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2話

……うん?ここは?

「気がついたか?」

「!?」

「騒ぐな。騒げば殺すぞ」

よく見るとさっきの男だ。俺はあの時どうなったんだ?

「……なあ、あの時何があったんだ?」

「……お前はあの女を連れてうまく逃げたつもりだったんだろうが、俺達はお前を追いかけた。そして、お前とあの女を捕まえてここに連れて来た」

「そうだ!あの女の子はどうなったんだ!?」

「あの女は別のところだ」

「……そうか」

くそっ!結局あの女の子を助けられなかったのかよ!それどころか俺まで捕まって……情けねえ!

「お前にはこれから適性があるかどうかの検査をする」

「検査?何のだよ?」

「黙ってついて来い」

何なんだよ!手錠まではめられてるから何もできねえ!

「言うことを聞け。今すぐ殺すぞ」

そう言って銃を向けてくる。

「……分かったよ」

ここは言う事を聞くしかない。絶対に脱出してやる。そんでもって、あの女の子を助けるんだ!


言われるままついて行くと、応接室のような部屋に着いた。

「やあ、君が急遽捕まえてきたっていう子だね」

中には白衣を着た男がいた。

「そこに座って」

後ろでは銃を構えた男がいるので、大人しく言う事を聞く。

「君には今から検査をするから」

そう言って、注射器を出した。中には水色の液体が入っている。

「何をするんだよ!?」

「だから検査だよ、検査。さあ、腕を出して」

「いやだ!そんな怪しいもんに付き合う必要はないだろ!」

チャキッ。

「大人しくしろ」

男が銃を俺の頭に当ててくる。くそ!どうすれば!

「いくよ」

「え?」

そのまま俺の腕に注射器の針を刺し、中の液体が入ってくる。

そして全部入れ終わった時、変化は起きた。

「っ!!あああああ!!」

痛い痛い痛い!何だこれ!?何も考えられない!痛い痛い痛い!とにかく痛い!

「さあ、どうなるか」

「ああああああああああ!!!」

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

「あああっあっああっあっ」

「あーこの感じじゃあ今回も駄目かな」

「元々開発途中なんだろう。それなら仕方ない」

「……あ……あ……っ」

「死ぬね」

「ああ」

死……ぬ……俺は……この……ま……ま……


『はあ、はあ……うん、大丈夫。助けてくれてありがとう』


何だ、この記憶。


『ううん。本当にありがとう。私、あの人達に捕まってたら、今頃どうなってたか』


ああ、あの女の子か。


『え、いいの?』


『ありがとう。それじゃあお願いできる?』


そうだ。俺はあの女の子を助けられなかったんだよな……

くそ!俺にもっと力があれば!あの女の子は連れて行かれなかったんだ!

俺は、あの女の子を助けるまで死ねない!

絶対に助けるんだ!


「うおおおおおおおおおお!!」

こんな所で死ねるか!

「何?」

「これは?」

「おおおおおあああああ!!」

パキンッ!

手錠が壊れた。

「はあはあはあ……生きてやった……ぜ……」

ドサッ!

「……この子、すごいね」

「そのようだな」

「部屋へ運んであげて。明日から忙しくなりそうだ」

そのままユウキは男によって部屋へ運ばれた。


……うん?ここは?

……何かすごいデジャヴだな。

「取り敢えず起きるか……」

そう言って起きると、鏡があったので自分を見てみる。

「……は?」

そこには、俺じゃない誰かがいた。いや、まあ俺なんだけども。

「何じゃこりゃああ!!」

俺は見た目は黒髪黒目で身長も170センチだったはずだ。なのに、今は茶髪で茶色の目、身長も180センチはあろうかという男になっていた。

「どうなってんだよ……」

呆然としていると……

「うるさいぞ、騒ぐな」

部屋の扉からあの男が入ってきた。

「あんたか」

「……何だそれは?」

「俺が聞きてーよ」


その後、俺は白衣を着た男が話があるというので、再び応接室のような部屋へ来ていた。

「やあ、ずいぶん見た目が変わっているね」

中には白衣を着た男がおり、僕の見た目について触れてきた。

「何が起こってんだよ」

「その見た目については、恐らくだけど薬の影響じゃないかな」

「薬?薬って注射器に入った水色の液体かの事か?」

「そうそう。あれは魂を武器として具現化するための薬なんだよ」

ん?何だって?何かよく分からない言葉がいっぱいあったぞ?

「何だって?」

「あー、一から説明しよう。君はもう無関係じゃないしね」

そうして、白衣を着た男は話し出した。

話を要約するとこうだ。

まず、白衣を着た男は科学者らしい。そして、何人かの仲間とある研究をしていたそうだ。そしてそのある研究というのが、先程の魂を具現化する薬の研究らしい。何言ってんの?って話だが、実際には研究は実証出来ており、何人も魂の具現化が出来る人がいると言う。そして、俺もそれが出来るそうだ。とても信じられない。

「話は分かった」

「へー、普通は実際に自分が魂の具現化をするまで納得しないんだけどな」

「まあな」

漫画やラノベ、アニメ、ゲームといったものによく親しみのある俺としては、すんなりと受け入れることが出来た。

「でもそんなことが可能なら、もう世の中で知れ渡ってるんじゃないか?」

「いや、この実験は各国で秘密裏に行われていてね。知っているのは関係者だけだ。人体実験をしないといけないからね」

「その人はどこから?」

「君みたいに攫ってくるんだよ。よさそうな人を見つけてね。ニュースにもなってるでしょ?」

もしかして、あの行方不明者のニュースはこいつらの仕業なのか?

そう思うと、怒りが湧いてくる!人を何だと思ってるんだ!

チャキッ。

「あまり変な事をするな」

銃を向けられたので、大人しくする。まあ、ここで俺が怒っても何もならないか。でも、絶対にどうにかしないとな。

「因みに、その人達は実験が終わればどうするんだ?」

「そうだねー。国に売るかな。ギャングやマフィア、日本だとヤクザや暴力団に売れるかな。あと、テロリストも欲しがるだろうね。何せ魂は武器として具現化されるんだから」

人を売るだと……つくづくふざけてるな……

「それで、君には魂の具現化をして欲しいんだ」

「魂の具現化?」

「そう。こう全身に力を入れて、武器をイメージするんだ」

「……分かった」

そして言われた通りやってみるが、全然上手くいかない。

「出来ねぇ」

「まあ、そんなこともあるか。特に君に投与した薬は特別だからね」

「特別?」

「うん。君に投与した薬は開発途中なんだ。今まで成功したことがある人はいなかった」

そんな薬を俺に使いやがったのか……

「まあ、ゆっくりでいいよ。あ、僕の名前は春日誠司。よろしく」

「ああ、俺は……」

そこで思った。名乗っていいのかと。

「ああ、君は薬の番号で呼ぶからいいよ」

「薬の番号?」

「そう。君はNo.0の薬を投与したからNo.0ね」

「……分かった」

「それから、君にはトレーニングをしてもらうよ」

「トレーニング?」

「うん。魂の具現化をした時に肉体が貧弱だと困るからね」


あの男は何処かへ行った。何でも用があるとか。

そして、俺は春日さんにトレーニングルームに連れてこられた。

「ここでトレーニングしてね」

「分かった」

「じゃあ僕は研究室にいるから、何かあったら呼んでね」

そう言って春日さんは出て行った。

「やるか」

そうして、俺はトレーニングをする事にした。

あの女の子を助けるためにも、力は必要だからな。

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