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260話

錦さんからの質問に答える事10分。

「成る程……大体の事は分かりました。ありがとうございます」

「いえ。それでは、こちらからもいくつか質問してもいいですか?」

「ええ、どうぞ」

「ありがとうございます。それでは、先ずあなた方についてなんですが……」

「私達?」

「はい。理……遊馬さんがお嬢様と呼ばれているという事は、遊馬さんはどこかのお嬢様という事でしょうか?」

「ええ、そうよ。私の父がセンシティアという国で政治をしているの。そして私はその遊馬家の長女なの」

「難波殿はお嬢様の事を知らなかったのですか?」

「ええ、少し世事には弱くて」

「弱いにも程があるでしょう……失礼ですが、難波殿はどこのご出身で?」

「俺は生まれてからずっと1人だったんで、どこの生まれかは分からないんですよ……1人で人里離れた場所でこれまで生きて来たので」

そう言った瞬間、2人の顔がしまったという顔になる。

「……これは申し訳ありません。配慮に欠けておりました」

「いえ、気にしないでください。俺はそうやって気を使われる方が嫌なので」

「そうですか……分かりました」

「レイがそう言うなら、そうするわね」

「そうしてください。それから質問の続きなんですが、この世界ではソウル・リベレイターは普通にいるんですか?」

俺はそこからこの世界の事について情報を聞き出す。

「はい。私達だけでなく、誰もが使えます」

おお、それはすごいな。

「まあ、流石に魔法は私達のような貴族しか使えませんが」

ん?

「え、この世界には魔法があるんですか?」

「ええ、ありますよ。お嬢様も私も使えます」

マジか!?

今までVRの世界には100回以上……今回で135回目だが、魔法がある世界は数える程しかなかった。

まさか最後の最後にそんな世界に当たるとは……少し意図を感じないでもない。

「そうなんですか……ありがとうございます。こちらからは以上です」

「そうですか……丁度国にも着いたみたいですね」

そうこうしているうちに、いつの間にか平原を抜けていたようで、窓からは大きな壁が見えてきた。

「大きな壁ですね」

「ええ。あの壁で国を囲っているんです。あの壁は大昔に戦争していた時代に作られたものなのですが、今では戦争もないので、国の象徴みたいなものになっていますね。多くの人は『国璧』と呼んでいます」

へー。

まあ、あれだけの壁なら壊すのにもかなりの費用がかかるし、別にあって困るものでもないからそのままにしてる感じなのだろう。

そうして、俺達の乗った車は壁の一角……大きな門がある場所に向かっていた。

すると、徐々に門が開いていく。

「先程連絡を入れておいたので、門が自動で開くように設定しておいてくれたのでしょう」

そう言ってスマホを取り出す錦さん。

この世界にもスマホがあるのか。

科学と魔法が混在しているんだな。

そう感心していると、車は門から中に入る。

中は現実世界の街並みと変わらない。

てか、殆ど日本じゃないか!

一軒家……日本家屋が建ち並ぶ景色は、俺にそう思わせる。

まあ、最近は都会の方だけじゃなく、郊外でもマンションが建っている事があるから、ここまで日本家屋だらけってのは中々ないけどな。

暫く街中を走っていると、少し高台にある屋敷が見えてきた。

「あちらに見えるのが、遊馬家の住むお屋敷でございます」

うわあ。

思わず心の中でそう漏らしてしまう。

かなり大きいそれは、高台にあるという事もありかなりの存在感を放っている。

そして10分後。

俺達は屋敷に到着したのだった。


中に通された俺は、来客用の部屋で待たされた。

事情を説明して、暫くしたら呼びに来ると言って錦さんはどこかに行ってしまった。

遊馬さんも海原さんについて行ってしまったので、俺は1人で待っている。

すると……

「難波殿、お待たせしました」

出されたお茶を飲み干した時、錦さんがやって来た。

「今から旦那様が会いたいとおっしゃっておられますので、ご同行願います」

「分かりました」

俺は立ち上がり、部屋を後にする。

そうして長い廊下歩いて行くと、とある部屋の前で止まる錦さん。

「こちらです……旦那様、お連れいたしました」

「入れ」

中からそう声がかかる。

そんな事を思っていると、錦さんは襖を開ける。

「どうぞ」

「失礼します」

俺がそう言って中に入る。

錦さんも中に入って襖を閉めた。

部屋の中には遊馬さんと遊馬さんに似た女性……そして、とても厳格そうな男性がいた。

「座りなさい」

「はい、失礼します」

俺は用意されていた座布団に座る。

机を挟んで向かい側には男性、その横に女性と遊馬さんが座っている。

「君がうちの娘を助けてくれたそうだな」

「偶然ですが、一応そういう形になります」

俺がそう言うと、男性は鋭い目つきで俺を見てくる。

この気を抜くと嫌な汗が出て来そうな視線……強者だ。

「あなた、そんなに睨んではいけないわ」

女性がそう嗜める。

女性の方は反対におっとりした感じだ。

「ふむ、それもそうだな……失礼した」

「いえ、大丈夫です」

「ありがとう……私は遊馬誠一郎だ。理亜の父でこの国の政治家だ」

「私は妻の真里です。理亜を助けてくれてありがとう」

「私は難波レイです。本当に偶然なので、お気になさらず」

「君の事は瑛菜から聞いた。客人として、暫くここにいてもらってもいいのだが、どうだろう?」

「え……」

「行く所もないのだろう?それならここにいるといい」

「そうしてちょうだい。私達からも何かお礼がしたいわ」

「……分かりました。それでは、お言葉に甘えて」

俺がそう言うと遊馬誠一郎さんは頷いた。

……これは、色々と探りを入れられそうだな。

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