでもレイは来ます」

エーレの目は真剣だった。

「へえ、エーレがそこまで言うなんてね」

「レイは、国際試合で私に勝つって宣言しましたからね」

「へえ」

「すごいね」

「まあ時間になれば分かるだろ」

そう言ってそれぞれ話をしていた。

試合開始まで、あと40分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ