252話
俺達は防衛会の人達と合流すると、早速モンスターに向かって攻撃を開始した。
「さっき言った通りやるぞ!」
俺はそう言って、一気に走り出す。
早速、英玲奈がモンスターに向かって銃弾を放つと、ドラゴンは今まで通りそれを躱す。
だが、一瞬こちらを向いた時に俺と目が合った。
すると、モンスターは今まで空を飛んでいたのだが、俺の元に急降下して来た。
やっぱり俺狙いかよ!
「いいぜ。相手になってやる」
俺は刀を持つ手に力を込め、そのままモンスターに向かって行く。
「グアァァァァァ!」
モンスターは口を大きく開けて向かって来る。
俺は弧を描いて走り、そのままモンスターと接近すると一気に剣技を放つ。
「心証流秘剣ー焔・双剣」
モンスターの下顎を捉えた俺の二連撃は、しかし全く効いていない。
そのままモンスターが俺を食べようとするが……
「はあぁぁぁ!」
後ろから追随していた柚葉が斬撃を放ち、モンスターの気がそちらに逸れた瞬間に俺は離脱する。
柚葉の斬撃は避けられるが、モンスターは深追いせずに一旦空に逃げる。
すると、再び防衛会の人達の銃弾による攻撃が始まった。
「皮膚が硬い。あれだと殆ど攻撃が通らないだろうな」
「それに動きもかなり素早いわ。これは倒すのは大変そうね……」
柚葉の言う通り、倒すのは大変そうだ。
だが……
「もう一度、さっきのようにやってみよう。今度は本気で行く」
俺はそう言って、呪文を唱え始める。
「我、手にするは覇王の力」
「力を求め、力に溺れる」
「我が魂、その力を掴み」
「赫く染まるこの世の果てへと連れて行く」
「オーバーロード・ソウル・ドライブ!」
その瞬間、俺の体が紅く輝き出す。
そして光が収まると、俺は紅い光を纏い、紅いマントを羽織っていた。
刀も紅く染まっている。
更に俺は力を使う。
「モード【謙虚】レフトサイド、モード【傲慢】ライトサイド」
そうして魔法を発動すると、左手に持った刀に明るい色の雷、右手に持った刀に暗い色の雷が発生する。
「よし、もう一度やろう」
俺がそう言うと、柚葉も頷いてくれる。
さて、本気で行くぜ!
俺はそう意気込み、英玲奈にモンスターを攻撃してくれるように合図を送る。
しかし、その時だった。
「レイ!危ない!」
「えっ」
柚葉が大きな声で叫ぶので、俺は後ろを振り返る。
するとその瞬間、俺の方に向かってモンスターが光線を放った。
何とか体の前に刀を割り込ませる事が出来たが、光線によって俺の体は吹き飛ばされる。
「レイ!」
柚葉の叫びを最後に、俺の意識は途切れたのだった。
微睡みの中、段々と意識が浮上する。
そうして俺は目を開けると、太陽が沈みかけているのか、空は若干暗くなって星が輝いている。
あれ……俺は……
そう思って体を起こそうとすると……
「ぐっ!?」
全身に鈍痛が走り、上手く起き上がる事が出来なかった。
「レイ!気がついたのね!」
すると、俺の隣から声が聞こえた。
「……柚葉か」
「ええ、そうよ!大丈夫!?どこか痛い所ない!?」
「まあ全身が痛いんだけど、動かない事はないよ」
俺はそう言って痛みを無視して体に力を入れ、無理矢理起き上がる。
「もう!無理したら駄目よ!」
「大丈夫大丈夫。それよりここは……はっ!」
俺はその瞬間、全てを思い出した。
「あの後どうなったんだ!?」
俺は柚葉に問い詰める。
あの後とはもちろん、モンスターの攻撃を受けて俺が意識を失った後の事だ。
「落ち着いて。レイが意識を失ってから3時間が経つけど、まだモンスターとの戦闘は続いてるわ」
そんなに意識を失ってたのか!?
それに、確かに遠くで戦闘の音が聞こえる。
柚葉の言う通り、まだモンスターとの戦闘は続いているんだ。
「今は他の地域から防衛会の人達が来てくれたから、何とかモンスターと戦えてるわ。だけど、それもいつまで続くか……」
柚葉の顔を見る限り、戦況はあまりよくないようだ。
……こんな所で休んでる場合じゃないよな。
「柚葉、俺ももう一度戦う」
「え!?」
俺の言葉に、柚葉は驚いた顔になる。
「何言ってるの!?レイはもうボロボロじゃない!」
そうだな……俺の体はもうボロボロだ……
だけど……
「それでも、俺は戦うよ。あのモンスターを倒さないと、未来なんてないしな」
「そうだけど……そうだけど!」
俺は柚葉の頭を撫でる。
「大丈夫。さっきは少し油断したけど、今度は大丈夫だから。それに、柚葉も一緒に戦ってくれるんだろ?」
俺がそう聞くと、少し間を置いてから柚葉は頷く。
「……うん。レイが戦うなら、私も戦う。だけど、今のレイは……」
「だから大丈夫だって。まだまだ動ける。だから、俺を信じてくれ」
「……分かった。でも、無茶はしないでね」
「ああ、分かってる」
そう言って柚葉の頭から手を離すと、俺は立ち上がる。
「そんじゃ、今度こそあのモンスターを倒しに行こう」
「ええ」
そうして、俺と柚葉は遠くの空を飛んでいるモンスターの方を見る。
恐らく、ほぼ無傷なんだろう。
いつまでもこうしているわけにはいかないので、俺と柚葉はお互いに頷くと、そのモンスターがいる方向に向かって走り出した。




