251話
「黒瀬さん!」
柚葉がそう叫ぶ。
「悪いが話している時間はない。俺達は今あのモンスターと戦っている最中だからな。事情は神藤から聞いてくれ。それと、早く難波の手当てをしてやれ」
そう言ってドラゴンの方に向かって行く黒瀬さん。
すると、入れ替わりで神藤先輩がやって来た。
「みんな、大丈夫かい!?」
「神藤先輩!レイが!」
「これは……早く救急車を!」
「もう呼んでいる!それより、この状況はどういう事なんだ!?」
理事長が状況を神藤先輩に聞く。
「それが……」
神藤先輩が言うにはこうだ。
俺達を歓迎するために準備をしていたところ、突如大きな音がした。
それを聞いた神藤先輩達が外に出ると、ドラゴンがいたと言う。
ドラゴンは攻撃してくるので、それを何とか躱しつつ倒そうと試みたそうだが、空を飛んでいるドラゴンは偶に降りてくるだけなので、殆ど攻撃が当たらない。
そうして焦れて来た時、ドラゴンがどこかに光線を放ったそうだ。
その光線を追って来たら、俺達がいたという事らしい。
「という事は、お前達にも状況はあまり分かっていないという事だな」
「はい、そうです。すみません」
「いや、仕方ない。それより、どうにかしてあのモンスターを倒さないとな」
「はい。今は黒瀬さん達が何とか頑張ってくれていますが……」
このままでは、打開策がないからそのうちやられてしまう。
その事をこの場にいるみんなは分かったのだろう。
みんな黙り込んでしまう。
俺はここまでで少し回復したので、何とか立ち上がる。
「レイ!?」
「ありがとう……何とか回復したから、俺も戦うよ」
「そんな!?無茶ですよ!?」
「そんな体で戦うなんて無謀です!やめてください!」
有紗と英玲奈に止められる。
「レイ……本当に、それだけはやめて……」
柚葉も本気で心配した様子でそう言ってくる。
だが……
「悪いけど、それは無理だ」
「どうして!?」
「見ろよ、あのモンスターを」
俺がそう言うと、みんながモンスターの方を見る。
今は銃を持った防衛会の人達が、モンスターに向かって銃撃をしている。
モンスターはそれを鬱陶しそうにしながらも、確実に避けている。
だが、モンスターの視線は防衛会の人達を見ておらず、ずっとこちら……俺の事を見ていた。
「どうやら、あいつのターゲットは俺みたいだ。だから、俺が戦うよ」
そう言うと、誰も何も言わなかった。
俺が狙われているのが分かったからだろう。
「……それなら、私も戦う」
「え!?」
柚葉がそんな事を言い出すので、俺は驚いた。
「私も戦います!」
「私もですわ!」
有紗と英玲奈までそんな事を言う。
「私達がレイのサポートをする。それが条件」
柚葉はこれだけは譲れないという目で、俺の事を見てくる。
「私としては、生徒には戦って欲しくないんだが……まあ、そんな事を言っていられる状況でもないか」
「理事長、いいんですか!?」
「仕方ないだろう。あいつは私達が何か言って聞くようなやつじゃない」
「ですが!」
「もちろん危険だが、そこは私達もサポートに入ればいいだろう」
そうして、理事長は他の先生達の説得に入る。
どうやら、みんな戦うようで……
「……はあ、分かったよ」
俺も渋々了承するしかなかったのだった。
それから3分程で、俺達は戦闘準備を整えた。
この3分間、防衛会の人達が頑張って攻撃をしていたのだが、モンスターはほぼ無傷。
相手は空を飛べるので、こちらの攻撃は制限されてしまう。
そのため思うように戦えていない。
正直、俺達が合流しても変わらないような気もするが、だからといってやらないわけにはいかない。
既に神藤先輩が防衛会の人達に事情を説明しに行ってくれている。
あとは防衛会の人達と合流して、一緒に戦うだけだ。
「準備はいいか?」
俺がそう聞くと、柚葉達は頷いてくれる。
既に俺達はソウル・ウェポンを出しており、いつでも戦える状態だ。
「頑張ってください!」
俺達が準備している間にやって来た桃華が応援してくれる。
「絶対に無理はするなよ」
理事長もそう言ってくれる。
本当は戦わせたくはないんだろうが、どうせ卒業して防衛会に入ったらモンスターと戦わないといけないんだ。
それを分かっているからこそ、こうして送り出してくれるんだろう。
「はい。それでは、行ってきます」
そうして、俺達はモンスターの元に向かって行った。
モンスターの元に向かう途中、俺は柚葉達に最終確認をする。
「英玲奈は防衛会の人達と一緒に、銃でモンスターを攻撃してくれ。有紗は英玲奈と一緒にいて、英玲奈を守ってくれ。柚葉は俺と一緒だ。それから、出来るだけモンスターの攻撃は受けようとせずに避けてくれ」
「分かりましたわ!」
「頑張ります!」
「……」
柚葉から返事がないので、俺は柚葉の方を見る。
「どうしたんだ?」
「……何だか嫌な予感がするの」
嫌な予感?
「まあ、相手はかなり手強そうだしな。無理もないよ」
「ええ……だけど、それだけじゃない気もするの」
「……大丈夫。何かあっても、俺がみんなを守るから」
俺がそう言うと、柚葉は困ったような顔になる。
「それは嬉しいけど、私達も守られてるだけじゃないわよ。レイのサポートを出来るくらいには、強くなったと思うから」
確かに、最近の柚葉達はかなり強くなっている。
「ああ、頼りにしてる」
「ええ」
そう話している間に、俺達はモンスターと戦う防衛会の人達の元に辿り着いたのだった。




